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「 140文字の物語 」
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中途半端に伸びた髪をヘアゴムで結ぶ。
コートを羽織ると、枕元に置いてあった真剣・神楽をつかむ。
ふすまを開ければ、少女が廊下に立っていた。
家で待っていてほしかったが無理だろう。
少女はついてくる気満々だ。
戦闘の邪魔をしたりをしないが、戦闘が終わったと泣く。
その涙が苦手だった。
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無常だ。
蕾をつけた枝にも雨が降る。
冷たい雨は花をほころばせるのを遅くするだろう。
蕾をつけた枝も空しいだろう。
室内から見上げた四角い空を見ながら胸が痛む。
暦の上では春になったけれども、寒さの本番はこれからだ。
今年があたたかったから誤解するけれども、厳しい寒さがやってくる。
「君も僕を独りにするんだね」と寂し気にあなたが言った。
だから私は満面の笑みを浮かべながら、腕を両手で包む。
「私の帰る場所はここだから」と言う。
バカップルと言われてもかまわない。
言葉を惜しんで、あなたを孤独にしたくない。
私ができること全てをしてあげたい。
祈りは届きますか。
未来を夢見て君は新しい世界へと旅立とうとしていた。
僕は生まれ育った町からでることにできずにいた。
君のように夢を見ることはできなかった。
きっと、このまま朽ちていくのだろう。
「じゃあ」と君は手を振ると、改札をくぐった。
君は振り返ることもないだろうから、僕は別離に涙を零した。
「死んだら星になって見守ってあげるね」母は穏やかに笑い、娘の頭を撫でる。
「星になんてならずに、ずっと一緒にいてください」幼い娘は涙をハラハラと零す。
「そうね。ずっと一緒にいてあげたいけど」優しい手が少女の涙を拭う。
「命には限りというものがあるのよ」諭すような声で母は言う
少女は青年を見つめていた。
おもむろに上目遣いで、両手のひらを触れ合わせる。
「大きな手ですね」少女は呟いた。
急に触れられた青年は驚く。
手を合わせるなんて挨拶みたいなものかもしれないけれども。
少女の手が小さかったから、ビックリとした。
思わず両手を包みこんでしまいたくなった。
最初、聴き落とした。
天気の話でもするように、あっけらかんと言われたからだ。
「明日死ぬんだってさ、だから今日だけでも恋人になってくれる?」君は笑顔で繰り返した。
「他に頼めるような当てがないからさ。人助けだと思って」君は拝む。
顔色も悪くないし元気そうな姿だから信じられない。
季節外れの肝試しは寒いだけで面白いことはない。
こんな寒い時期に賑やかに通り過ぎられるご先祖様も可哀想だ。
受験に備える前の最後の余興というところだろうか。
こんな馬鹿騒ぎも思い出になるだろう。
君は嬉しそうに、手のひらを折れんばかりに握る。
目が笑っていない。
本当は怖いんだろう
この時期バーガーショップに寄り道をするのは楽しみだった。
駅までの寒い道に点在するショップを選ぶのも楽しかった。
何より彼と一緒にいる時間は嬉しかった。
トレイを持った彼が向かい側の座席に座る。
「僕以外に、満足しないように。他の男に目移りしないでよ」と彼が言った。
嫉妬に笑む。
水たまりに虹色の輝きが宿っていた。
車が通った後、観られる現象だ。
油だと聞いたこともある。
それでも、それは綺麗だった。
そろそろと水たまりに足を乗せる。
思ったよりも勢いが良かったらしい。
水たまりはアスファルトに飛び散った。
もう虹色は観られない。
考えなしの自分が愚かだと思った
どうやら世間一般から見れば不幸な人生を歩んでいるらしい。
幸せとはどんな形をしているのだろう。
考えても現実は変わらない。
アイスコーヒーはカランっと音を立てて、薄くなっていく。
その様子を睨む。
仕事帰りのコーヒーは充分な贅沢だと思うので他人が決めた判断基準に沿わなくてもいい。
赤く染まった木の葉が舞い散る。
静かに沈んでいく太陽と相まって、心に迫りくるものがった。
足音が止まった。
見上げたが視線は合わなかった。
「転校するんだ」と少年が言った。
少女は泣きそうになりながら、少年の指先を軽く握る。
そうすれば離れ離れにならないというように握る。
葉が散る。
問題集を見ていたら、ふいに取り上げられた。
「構え!構え!構え!!」店内に響くような声で少女が言う。
「あのさぁ。自分の立場、理解している?」少年は言った。
「飽きた」少女は問題集をパラパラとめくる。
「分からないところがあるから、一緒に勉強してほしいって言ったのはそっちだよ」
隣を歩いていた幼馴染が指をさす。
幼馴染は「流れ星」と言う。
残念ながらワンテンポ遅かったのか流れる星を見ることはできなかった。
「願い事できた?」幼馴染に尋ねると「ナイショ」と笑顔が返ってきた。
澄み渡った空だ。
もう一度ぐらい流れてもいいだろう。
幼馴染の願い事が知りたかった。
星が綺麗な夜だった。
天体観測をしたくなった。
部屋の片隅で埃をかぶっている望遠鏡を抱えて外へ出た。
月も雲もない絶好の天体観測日和だった。
レンズを覗くと曇っていた。
指紋が付着しているのだろう。
優しくレンズを拭う。
そして、誰もいない広い駐車場で空を見上げる。
春も間近な配置だ。
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