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「 140文字の物語 」
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君が泣きながら「ごめんなさい」と言った。
僕は仕方なく、両手のひらを軽く握る。
いつだってそうだ。
謝られると、これ以上怒れなくなる。
結局は、仲直りしてしまう。
理不尽だと感じていても。
僕は長く吐息を吐き出して、君に手を差し伸べる。
君の涙が続いていたけれども、君はそれを握った。
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文通をしているというと、みな不思議な顔ををする。
最初の出会いWEB上だというと、もっと不可思議な顔をする。
今時メールでもLINEでもない繋がりを持つことは珍しいことなのだろう。
私はレターセットを取り出すと手紙を書き始める。
一筆申し上げますと藍色のボールペンを走らせる。
「夜更けの学校には怪談話に出てくるような怪奇現象が起きるんだって」と君は楽し気に言った。
毎度、付き合わされる身としては、遠慮したい事例だった。
「行ってみない?」君は身を乗り出して、顔を近づける。
シャンプーの香りがして、ドキッとした。
「行きたいなら一人で行って」と僕は言う。
「私は戦いの女神の化身。勇者よ、旅立ちなさい」と神話に出てくるようなドレスを着た女性が言った。
「勇者って、俺のこと?誰が選んだの?」六畳一間のワンルームマンションで俺は言う。
「これは信託なのです。天啓が下りました」化身は言った。
「明日も仕事なんだけど」と俺は言い訳をする。
「キスしたらカップル割引で、入園料半額ってデートとしてどうよ?」と親友が愚痴る。
「それで、したの?」と私が尋ねる。
「嫌々ながらも、したけど。両手のひらに爪を立ててやったわ」と親友は言った。
「言っとくけど、口じゃなくて頬にだから」弁解するように付け足す。
立派なバカップルだ。
「僕にとって君は宝物なんだ」とあなたは私の髪にふれる。
ピンと引っ張られた髪は、まるで枷のよう。
あなたは髪に口づける。
「大切にもさせてくれないの?」と澄んだ青空のような瞳が私を見つめる。
それだけで私は言葉を紡げなくなる。
あなたという檻に閉じこめられた蝶のように動けなくなる。
少女は白金色の頭髪の少年と競い合うように勉強をしない、と決意した。
もっと色んなことを見て、もっと色んなことを知りたい。
テストの点数を気にしない。
そう決めるまで、たくさんの葛藤があった。
今までの生き方とは180度違う。
そんな生き方が果たしてできるのだろうか。
決意が揺らぐ。
あなたと私とは一歩が違う。
まるでコンパスのように違う歩幅に、私は熱心についていく。
あなたは私を小さなお嬢ちゃん扱いしないから、歩幅を合わせるようなことはしない。
それでも時折立ち止まって、鼻で笑う。
置いていったりはしないのだ。
その優しさに私は、とても嬉しいから秘密していた。
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。
それは傷をいやすための嘘だった。
「君の全部を忘れたいんだ」とできやしない嘘をついた。
君の瞳に過った光を見て後悔をした。
けれども君に傷つけられた分だけ、傷つける資格はある。
僕はそんなことを思った。
本音は仕舞い込んだまま。
「目をつぶって」と僕が言うと、君は不思議そうな顔をした。
「とっておきのプレゼントがあるんだ」と僕は笑顔になる。
君は静かに目を伏せた。
柔らかな君の手のひらに合鍵を乗せる。
「開けていいよ」と僕は言った。
目を開けた君は瞳を大きくする。
「いいの?」と君は尋ねる。
「君さえ良ければ」
君はリンゴを買いこんでいた。
君の大好物だから、うさぎ型に飾り切りをするのだろうか、アップルパイにでもするのだろうか。
頬張って微笑む君の姿を思い浮かべる。
「洗濯するからシャツを出しておいてね」と君は上機嫌に言った。
いつもはカリカリしているのに珍しい。
リンゴの魔力だろうか。
修学旅行は定番中の定番だった。
班に分かれて、あちらこちらの神社仏閣を巡る。
ベタかもしれないが、私の班は途中、清水寺に立ち寄ることになっていた。
「清水の舞台から飛び降りる、って言うけど」と君は清水寺の舞台の端に近づく。
「度胸がいるな」と笑った。
私はそっと、指先にしがみつく。
「iotuは、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
きっと、こうすれば良かったんだ。
どうして気がつかなかったのだろう。
君と一緒に不幸になるのは悲しすぎる。
「全部忘れていいよ」と僕は最後の嘘をついた。
表情には出さない。
もう、覚悟は決めたんだ。
私はベタかもしれないけれども、放課後の教室に彼は呼び出した。
そして「ずっと好きだったの」と一世一代の告白をした。
彼は「うん、知ってる」と言った。
それから微笑んで「付き合ってあげればいいの?それとも気持ちだけ受け止めればいいの?」と彼は尋ねた。
予想しなかった展開に私は驚く。
僕と君の世界がまだ狭い頃。
世界は二人だけだったから、僕は君のいたずらを甘んじて我慢していた。
君に嫌われたら、世界に独りぼっちになってしまう。
そう思っていたから、耐えていた。
けれども歳を重ねると同じように、世界は広がっていった。
君以外が存在する。
僕はいたずらに抵抗をする。
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