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「 140文字の物語 」
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子供時代は引っ込み思案だった。
君に話しかけるのにも勇気がいった。
手を繋いで帰るのにも度胸がいった。
僕は遠慮がちに、君の指を指先でつつく。
それが合図だった。
けれども、そんな子供時代とはお別れした。
僕よりも小さな君の手を握ることができる。
君は子供時代と変わらずに笑顔を見せる。
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「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

-----

僕は、無理に笑顔を作って最後の嘘をついた。
今まで色んな嘘を君についてきたけれども、最後だ。
それは相手を守るための嘘だった。
「世界で一番、大嫌い」と僕は言った。
君は諦めを覚えるはずだ。
これ以上、深みに嵌まることはないだろう。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。
この哀れな道化師を。
「たとえばの話をしようか」とあなたは言った。
「もし、君が僕の前から消えてしまったら」寂しそうな瞳であなたは言った。
「そんな、もしもはないよ。ずっと一緒にいるんだから」と私は言う。
「たとえばの話だよ。永遠はないからね」とあなたは痛みをこらえるような言葉を綴る。
私は見据える。
誕生日にさりげなく合鍵を渡された。
これでいつでも彼の部屋に行ける。
絶大な信頼だった。
私はお気に入りのキーホルダーをつけて、大切にした。
そんな感じで始まった半同棲だった。
一緒にいるのが当たり前になると我が儘が出る。
出会った時のようなときめきは溶けていく。
それが切なかった。
本当は君へ、ダイヤモンドリングを用意したかった。
けれども薄給の身では高嶺の花だった。
ジルコンの指輪を君に贈った。
君は仲の良いグループで嘲笑されるだろうか。
「ありがとう」と君は心からの笑顔を浮かべた。
我慢することに慣れきった表情だった。
だから、そんな顔をさせた僕の心は痛む。
君とは何度目の別れだろう。
出会っても別れが用意されている。
運命というヤツに振り回されていた。
君は泣きそうになりながら、僕の指に爪を立てる。
僕の指に三日月型の跡が残る。
悲しいぐらいの痛みが僕の心に残る。
本当は君と別れたくない。
けれども、時が二人を引き離す。
仕方がないことだ。
「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。」

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僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
僕と君、どちらが幼子なのだろうか。
そんなことを思いながら嘘をついた。
それは悪あがきのような嘘だった。
「まだ一人で生きていける」と君に告げた。
君と離れ離れになるのが怖いのに、それでも僕は言った。
本当の願いは、どうせ叶わないから。
僕の気持ちは天秤のように揺れている。
君のことを大切にしたいと傷付けたいをいったりきたりしている。
揺れる心の気持ちの名は知っている。
僕は揺れる天秤の片一方に重しを乗せる。
君が僕を忘れたりしないように、と。
それは少しばかり残酷なことかもしれない。
君の涙はどんな味をしている?
夕焼けが差しこむ教室の中で、君は呟いた。
日誌を書いていた僕と視線があった。
君は独り言のつもりだったのだろう。
誰かに聞かせるつもりもなかった言葉を、僕は知りたいと思ってしまった。
シャーペンが止まったのを見て、君は微苦笑を浮かべた。
それから窓の外を見やる。
君は沈黙を保ってる。
掛け時計が24時を知らせる。
うつらうつらとした僕は悔しさに囚われる。
『四当五落』と言われる受験勉強も、集中ができない。
握った鉛筆はゆらゆらと揺れる。
ノートの端には文字にならない文字が書かれる。
眠さの限界だった。
僕は夢の世界に飛びこむ。
都合の良い夢の中で僕は笑っていた。
君はわがままだ。
僕の気持ちも知らずに、好き勝手に振り回す。
そんな君を好きな僕は、恋の重症患者。
君は泣きそうになりながら、僕の指にしがみつく。
それで、僕は分かってしまった。
理解した僕は優しく、君の短くなった髪を梳く。
何回目の恋の終わりだろうか。
わがままは君は僕に恋をしない。
「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

------

僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
幼子だったのは僕の方だった。
けれども嘘をとはいえ告げなければならないことだった。
それは前を進むための嘘だった。
「君がいなくても何も変わらないさ」と僕は笑顔をそっと貼りつけた。
悲しいぐらいの嘘だった。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
僕は笑顔で君の旅立ちを見送った。
もう二度と出会えない君だったけれども、最後ぐらい潔く別れたかった。
『ずっと一緒だよ』と何度も約束をした。
朝日に照らされた君は「いつから嘘だってわかってた?」と尋ねた。
僕は自信をもって「最初から」と答えた。
「ごめんね」と君は悲しそうに言った。
太陽が紅色に空を染めた。
毎日くりかえされる天体ショーだった。
沈みゆく夕陽を見つめて、僕は立ち止まる。
すると隣を歩いていた足音も止まった。
「どうしたの?」と君はあどけない表情で尋ねた。
いつまで、君は隣を歩いてくれるのだろうか。
いつしか別れの日が来るのだろうか。
僕は微笑んだ。
英語の授業はかったるい、というクラスメイトが大半だろう。
私は英語の授業を楽しみに、テキストを抱きしめる。
眼光が鋭い英語の先生は、私にとって憧れの人。
いつしかその瞳で、恋心を貫いてほしいと思っていた。
授業開始のチャイムが鳴った。
私はいそいそと着席をして、先生を来るのを待つ。
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