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「 140文字の物語 」
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少年はウィンドウショッピングするように、道行く女の子たちに点をつけていく。
確かにめいっぱいお洒落をしている女の子たちは可愛い。
見ている分には楽しいだろう。
でも、と思ってしまう。隣を歩く自分は何なのだろうか、と。
少年は振り返る。
「まぁ、お前の方が可愛いのですが」と笑った。
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いよいよの瞬間がやってきた。
ここまで来て「待った」はないだろう。
二人が恋人同士になってから、辿りつく終着点だった。
それでも心臓はでたらめの音を奏でる。
二つの体が一つに繋がる。
孤独を埋め合わせることができるだろう。
待ちに待った瞬間だろう。
それでも覚悟ができない。
心が揺れる
「どっちが早く目的地につけるか、競争しようよ」と小柄な幼なじみが言った。
自分の勝ちだと楽観視していた。
今まで負けたことがなかったから余計だ。
「受けて立つ」と言った。
気がつけば幼なじみと距離が開いていた。
小さな体を追い越せない。
初めての負けだ。
勝った幼なじみは照れる。
「目を瞑っていてくださいね」少女は言う。
青年は大人しく従って目を伏せた。
固い感触が手のひらにあった。
青年は目を開ける。
少女は上目遣いで、青年の両手のひらを両手で包む。
「旅行の記念です」と嬉しそうに笑う。
旅行といっても日帰り旅行だ。
青年はそっと両手を開く。
小さな貝があった
-
「さようなら」手を振る。
『大好きだった人』言えなかった想いは、心の片隅に。
もう会えないと知っていた。
けれども別れる人に想いを伝えて重荷にはなりたくなかった。
だから、笑顔で見送る。
温かい手がポンと頭に置かれた。
「生きていれば、また会える。またな」さようならは言わなかった。
-
あなたを諦めきることができませんでした。
未練ばかりが募って、想いは増すばかりです。
どうすれば、あなたの『特別』になれるのでしょうか。
夜を越すごとに、あなたを諦めることを考えています。
そうすれば、この苦しみから解放される。
それでも『特別』になりたいと心は訴えるのです。
-
貴方の涙を見てしまってから、想い返すようになりました。
貴方は何も言わずに、嗚咽すら零さずに泣いていました。
貴方にどんな痛みが襲いかかったのでしょうか。
それを分け合えられない自分は俯くばかりです。
優しい言葉ひとつかけられませんでした。
太陽が昇る頃、頬が渇くことを祈って。
-
貴方を初めて見た時、心臓が跳ねました。
どんな言葉を交わしたのか。
今では忘れてしまいました。
それほど私は緊張していたのです。
それが『恋』と呼ばれるものだと幼い私は知りませんでした。
ただ落ち着かない気分で、貴方に見つめられる度に早鐘を打つ心臓に途惑っていました。
昔の話です。
婚約指輪は誕生石をあしらったもののがいいらしい。
本で読んだ付け焼刃だったが、緊張しながらジュエリーショップに訪れた。
1月生まれの彼女の誕生石はガーネットだった。
価格を見て驚いた。
もっと高価な物だと思っていた。
それでも本に習って購入した。
彼女の薬指にはめて任務を遂げる。
-
君は優しいから、僕にまで優しくしてくれる。
平等に分け与えられる優しさは、喉の渇きを自覚させる。
僕だけを見てほしい。
僕にだけ微笑んでほしい。
僕にだけ優しくしてほしい。
僕の心の底に溜まっていく淀みは、漆黒の夜よりも暗い。
仮面の笑顔を被った僕に、今日も君は優しくしてくれる。
-
静かな夜でした。
足音ひとつ、呼吸をする音ひとつ、響くような夜でした。
こんな夜は星を見上げるのに絶好な機会なのでしょう。
ダイヤモンドのように煌めく星空。
そう言ったのは詩人が先か童話作家が先か。
どちらでもよくなるような見事な空でした。
あなたと二人、流れる時間を見送るのです。
月の満ち欠けは不思議だ。
満月を見上げながら、少年は思った。
夜ごと夜ごと姿を変える月は、海にすら影響を与えると、この間読んだ本に書いてあった。
明るい満月の中、星たちも沈黙をしているようだった。
これから欠けていく月は、何を思うのだろうか。
寂しいと感じることはあるのだろうか。
虹色の未来が待っていると思っていた。
どんな苦境があったとしても、未来は裏切らないと思っていた。
それだけ純粋だった。
進む道の先は遠いけれども、必ず叶うと信じていた。
ゴールの先には夢にまで見た未来が待っていると信じていた。
けれども、どこまで進んでも靄がかかったようだった。
「ちょっと酷くない?」少女は言った。
ここで『何が?』と尋ねたら火に油を注ぐだけだ。
経験的に知っている。
だから黙って続きを待つ。
「私という彼女がいるのに、他の女の子を見るなんて」少女は怒り顔で、指先に爪を立てる。
子猫に爪を立てられたようなものだ。
嫉妬する少女が可愛かった。
-
あなたの優しさにどれだけ甘えたことでしょうか。
背中合わせで見上げた星空は幾夜あったでしょうか。
泣き言も、愚痴も、笑い話も。
あなたは全て耳を傾けてくれました。
私はどれだけ感謝すればいいのでしょうか。
あなたがいなければ私は人生の迷い子だったでしょう。
気になることは一つだけ。
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