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「 140文字の物語 」
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「どんなこともします。だから私を捨てないで」と君は目の端に涙を作りながら、唐突に言った。
「手放すつもりも、ないですけれど」と僕は答えた。
「私、完璧じゃないですよ。そのうち飽きられると」と君は僕の手をつかんだ。
「突然どうしたの?」と僕は不審に思って尋ねた。
君は視線を逸らす。
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少女は廊下に張り出されたテストの点数の順位を見て俯く。
万年2位という順位が悔しかった。
今回のテストも満点を取った白金色の頭髪の少年が1位だった。
どうすれば満点を取り続けていられるのだろう。
同じ人間だとは思えなかった。
少女は顔を上げる。
次こそは1位の座を手にしてみせる。
枯れすすきを押し倒すほど冷酷な北風が吹いた。
誰もいない河川敷を男は歩いていた。
冷たい風に吹かれながら、冷たいアパートに独り帰ると思うと悲しかった。
外灯もまばらだということも手伝って、男は慟哭する。
泣いていなければやっていられない。
男は、誰にも言えない弱音を抱えこんでいた。
「iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

------

僕は、ぎゅっと手を握りしめながら最後の嘘をついた。
それはたぶん最低の嘘だった。
君のことをちっとも思っていなかった。
どれだけ君が傷つくか、考えてもいない嘘だった。
「まだ一人で生きていける」と寄り添いあって、ここまで来た君に言った。
別れるのに、こんなことしか言えないなんて。
読もうと、広げた新聞紙の上に愛猫が乗った。
そしてこちらを見て、甘ったれたように鳴く。
「そこにいられると読めないよ」と愛猫をどける。
するとすぐさま、新聞紙の上に乗る。
構え!構え!構え!!と言われているようだった。
猫の言葉は分からないけれども、長い付き合いだ。
何となく分かる。
快感が脳髄まで駆けあがる。
面白そうと始めたゲームだった。
最近、くさくさした気持ちを抱えてばかりいたから、たまにはいいだろうと思った。
ゲームショップで、パッケージ買いをした。
どうやら当たりのようだ。
自分に合っているのかコンボが重なる。
たまらない快感だ。
やめられないと思った。
禁断の果実であるリンゴを一かじり。
まあるいリンゴを君に渡す。
かじりかけのそれを君もかじりつく。
まるで何も考えていないように、空腹を満たすために。
アダムとイブを気取るには背伸びだったようだ。
君は意味も考えずに食べ切った。
そして満面の笑みを浮かべた。
僕は君を守ると心に誓う。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

------

僕は、内緒話をするように声を潜めて最後の噓をついた。
君以外の誰かに聞かれたくなかったからかもしれない。
それは再び歩き出すための嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と強がりを言った。
「私には大きな違いなんだけど」と君は寂しそうに言う。
僕は本音を仕舞い込んだまま笑う。
DVDを観ている途中だった。
あなたはスイッチを切った。
そして「面白くない」と呟いた。
確かに退屈なシーンだったが、その後が気になる。私はあなたからリモコンを取り上げようとした。
すると、あなたは嬉しそうな顔をした。
構って欲しかったのだ、と気がつく。
DVD観ていたのはその一環だった。
「帰りたくない」と君が言った。
「もう帰らなきゃ陽が沈むよ」と僕が言った。
「もっと一緒にいたい」と君は目を潤ませる。
別れの時の堂々巡りだった。
帰りたくない君と帰らせたい僕。
夕焼け空を見たら、懐かしくなって追憶した。
今頃、君は何をしているだろうか。
僕は想い出の君に語りかける。
君に触れたら、君が粉雪のように溶けてしまうような気がして、手を繋げなかった。
触れそうで触れない距離が心地よかったのかもしれない。
ふいに君が恥ずかしそうに、僕の指に触れる。
「手を繋いでもいい?」と君が尋ねる。
その様子がいじらしくて君の指を握り締めた。
粉雪のように冷たかった。
「iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
・・・どうしようもないな。」

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僕は、脈打つ痛みに堪えながら最後の嘘をついた。
それは現状打破のための嘘だった。
これ以上、痛みを抱えてはいられない。
「永遠を信じている」と君に向かって言った。
そんなものは、どこにもないというのに。
君の笑顔を見て、救われたと思ってしまった。
本当に僕は・・・どうしようもないな。
「この指先から、髪一筋まで、誰のものだとお思いで?」と君は笑った。
「君は君自身のものだよ」と僕は言った。
「いいえ、全てはあなたとこの国のものです」と君は堂々と言った。
いずれ国母になる覚悟ができているようだった。
そんな自分は、王太子という立場から揺れている。
君が素敵だった。
あとちょっと、もうちょっとと先延ばしにしていたけれども、ギブアップだった。
この寒さに電気毛布を膝にかけた。
ほのかにあたたかいそれは、冬の寒さを緩和してくれた。
今年の電気代が怖い、と思った。
もう少し寒さに我慢できればよかったのに、誘惑に弱い自分が悔しかった。
ココアを飲む。
君はリンゴのように頬を赤くしながら、僕と視線を絡めあわせた。
「どうしたの?」と僕が優しく尋ねると、君は視線を逸らした。
どこかぼんやりとした君の仕草に、僕は君の額にふれた。
いつもよりも熱かった。
風邪の引きはじめだろうか。
せめてもと、僕の上着を貸す。
君は無言で、それを羽織る。
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