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「 140文字の物語 」
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恋人からメールで『早く来て』という文章が届いた。
絵文字も顔文字もないことから、緊迫した状態にあるのだろうか。
それにしてもLINEじゃなくてメールだったことが不思議だった。
悪ふざけの延長なのかもしれないと、状況が分からなくなる。
とりあえず『了解です』と返信して、恋人の元へ急ぐ。
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公園に可愛らしいカップルがいた。
少年が「ジャングルジムのてっぺんまでのぼろうよ。空が近くなるよ」と言った。
「あんなに高いところはこわいよ」と少女は言った。
そっと、少年の指先にしがみつく。
「だいじょうぶだよ。ぼくが手伝ってあげるから」と少年は言う。
少女はしぶしぶうなずいた。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
・・・どうしようもないな。」

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僕は、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をついた。
それは切望のような嘘だった。
口を開くと、胸の柔らかい部分がぎゅっと痛んだ。
「君の全部を忘れたいんだ」と涙をこらえて僕は言う。
君は「そう」とそっけなく言う。
僕はそれだけの存在だったのだと思うと辛かった・・・どうしようもないな。
デートの前に花屋さんに目が留まった。
そこでミニブーケを君に贈ろうとひらめいた。
「これを一つください」と言うと店員さんは「恋人にですか」と笑顔でリボンをかけてくれた。
待ち合わせ場所に君は佇んでいた。
ミニブーケを渡すと、君は目を丸くする。
「この花が枯れたとき、寂しくなるね」
少女は不安なのだろうか。
顔面蒼白で、唇を噛んでいた。
そんな少女の頭を青年は撫でる。
「大丈夫だ。行ってくる」と青年は言った。
神剣・神楽の鞘を持ち直す。
それでも少女の顔は晴れない。
どんな不安があるのだろうか。
幾度もあった出来事のひとつでしかないのに。
今宵も無事に帰ってくる。
「懐かしいね」と君は『ぞ自由にどうぞ』と書かれた張り紙の張った箱からパステルを持つ。
君が地面にパステルで書いた文字は『寂しい』だった。
神社の境内だ。言霊で君を連れて行かれては、それこそ『寂しい』だった。
僕は文字を消すと君を抱きしめる。
「ごめん、気がつかなくて」と僕は言う。
短かった秋が終わろうとしている。
そんなメランコリーを僕が感じていると堂々と、君が両手を指先をつつく。
僕は君の顔を見て「どうしたの?」と尋ねる。
少しの間、気を取られていたのは確かだ。
怒られても仕方がない。
それなのに君は何かをたくらむような顔をしていた。
「食欲の秋しませんか」
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

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僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
これで最後だというのに、気の利いたフレーズは出てこなかった。
それはどうしようもない嘘だった。
「まだ一人で生きていける」と言った声が震えていた。
これが本音なら、楽だったのに。
君は真っ直ぐな目で僕を見つめる。
僕は視線から目を逸らした。
最後というの免罪符にして、許して欲しい。
まるで恋人同士のように堂々と、君の指先に僕の指を絡める。
最後だから手を繋いでみたかったんだ。
君は驚いたように、僕を見上げる。
けれども、振り払ったりはしなかった。
そのまま手を繋いで寂しい夕暮れ時間を過ごした。
心の中で涙が流れ続ける。
いわゆるゴシップ紙の雑誌には、誰彼が不倫をした、政治の汚職といった罪になるようなことばかりが書かれていた。
そんなものが特集になるなんて、この世界はまだ平和なのだろう。
本当に大切なことは書かれない。
真実を知りたくて、僕は進む。
取材は棒に振ったものになるかもしれないけれど。
初めて二人で過ごした夜も明け、太陽が昇ってくる時間になった。
初めての朝はコーヒーでも入れておくものだろうか。
作法というものが全く分からなかった。
眠るあなたの顔を見て遠慮がちに、腕を触れ合わせる。
まだあなたのぬくもりの中にいたいから、掛布団をかけ直して、胸に耳を近づける。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は、愛を囁くように優しく最後の嘘をついた。
それは最初で最後の嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と僕は笑顔で言った。
君と過ごす日々には、くだらないことなんて一つもないのに。
「じゃあ、面白い日々にしよう」と君は言った。
僕はバレないように・・・うまく笑えたかな?
没落貴族の行く末は、成金相手と決まっている。
絶対に手にはらない爵位を欲しがる。
少女は家のために売られるのだ。
遊郭に売られるのと同じことだった。
今日、初めてお相手に出会う。
「子供相手も大変ね」と言ってやった。
すると相手は「素直じゃないとこも可愛くてよろしい。末永く」と笑う。
青年は珍しく朝早く目覚めた。
忍び足で階段を降り、台所を覗く。
少女が忙しそうに朝ご飯の支度をしていた。
青年にまったく気がついていない。
気配を隠して、少女の肩を叩く。
「ひゃっ!」少女が悲鳴を上げた。
予想通りの結果に青年は満足を覚えた。
少女は振り返り、青年を睨むように見上げる。
暗闇にリンゴの実がなっていた。
家から飛び出した幼い二人はお腹が空いていた。
少女の耳に囁くものがあった。
今こそ禁断の果実をもぎとるべきだ。
少女はその言葉に釣られるように、リンゴをもぎとった。
遅い収穫は、より甘かった。
「あなたも食べる?」と少女はかじりかけのリンゴを渡した。
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