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「 140文字の物語 」
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「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

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僕は、震えないよう祈りながら最後の嘘をついた。
それはどうしようもない嘘だった。
けれども大切な嘘だった。
「怖いものなんてないよ」と僕は強がりを言った。
本当は君に嫌われるのが怖いのに、見栄を張った。
最後の嘘なのだから、許して欲しいと思った。
君よ、いっそ笑い飛ばしておくれよ。
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『君が嫌なことはしないから付き合って』とあなたは言った。
男性恐怖症の私は断りたかった。
それでも、断る事態からして怖かった。
無言な私に彼は承諾したのだと思ったのだろう。
成り行きで付き合うことになった。
彼に慣れてきた頃に、唇を掠め取られた。
破られた不可侵条約に私は泣きだした。
お喋りな大神官に呼び出された。
最近は悪戯もしていないから、王女は不思議に思いながら神殿に向かった。
神官たちが立ち働いていたが静寂に包まれていた。
王女の心は嫌な予感でいっぱいになる。
大神官は王女を笑顔で出迎えた。
それが潔いぐらい気持ちが悪い。
「勇者が召喚されました」と言う。
君の瞳は夜空を切り裂くダイヤモンドのような瞳だ。
かつて男はそうささやいた。
それならば最高の硬度を持つ強さで現実を切り裂きたいと少女は思った。
そんなことできるはずがないのに。
男が語ったのは女子供が喜ぶ夢物語だ。
幻のような儚い言葉を今も思い出すのは、どうしてなのだろうか。
「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
まるで夢の中を歩いているように現実味のない、ふわふわとした気持ちだった。
それはたぶん最低の嘘だった。
夢心地でつく嘘なんてろくでもないのに決まっている。
「寂しなんてないよ。大丈夫」と僕は君にささやいた。
・・・うまく笑えたかな?
夢の君は、笑っていたのに、現実の君は泣いている。
僕の袖をつかんで、空いている手で目をこする。
「そんなことをすると、まぶたが腫れるよ」と僕は優しく言った。
僕はポケットから、くしゃくしゃのハンカチを取り出して、君の涙を拭う。
どうやったら、夢の中の君のように笑ってくれるだろう。
「晩ご飯にするから手伝って」と母が言った。
私はテレビの続きが気になったが仕方がない。
家族団欒の時間を取ることが決まっているから、食事中にテレビを見ることはできない。
またクラスメイトと話題に乗れないな、と私は思った。
リモコンでテレビの電源を消すと、ソファから立ち上がった。
策士はとうとう願い事を遂げることができた。
この広い銀河の王に、仕えていた青年のものしたのだ。
銀瑠璃でできた玉座に青年は座る。
己の物になった銀河を眺めては、口の端に笑みを浮かべた。
それを策士は満足げに見つめた。
これからは平和な時代が訪れるだろう。
銀河の覇権を争うこともない。
少女の手を引いて、青年は路地裏に身を隠した。
予期せぬの同胞の攻撃に、少女は震えていた。
ここから家まで帰るのには、どれだけの時間がかかるだろう。
こんな時に限って、青年の手元に神剣・神楽はなかった。
少女は上目遣いで、青年と自分の指先を触れ合わせる。
手の甲に文様が浮かび上がる。
「iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

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僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をついた。
それは切望のような嘘だった。
心はズタズタに切り裂かれて、涙は乾ききっていた。
「君の全部を忘れたいんだ」と僕は別れの言葉を告げた。
もしも忘れて去ることができても、胸の痛みは消えやしないや。
そして抜け殻のように生きていくのだろう。
僕は読書をしながら眠ってしまったようだ。
「本を大事にしないなら処分するよ」と寝耳に水の台詞で飛び起きる。
電気をつけっぱなしだったらしい。
明るい部屋の中には確かに聞こえた声の主はいない。
一人きりの部屋だった。
よく見ると、本の頁の角が折れ曲がっていた。
本を閉じて電気を消した。
朝がきたのだと知らせる鳥の鳴き声で目が覚める。
シングルベッドの中で、ぬくもりを分かちあっていた。
そんなあなたへ優しく、腕を触れ合わせる。
少し先に夢の世界から目覚めてしまった私は、あなたの寝顔を見つめる。
薄暗い部屋の中でも、あなたの凛々しい顔は、はっきりと見えた。
私は笑う。
「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は、無理に笑顔を作って最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
これで最後だと思うと、笑顔でなければいけないような気がした。
それが君に見せる誠意のように感じた。
「まだ一人で生きていける」と本音を隠して嘘をつく。
もう、覚悟は決めたんだ。
どんなことがあっても。
僕は君のことが好きだったから、少しの変化も見逃さなかった。
たとえば嘘をつく時は拳を握るとか。
「吐いた嘘を見抜いてしまう、貴方が嫌い」と君は吐き捨てるように言った。
しょうがないだろう。
僕は君から目を離せないほど、好きなんだから。
君から嫌われたとしても、気持ちは変わらない。
あなたが私に見せるのは作り物じみた表面だけでした。
もっと深くあなたのことが知りたいと思うのは、悪いことですか?
あなたが隠そうとすれば、それだけ気になるのです。
あなたの心の奥底を見つめて、優しく抱きしめたいと思うのは罪なことですか?
私はあなたの飾らない本当が知りたいのです。
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