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「 140文字の物語 」
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季節外れの大掃除をしていたら、懐かしいものが出てきた。
テレビで映像を再生する。
現在よりも幼い僕と君が映っていた。
君は一人っ子なせいか撮られるのに慣れていて楽し気だった。
かくいう僕は恥ずかしそうに画面から抜け出しそうにする。
「今の方が男前だろ?」と僕が言ったら君は鼻で笑う。
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いつもいたずらしてくる君にお返し。
僕は優しく、二人の両手を触れ合わせる。
君の両手は、僕の両手よりも冷たくて、ビックリしてしまった。
これではいたずらにならないな、と思っていたら、君が目を丸くする。
どうやらいたずらは成功したようだった。
「心臓に悪いよ」と君は笑いながら言った。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

------

僕は、震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
それはどうしようもない嘘だった。
けれども、僕にとっては大切なことだった。
「ずっと君と一緒だよ」と声が震えないように落ち着いて言った。
僕の言葉に君はパッと顔を輝かせた。
それだけで報われた気持ちになった。
もう、覚悟は決めたんだ。
愛する貴方へ宣戦布告。
結婚記念日を忘れて、遅くに帰ってきた貴方とは謝ってくるまで口をきかない。
貴方が好きな料理が見る見る冷めていくのは、悲しかった。
この日のために、用意したワンピースは脱ぎ捨てて、ベッドに寝転がった。
いつになったら帰ってくるの、そんな言葉を私は飲みこんだ。
スマホのアラームで目を覚ました。
休日には早い時間。
仕事に行くのにはちょうどの時間。
どうやら疲れ切って寝落ちをしたらしい。
けたたましく鳴るアラームを解除する。
メールが一件、見知った名前で届けられていた。
『良い夢を。お休み』とメールが届いていた。
今、返事をしたら迷惑だろうか。
美しいあなたにお似合いな贈り物をしたかった。
もう大人の仲間入りのあなたに革靴を贈ろうと思った。
何件もの靴屋に立ち寄って、あなたにふさわしい革靴を見つけられた。
あなたと私が巡りあった、一番初めの記念日に無事に間に合いそうだった。
あなたはこの贈り物にどんんな顔をするのだろう。
君は楽し気に笑う。
僕はそれを見てすまない気持ちになった。
本当だったら、遠くまで旅行に連れて行きたかった。
せっかくの君の誕生日は日帰り旅行。
それでも君は嬉しそうに、僕の両手のひらを両手で包む。
そして、飛び切りの笑顔で「連れてきてありがとう」と言った。
僕は返事を言えなかった。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
どうか嘘だと気づかないで。」

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僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
心の中は迷いながら、平然と嘘をついた。
「もう、迷わないよ」と笑顔すら浮かべて言った。
心の中では惑っているというのに、顔には出なかった。
最後の嘘にすると決めたからだろうか。
どうか嘘だと気づかないで。
別れることは切ないことだった。
巡り会って、愛し愛されて、付き合うことになった。
それは星の数ほどの偶然だろう。
それが必然になる前に別れを切り出された。
『もう一度好きになって』とは言えなかった。
運命のように決まっている別れだったから。
重荷にはなりたくなかった。
だから見送った。
誰も彼もが震える夜を過ごしていた。
未来への保証がない、というだけで人は臆病になるものだ。
毎日、太陽が昇って、沈んでいく。
それを当たり前だと思っていた人々には、いつ太陽が爆発するかもしれない、という話は心を落ち着かせなくするものだった。
せめて、毎日を大切に生きていくだけだ。
夜空に瞬く星を見上げながら、もうこの星は爆発して、宇宙のチリになっているのかもしれない。
そんな事実に気がつき、ハッとする。
光年という長い定規では、決して測れない距離の星たちの光を浴びている。
星の数だけ話があるように、地上からは測り知れない思い出の数々がある。
せめて届けて。
ウィンドウに可愛らしいカップルが映る。
背丈も同じぐらいのカップルは、仲が良さそうに見えた。
私はそのウィンドウの面影から目を逸らしつつ、硝子を手のひらに触れる。
全ては幻影だと分かっている。
だから、せめて今だけは釣り合いの取れたカップルのように見られたい。
そんなことを願った。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

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僕は、祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
神様、罪深い僕をどうか許してください。
嘘を本物にしてください。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と僕は言った。
まるで君にだけ罪を重ねるような台詞だった。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。
僕は自由になりたくて、君に告白をした。
夢の中まで出てくる君の面影を追いかけるのに疲れてしまった。
君は恥じらいながら頷いた。
僕は告白した側なのに、目を丸くしてしまった。
こんな都合の良い夢ならいっそ覚めてしまえ、と思った。
だって、こんな情けない僕を君が想っているなんて夢だ。
長いこと両片想いをしていた二人がカップルになった。
もちろん周囲は歓迎した。
むしろ、いつになったらカップルになるのか、賭けをしていたぐらいだった。
そんな二人の初デートをすることになった。
どこへ行くのだろうか、と面白半分で尾行をすることになった。
それに付き合う自分にあきれる。
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