忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

------

僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
それは切望のような嘘だった。
泣いている君を慰めるような嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と魔法使いのように言った。
涙で潤んだ瞳が僕を見つめる。
・・・うまく笑えたかな?
君を泣かせる毎日なんて、くだらない、そう思った。
PR
愛する貴方へ宣戦布告。
今度のクリスマスには、貴方が絶賛するような贈り物をすると誓う。
今から覚悟をしていてほしい。
飛び切りで、驚きに満ちたクリスマスプレゼントを用意してみせる。
すると貴方は微笑んだ。
一足早くプレゼントなら貰ったよ、と。
勝負はこれからだ、と私は見栄を張った。
少女は白金色の頭髪の少年に舐められたくなかった。
そのためにコツコツと勉強をした。
絶対に次こそは勝つと対抗心を燃やしていた。
学年1位の座を諦めたくはなかった。
今度こそと期待をした。
少年と廊下ですれ違うと笑われたのは気のせいではなかった。
見事に滑稽な道化師のような成績だった。
青年はベルトを緩めて、同胞の血をたっぷり吸ったシャツを脱ぐ。
神剣・神楽のおかげで青年の身体には傷跡ひとつなかった。
ただぼんやりとした痛みが残っていた。
自分が選んだ道だ。
途中で放り投げるつもりはなかった。
着替えを終わらせたタイミングで、少女が顔を出した。
「洗濯、頼めるか?」
終電近くの電車の中。
君は泣き顔で、僕の手のひらにしがみつく。
疲れた会社員と酔っぱらった大学生ぐらいしか乗っていない電車だった。
だから君が思う存分泣いても迷惑をかけることはないと思った。
僕は慰める言葉の代わりに、君の手をずっと握っていた。
それぐらいしかできることがなかった。
「iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

------

僕は、心の痛みを堪えながら最後の嘘をついた。
それは現実逃避のための嘘だった。
今、抱えている痛みを見て見ない振りをしているようなものだった。
まるで魔法をかけるように大袈裟に「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と言った。
そんなことしか言えない僕をいっそ笑い飛ばしておくれよ。
君が上目遣いで、僕の手のひらに爪を立てる。
まるで構って欲しい子猫のように、鋭く、柔らかく。
そんな君が可愛くって僕は頬を緩ませてしまう。
どんな君でも僕にとっては一番星。
誰よりも大切で、誰よりも特別なんだ。
君にとっての一番が僕だといいなと思ってしまう。
一方的なバカップルかな。
「暇をつぶせるものってないの?」君が言った。
「DVDぐらいしかないな」と僕は答える。
「観ようよ」と君は嬉しそうに言った。
僕はソファから立ちあがる。
適当なDVDを選び、再生する。
すると艶めいた女性が出てきた。
慌ててテレビの電源を切る。
「兄貴のが混じっていたんだな」と言い訳をする。
今日は二人が初めてデートをした日だった。
学生時代だったから映画を見て、カフェで感想を話すだけのデートだった。
そんなささやかな記念日をあなたは覚えていてくれたのかな?
今日のデートは映画だった。
真っ暗な館内でさりげなく、私の指先をあなたの指先がなぞる。
意味深に左手の薬指に。
「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

------

僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
それは現状打破のための嘘だった。
「怖いものなんてないよ」と正反対のことを口にした。
これが本音なら、楽だったのに。
君を抱きしめながら、生きていることを確認する。
この小さい生命が喪われるのは嫌だった。
だから僕は最期の嘘をついた。
人間にとって、いや生きとし生けるものにとって、生死は永遠の課題だった。
生き続けるものはない。
必ずやってくる冬のような死は、別離を思い起こさせる。
君がいなくなったら嫌だけれども、僕が先に逝けば君は悲しがるだろう。
手元をじっと見つめる。
大きくも小さくもない手のひらで君を包む。
君と子どもじみた大喧嘩をした。
こうなると君は口をきかなくなる。
二人の間に不揃いな沈黙が漂う。
このまま夕飯になると気まずいものになるだろう。
僕は恐る恐る、君のひんやりとした指先を両手で包む。
「ごめん」と僕が謝ると「どうしてあなたの方が謝るの?」と君は言った。
「僕が悪かった」
「iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「幸せなんて、どこにもないんだ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

------

僕は、ずっと続く痛みに堪えながら最後の嘘をついた。
それは自分が傷つくだけの嘘だった。
「幸せなんて、どこにもないんだ」と僕は言った。
こんなことしか言えないなんて。
君よ、それは嘘だと言ってくれ。
ここに確かにある繋がりは幸せだと答えてくれ。
僕のため、真実を映す鏡を用意してくれ。
小鳥のように甲高くさえずる君。
「今日もすっかり乾きましたよ。ふかふかです」と取りこんだばかりの洗濯物を見せる。
「しまってきますね」と君は俺から離れていこうとする。
そう簡単には逃がしてはやらない。
君の手首を握る。
俺という名の鳥籠で永遠に唄っていてほしいから、手を放せない。
「無人島にひとつだけ持っていける物があったら、何にする?」と君は謎かけのように言う。
「ひとつだけなら、辞典かな?飽きたりしないように」と僕は答えた。
「そう言う君は?」と尋ね返した。
君の瞳は面白そうなことを見つけたように輝いている。
「あなたかな」と殺し文句を言った。反則だ。
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH