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「 140文字の物語 」
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「iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をついた。
それは悪あがきのような嘘だった。
そうでもしていないと自分が駄目になる、と分かっていた。
だから調子外れの明るさで「これ以上関わらないでくれ」と君に言った。
本心ではない嘘に僕の心は傷つく。
それでも君の前では・・・泣いたりしないよ。
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人は欠けた愛を持って生まれてくる。
どこかにいるぴったりとあう人と巡り会うために。
そんなお伽話を信じるほど純粋ではないつもりだ。
それでも時折、欠けた愛を探してる。
パズルのピースのように、ピタリとはまる相手がどこかにいるのではないか、と思ってしまう。
己はそんな弱さを抱えてる。
口喧嘩をした後は、妙に気まずい。
楽しいデートの時間が減っていく。
それぐらいなら僕の方が折れようか。
そんなことを思っていた。
すると君が目を逸らしつつ、僕の腕をぎゅっと握る。
「どこか遠くに行かないでよ」と君は言った。
「どこにも行かないよ」と僕は微笑んだ。
僕たちは似た者同士。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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僕は、震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
これ以上、ないものねだりをしても意味がない。
現状で満足しなければいけない。
だから「欲しい物は手に入れたから、もういいんだ」と言った。
「本当に?」君が問う。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
「置いていくぞ」と俺は言った。
小さな足を一生懸命に動かしていた君はたどりつく。
「女の子のこと知らな過ぎるのあなた、女の子はあなたみたいにズカズカ歩けないのよ」君は精いっぱいの怖い顔を浮かべて言った。
「だいたい身長からして分かると思うんだけれども」君は腰に手を当てて言う。
「ねぇ、こんなところに神社ってあったけ?」と君が尋ねる。
僕は君が指さす方を見る。
こじんまりとした稲荷神社があった。
「参拝していく?」と僕は訊いた。
「怖くないの?」君は震えながら言った。
苔にまみれた神社は鬱蒼として気持ち悪い雰囲気を醸し出していた。
「帰ろうか」と僕は言った。
バイト仲間からLINEが飛んできた。
スマホをタップすると、シフトを交替してくれないか、という打診だった。
手帳を開くと特に用事もなかったから、承ることを入力する。
ありがとうというスタンプと共に、久しぶりのデートなんだ、と嬉しそうな文字列が飛び込んできた。
そうか恋人がいたのか。
君は夜風に吹かれて宇宙を見ていた。
そんな君の横顔を僕は見つめていた。
二人きりの静かな時間だった。
このままと気が止まってしまえばいいのに、そんなことを僕は思った。
視線を感じたのか、急に君が振り返る。
「そろそろ家に入ろうよ。風邪を引く」と僕は取りつくろう。
君は無言で頷いた。
日曜日の公園は家族連れ混んでいた。
公園の奥の方でどうにか見つけたベンチで二人は座った。
「ちょっと前まで信じられない光景だね」君は嬉しそうに言った。
「そうだね」と僕は相槌を打った。
それからベンチに置き去りにされていた君の手をそっと、僕の指先で指先をなぞる。
君の目が僕を見る。
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。
それはどうしようもない嘘だった。
それでもつかなければいけない嘘だった。
「世界で一番、大嫌い」と君にハッキリと言った。
「天邪鬼さん、正反対でしょ」と君は笑った。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
君には敵わないと僕は思う。
「お母さんは、あなたのことを愛してるわ」と繰り返し言われた。
「だから、姉ちゃんのようにはならないでね」と重い鎖で縛りつけられた。
その結果、私は母の言い成りに言ったお人形さんになった。
姉のようになりたかった。
だってこんなの、愛じゃない。
母は都合の良いお人形が欲しいだけだ。
ランタンを地面の上に置く。
僕たちはレジャーシートを開いて、瞬く星を見上げた。
「星が降ってくるみたい」と君は星に遠慮をするように声を潜めて呟いた。
家から見る星々よりも、たくさんの星が見えたけれども、僕はただ眺めていただけだった。
君の感性に打ちのめされる。
君は静かに微笑んだ。
愛情なんてなかった。
あったのは責任感、義務といった世間の目を気にするものだった。
親戚に押しつけられた子どもだった。
世間体もあって、高校までは面倒を見た。
そんな子どもは無事に卒業した。「今まであ
りがとうございました」子どもは言った。
私は嫌々ながら、自分の両手を握り締める。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「絶対にあきらめたりしないよ」、と。
・・・どうしようもないな。」

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僕は、祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは切望のような嘘だった。
君は誰もが焦がれる高嶺の花。
そんな君を手に入れようと手を伸ばす人たちはいっぱいいる。
「絶対にあきらめたりしないよ」と僕は言った。
心の中はあきらめているのに。
本当に君という存在は・・・どうしようもないな。
玄関口で君は手を腰に当てる。
僕は叱られた子どものように、首を垂れる。
「どうしてそんなに買ってきたの!」君の言葉はもっともだった。
二人暮らしの冷凍庫は小さい。
暑さにやられた理性がアイスを買わせた。
そんな言い訳が君に通じるはずもなく、僕は反省する。
君と一緒に食べたかったんだ。
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