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「 140文字の物語 」
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少年のいたずらに少女は苦悩していた。
少年にとって少女は面白い玩具なのだろうか。
溜息が深くなった。
それを聞きつけた少年が「溜息の数だけ幸せが逃げていくよ」と言った。
誰のせいだと思っているのだろうか。
ふいに少年は少女の頭を撫でる。
「溜息の数分だけ幸せにしてあげるね」と言う。
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「べ、別に貴方のことを気にしているわけじゃないから」と少女は言った。
「心配ありがとうございます」と少年は微笑んで言った。
「だから貴方のことは!」少女は少年を見つめる。
強がりが崩れる。
泣き顔で、両手のひらを指先をつつく。
「もう怪我とかしちゃ駄目なんだから」
「心がけます」
窓から入ってくる日差しがあたたかく、時間すらまどろんでいるようだった。
「懐かしいわね」とポツリと零す。
優しい眼差しは、いつの時間を追憶しているのだろうか。
言葉の続きを待つ。
「あなたと会えて本当に良かったわ」微笑みを浮かべて言う。
言われた方は照れる。
運命の出会いだと思う。
今日という日は記念日になるだろう。
恐る恐る、彼女の指先を握る。
左手の薬指にプラチナ製の指輪を通していく。
月光の中、彼女の誕生石が輝く。
指輪はピッタリなサイズだった。
「本当に俺なんかでいいの?」プロポーズを受けてくれた恋人に再確認してしまう。
「あなたじゃなきゃダメなの」
少年と少女が碁に興じていた。
バタバタと複数が廊下を走る音がした。
何があったのだろうか。
立ち上がりかけた少年に、少女は制した。
「まだ碁の途中よ」と微笑む。
それが強がりだと少年には分かっていた。
廊下で死者の名前が告げられた。
「君の代わりに、泣かせてください」と少年は言った。
まるで鮮血のようだ。
夕焼けを見ながら、青年は思った。
己の身の内に流れるそれと違いが見いだせなかった。
同胞を斬る時に見るものと同じように見えた。
いつまで不毛な戦いは続くのだろうか。
真剣・神楽に選ばれた以上、使命を全うするつもりだ。
こんな戦いは自分ひとりが背負うので充分だ。
突然、君は僕の頬を叩いた。
文句を言おうとしたら、君は大粒の涙を零していた。
ポロポロと泣く姿を見て、僕は何も言えなくなってしまった。
「置いていかないで」懇願された。
仕方なく、両手を両手で包む。
「どこにもいかないよ」気休めだと分かっている。
それでもひと時の慰めになるといい。
告げたら壊れてしまうような関係だった。
まるで硝子のような片想いだった。
温度のないそれに、ふれることはできる。
どこまでも透明で心の中まで見透かすことができる。
けれども想いを伝えてしまってはいけない。
硝子のように粉々に割れてしまうだろう。
元のように戻すことはできないだろう。
立春を迎え、日が長くなってきた。
真っ暗闇の中で、登校しなくてもすむ。
それだけのことだったが嬉しかった。
カーテンを開けると、昇る朝日が見ることができた。
ハンガーに吊るしてある制服に着替えると階段を下りていく。
母が朝ご飯の支度をしているのだろう。
お腹がすくような匂いがした。
誰が配ったのか、デスクの上にお菓子が置いてあった。
甘い物はあまり得意ではなかったが、善意だ。
ありがたく頂戴した。
一口、菓子を食べる。
ほんのりと甘いそれは好みの味だった。
以来、そのお菓子を求めて探し回った。
青年の味覚を変えるほど美味しかったのだ。
そして、ようやく邂逅した。
昼下がり、青年はソファの上で眠っていた。
眠りは深いようで少女が近づいても目を覚まさなかった。
「もう、こんなところで眠らないでください」と少女は言う。
眠る青年に毛布をかけてやる。
そして遠慮がちに、腕を指先でつつく。
平和なひと時に感謝しながらも、つまらないと思ってしまう。
あなたは笑顔でごまかすのが得意だから気がつけない。
どんなに苦しい気持ちを抱えているのか。
どんなに悲しい気持ちを抱えているのか。
全然、わからない。
私が寂しい時にしてくれたように、寄り添いたいのに。
言ってくれなきゃわからない。
そんな自分が情けなくなってくる。
一緒にいるのに。
全身鏡を見る。
ところどころに散っていたキスマークも完全に消えた。
着る服に悩まなくなったのは良いことだ。
けれども、少し寂しいと思った。
たくさんつけられたキスマークが消えるぐらい会っていない。
つけられたら困るのに、いざ消えてしまうと嫌だと思う。
恋とはそんなものだろうか。
二人の記念日に雑貨屋で揃いのマグカップを買った。
未来とか、まだあやふやな頃だった。
普段から使える物で記念日っぽい物を。
そう考えたらマグカップになった。
すぐに交換するのにラッピングをしてもらった。
今もマグカップは机の上に揃っている。
撫でると当時を思い出す。
色褪せない記憶。
君の引っ越し先が決まった。
父親の転勤だから、覆すことはできない。
僕らはまだ子どもで、独りでは暮らしてはいけない。
生きていれば会える。
新幹線で行ける距離だ。
どんな言葉も空しかった。
この別離は、僕らにとっての世界の終わりみたいなものだ。
君が僕の目の前からいなくなる。
悲しい。
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