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「 140文字の物語 」
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ズボンのポケットに入れていたスマホが律動した。
かじかむ手でタップする。
故郷に残していった君からのLINEだった。
見事な星空が添付されていた。
そこで初めて、僕は空を見上げた。
どんよりと雲が広がっていた。
『今日も星空は見えないみたいだ』と送る。
『空は繋がってるよ』と返ってきた。
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学校では付き合っていることを秘密にしていた。
それが付き合うための条件だった。
僕は君のことが好きだから頷いた。
けれども、その条件は僕が寂しく感じるには充分だった。
隣の席の君の手を目を逸らしつつ、握ろうとした。
感づかれたのか、君は僕の指に爪を立てる。
子猫みたいで可愛かった。
「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「絶対にあきらめたりしないよ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

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僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
それは最初で最後の嘘だった。
「絶対にあきらめたりしないよ」と僕が言うと、君は満面の笑みを浮かべた。
繋いだ手のぬくもりだけが二人の絆だった。
それは糸を半分に切ったように頼りのないものだった。
僕は、こんなことしか言えないなんて。
すっかりと日が暮れて、街灯を頼りに、二人は帰っていた。
いつものコンビニに寄って、肉まんを半分こにした。
湯気が立つをそれをホッカイロ代わりにしていると、あなたは寂しそうに笑った。
「この気持ちは君にどこまで届いてる?」まるで迷子になってしまったように言うから、私は抱きついた。
恋人は口癖のように『愛している』と言う。
どんな時でも、どんな場所でも、確認するかのように言う。
その度、私は嬉しくなる。
ここまで深く愛されているのは、私ぐらいだろう。
だからお返しに、背伸びをして、あなたの耳元に『愛しているよ』と囁く。
すると、あなたは本当に嬉しそうに笑う。
黒く汚れた手を石鹸で洗う。
泡は黒から白に変わっていく。
同時に傷が沁みていく。それに耐える。
何でもない道でつまづいて、思わず手が出た。
その際にくじいたのだろうか。わずかに違和感を覚えた。
泡はすっかり真っ白になった。
丁寧に水で泡を落としていく。
手のひらには擦り傷が走っていた。
公園のベンチで並んで座っていた。
去年もこうしていたっけかなぁ、と思い起こす。
夕方になればイルミネーションが楽しめる。
君へもっと素敵な場所に連れて行ってあげたいけれど、懐事情が許さない。
君は優しく微笑み、僕の腕を折れんばかり握る。
「いつまで定職につかないつもり」と君は言う。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
・・・どうしようもないな。」

------

僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
それは本音とは真逆の嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と僕は告げた。
君に出会って灰色の雑踏が鮮やかな総天然色になった、というのに。
また君と離れ離れになってしまったら、どれだけ苦しいことだろう。
・・・どうしようもないな。
好きとか嫌いとか、そんな明確な理由があったわけじゃない。
空気のように自然になってしまったから、刺激が欲しくなっただけだ。
どれだけ女性の間を渡りあっても、必ず私の元に帰ってくる。
無意味な根拠を持っていた。
だからあなたから別れを切り出されてうろたえた。
もう一度好きになって。
君と一秒でも長く一緒にいたかったから、いつも遠回りをして帰っていた。
それでも別れの瞬間は切なくて、思わず手を握ってしまった。
伝わってくるぬくもりに、君も僕もここで生きているのだと知る。
君は黙って、僕を優しく見つめる。
これから独りぼっちの家に帰る僕の孤独を君に解って欲しい。
朝が来る前に、カメラを回収した。
星がコンパスみたいに描かれた写真が撮れた。
三脚を片手に、あたたかい家に戻る。
「綺麗に撮れた?」と君が尋ねた。
カメラを君に差し出す。
「素敵ね」と君は嘆息した。
ボーナスで買った甲斐があったというものだ。
「次は水滴の写真を撮るの?」と君は訊いた。
「一日、恋人の振りをして」と幼馴染にわがままを頼む。
「友達に彼氏がいるとでも嘘をついたのか?」と幼馴染は言った。
「証拠にデートしている写真が必要で」と私の声は小さくなる。
「遊園地にでも行くか?」と幼馴染は笑う。
そしてデートが始まる。
幼馴染はさりげなく、私の指先を軽く握る。
足はふらふら、心臓はドキドキ。
目が合うだけでも嬉しくって、言葉を交わすだけでも緊張する。
私は、全細胞を使って、恋愛をしているのだ。
古今東西、誰しもがくぐってきた道だろう。
こんな気持ちいいものだったのなら、もっと早く恋愛したかった。
でも、それじゃダメ。
彼だから好きになった。
咳きこむ病人の枕元で、座っていた。
暁が近い。
それなのに咳は止まらなかった。
掠れた声が「水を飲みたい」と言った。
注いであった水を手渡す。
病人には起きるのも困難なのか、痛がる。
それが辛そうで背をさすった。
「ありがとう」と病人は微かに笑むを浮かべる。
「治して差し上げたいです」
「何も怖いことなんてありませんよ」と君は上目遣いで、僕の手のひらを両手で包む。
『嘘だ』と子どもっぽく駄々をこねていたかった。
病院の待合室は似たような人ばかりが座っていた。
「大丈夫ですよ。ちょっと痛いだけですから」すでに接種を済ましている君は微笑んだ。
僕は逃げだしたかった。
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