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「 140文字の物語 」
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「iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
本当に、ごめんね。」

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僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
君のことを考えていないか、というと正直分からない。
「すべて夢でも構わない」と僕は言った。
現実じゃなければ、心の痛みも遠のいていくだろう。
やがて、君も諦めて僕から去っていくだろう。
本当に、ごめんね。
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流行りの歌じゃないけど。
僕には少し背伸びだけれど。
さりげない愛を君に贈りたい。
大袈裟じゃなくていい。
巡る日々の中で感謝をこめて、君に贈りたい。
ちょっと気障だということは分かっている。
僕がそんなことをしたら滑稽だと分かっている。
それでも僕に寄り添ってくれる君に愛を贈りたい。
「今日、放課後にカフェに寄らない?」と君が言った。
「校則で寄り道は禁止されているじゃないか」と僕は言った。
「最寄り駅のカフェに、なんとこんなものが」と君はビラを見せる。
どうやら期間限定でパフェが出るらしい。
君は面白いことを見つけるのが得意だ、と思った。
僕は流れに流される。
「この映像を見ろ」と男が髪を引っ張って顔を上げさせられる。
なんて乱暴な仕草だろう。
これから先、どんなことが起きるのか、思わず震える。
ノイズだらけの映像には、虚栄を誇った貴族たちの晩餐会が写っていた。
もちろん私も映像の中にいた。
「俺たちに言うことはないのか?」と男は言った。
君との思い出は、どれもこれも大切だった。
ほんの些細なことでも、宝物のようだった。
君の笑顔も、泣き顔も、全部全部覚えているよ。
それは最後の記憶だった。
君は嬉しそうに、僕の両手にしがみつく。
そして笑い声をあげた。
僕もつられて微笑んだ。
それが君との最後の思い出になってしまった。
「iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

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僕は、ぎゅっと手を握りしめながら最後の嘘をついた。
それは相手を楽にするための嘘だった。
言葉を紡いで、君を縛りつけたくない。
君には自由でいて欲しい。
だから、これが僕と君の最後だ。
「君が居なくても何も変わらないさ」と嘘をついた。
僕の心は痛むのに、こんなことしか言えないなんて。
少女は廊下に張り出されたテストの順位表を見上げた。
白金色の頭髪の少年と張り合うのは、諦めようと何度思ったのだろう。
それでもテスト期間が近づくと、対抗心が湧いてくる。
そして結果を見て落胆するのだ。
今回もわずかの差で2位だった。
少年を追い抜くことなんてできないと分かっている。
彼女に対して、苦手意識というか、あまり近寄らないでほしいと思ってしまうのは、出会いが最悪だったからだ。
何となく入ったサークルは飲みサーだった。
何かとつけては飲み会を開く。
僕が加入した、ということでその日も飲み会になった。
そこで初対面の彼女が無理矢理、両手のひらに触れる。
「iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

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僕は、無意識に緊張しながら最後の嘘をついた。
それは前へ進むための嘘だった。
いつまでも、ぬるま湯につかっているわけにはいかない。
「君にもらったものは全部返す」と言った僕の声は震えていた。
誕生日プレゼントも、一緒に映った写真が入った写真立ても。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。
天気予報は雲と傘のマークが並んでいる。
「今日も星空は見えないみたいだ」と僕が告げる。
「また?」と君は嬉しくなさそうな声を上げた。
カメラを買った君は、星空が撮影できると、購入時に喜んでいた。
三脚まで同時購入した。
そこまで準備万端なのに気候だけが揃わない。
君は悔しそうだった。
私はベッドの上で日記兼手帳を広げていた。
日曜日には花丸が描かれていた。
花丸は恋人とのデートの予定を意味している。
久しぶりのデートの予定だった。
嬉しくて、何度も日記兼手帳を見つめてしまう。
恋人はどんなところに連れて行ってくれるのだろう。
近場のカフェで語り合うだけでも幸せだ。
幼少のお小遣い稼ぎといえばお風呂掃除だった。
泡を立てたスポンジで湯船を磨き上げる。
隅の隅まで綺麗にして、お母さんからお小遣いをもらう。
夏場は人気のお手伝い稼ぎだったから、掃除中に嫌がらせで背を押すということもあった。
逆に冬は寒さで人気がなく、押しつけあうお手伝いだった。
僕たちは遠慮がちに、指先を触れ合わせる。
結局、手を繋ぐことすらできなかった淡い恋。
それでもいいんだ、と思い出にすらできない。
君と会うのはこれで最後だった。
ようやく触れ合えた僕たちは、目と目を合わせて、無言でうなずき合う。
もう二人でいられないのなら、毒杯をあおるようだった。
「iotuは、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

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僕は、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をついた。
それは相手を守るための嘘だった。
せめて最後ぐらい明るく別れたい。
遠くに行くのは君の方なのだから。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」と僕は強がりを言った。
「離れても友だちだよ」と君は言う。
君よ、いっそ笑い飛ばしておくれよ。
僕は月が沈んだ夜を歩く。
残念ながら宇宙ステーションを見ることはできなかった。
星も見えないこの街では当たり前かもしれない。
それでも未練たらしく、夜空を見上げながら可能性を探った。
風に乗って煙草の香りがした。
禁煙が謳われるこの街では珍しい。
僕は思わず匂いの元を探してしまった。
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