忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

僕のハートは盗まれてしまった。
恋に堕ちるなんて、くだらないことはみっともなかった。
そんなダサいことはしたくなかったから、これは恋じゃないと抵抗する。
それも空しく、僕の目は君を追いかける。
花びらが散ったことを憂う君の横顔を見て、心臓は破裂寸前だった。
全部、君が悪いんだ。
PR
誰が言い出したのだろうか。
夜になっても、うだるような暑さに頭を冷やしたくなったのだろう。
肝試しをすることになった。
くじを作って、二人一組になる。
風は意外に涼しく、気分転換になるだろう。
「よろしく」君は恥ずかしそうに、両手のひらに指を絡める。
「怖いの苦手なんだ」君は言った
この頃の天候不順で天気予報が外した。
今日も星空は見られないみたいだ。
それが残念だと、部屋の中から空を見上げた。
歳月の中、君は輝く星になってしまった。
もう手の届くところにはいない。
生前『死んだら星になるの』と言っていた君だ。
きっと全天の中で一番、明るい星になったのだろう。
一位の座は掠め取られた。
今回も白金色の頭髪の少年のものだった。
少女にはそれが悔しかった。
どんなに勉強をしても、少年には勝てない。
廊下に張り出された順位表を見上げながら、少女は拳をぎゅっと握る。
少年は確認するように見上げて立ち去った。
その背中を少女は睨みつけた。
次は勝つ。
夜空に瞬く星は綺麗だった。
文字にしてしまえば陳腐だけれども、見事だった。
キラキラと光る星を見上げていると「綺麗だね」と君は言った。
同じことを考えていたかと思うと、面白い。
僕は心から笑う。
君はきょとんとしていたけれども、答えを教える気はなかった。
二人で見上げる空は綺麗だ。
思ったよりも人出があった。
「これは、はぐれそうだ」と僕は呟き、手を差し出した。
すると君は「大丈夫だよ」と言う。
過去の経験からはじき出すと、迷子になる確率が高かった。
僕は優しく、君の指をぎゅっと握る。
「大丈夫だって!」君は抗議する。
聞かなかったことにして、僕は歩き出す。
僕は携帯電話の画面を食い入るように見つめる。
流れてくるTLを見逃さないように、目も見張る。
君が今どんな思いをしているのか。
君が今どんなことをしているのか。
一文字たりとも逃さないように液晶画面に張りつく。
本当は直接、君と会って話したいけれども。
そんな勇気は僕にはなかった。
どうして夜空は静かなのだろうか。
昼の賑やかさとは裏腹だ。
だからかもしれないけれど、僕の心は傷つく。
君の前では虚栄を張ったけれども、弱虫な僕が現される。
君の前では平気な振りをしていた。
本当は叫びたいほど辛かったのに。
そんな僕の強がりを夜空の前では隠せない。
一滴、涙が零れた
立夏も過ぎ、空は夏へと準備を始めた。
緑が輝き爽やかな風が通り過ぎる。
君と過ごす夏は何回目だろう。
来年も一緒に過ごしたいと思った。
僕が君を見つめると、君は目を逸らしつつ、手のひらにしがみつく。
僕よりひんやりとした君の手を僕は握り返す。
少しでも想いが伝わればいいと思いながら
-
「君がいなくても大丈夫。一人でも平気だよ」僕はそんな嘘をついた。
君の笑顔を守るために。
本当は独りぼっちが怖いくせに。
君の温もりがなければ、寂しいくせに。
「それなら良かった」と君は笑った。
一番見たいものだったから、僕は目に焼きつけるように見た。
それだけで孤独は軽くなった。
永訣の別れになることを、薄々と感じていた。
「じゃあ、また」君は微笑んで、別れの言葉を言った。
僕は涙を飲みこんで「また」と挨拶をした。
君は踵を返して、明日へと歩いていった。
君が振り返ることもないだろうから、僕は涙を零した。
声を殺して、君を見送った。
もう二度と会えない君に。
僕は『サヨナラ』の意味も知らなかった。
いつでも君に会えると思っていた。
今日の続きの明日があると思っていた。
だから気軽に『サヨナラ』を言っていた。
あの日も軽い気持ちで『サヨナラ』を言った。
最後になるとは思っていなかった。
君は少し寂しそうに微笑んだ。
気づかなかったのが辛い。
廃墟で佇む少女がいた。
かつては豪華な城が建っていた。
それを忍ぶようで可哀想だった。
「ごきげんよう、お嬢さん」青年は挨拶をする。
「ごきげんよう」少女は笑いもせずに返事をした。
その様子があまりにも哀れだった。
笑顔が見たいと思ったが視線を逸らされてしまった。
青年は廃墟を見た。
二人で初めて過ごす夜だ。
彼女の緊張が伝わってくる。
床に就くと、さらに不安が伝わってくる。
彼女は無理矢理、俺の両手のひらを折れんばかりに握る。
痛いというよりも、揺れる瞳が哀れだった。
「そんなに怖がらなくても大丈夫だ」俺は優しく、声をかける。
強く握られた指がほんの少し緩む。
「あなた、私のこと好きでしょ」君は唐突に言った。
「藪から棒になんだよ」僕は視線を逸らした。
「だって、私の好きなものをよく覚えているし、いつも傍にいてくれるし」君は言い出した。
それが事実だったから「気のせいだよ」と早口で言った。
「頬が赤いのも気のせいってことにしてあげる」
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH