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「 140文字の物語 」
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夜空を駆ける星に願いをかけたいと、寒い中外に出ていた。
双子座流星群のピークだから、一つぐらい見つけることができるだろう、と高をくくっていた。
そこまでしても叶ってほしい願いがあった。
遠く離れていく君に幸いあれと見送りたかった。
涙を流さずに、笑顔で門出を祝いたい。
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「行ってきます」と元気に出ていった夫が数分後に帰ってきた。
「忘れ物した」と夫は笑った。
玄関先にいた私は「もう忘れ物しちゃ駄目だよ?会社に遅刻する」言った。
そんな小言を言う私の頬に夫は口づけた。
夫はにっこりと笑って「できるだけ早く帰ってくるよ。行ってきます」と出ていった。
秘密は恋にとって刺激的なスパイス。
ホットミルクに入った蜂蜜よりも甘く。
一度、快感を覚えてしまえば、元に戻るのは難しく、貪欲に次から次へと手を伸ばす。
その手に乗せられるのは甘く熟した禁断の果実。
食べてしまえば楽園から追い払われる。
それでも不安を感じながら二人してかじりつく。
「手貸してー」と隣の席のクラスメイトに言われた。
僕はプリントをまとめていたから、左手を差し出した。
するとクラスメイトは嬉しそうに、手のひらに触れる。
指で僕の手のひらに文字を書く。
そしてクスクスと笑っていた。
ねぇ、過去の君。
なんて文字を書いてくれたの?
今更になって訊きたい。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
・・・どうしようもないな。」

------

僕は、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をついた。
それは切望のような嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と君を突き放すように言った。
「どうして?」君はあどけなく笑う。
その笑顔を見て、前言撤回したくなる。
我ながら本当に・・・どうしようもないな。と呆れ返る。
最後の嘘なのに。
「お兄ちゃん、聞いてくれる?」と末の妹が尋ねてきた。
他の家族は寝静まっていた。
ホットミルクを入れながら「何だい?」と微笑んだ。
「わたしのこといじわるする子がいるの」と妹は言った。
「熱いから気をつけて」とホットミルクが入ったマグカップを渡す。
「でも大嫌い、って言えないの」
あなたは深夜の高速道路を走る。
時たまの気まぐれに誘われた。
夜更かしをしていたことに感謝した。
いつもだったら気づかずに眠っていただろう。
あなたは車を走らせる快感に酔っていた。
私はそんなあなたの横顔を見れることに酔っていた。
心臓がドキドキするほどあなたはスピードを出して走る。
君のハートは雨模様。
ひっきりなしに涙を零している。
僕はといったら、なぐさめる言葉も尽きて、困っていた。
君は傍にいる僕を見ず、遠くを見る。
視線の先には、君を泣かせる存在がいるのだろうか。
傷ついたハートに応急処置として、ホットココアの缶を差し出す。
雨が止めばいいのだけれど。
「今日も寒いね」という言葉がくりかえされて挨拶みたいになっていた。
「そうだね」と僕は頷いてさりげなく、君の手のひらに触れる。
寒いと言った割にあたたかな体温。
このまま手を繋いでいれば、寒さなんて吹き飛んでしまうかもしれない。
そんなことを思っていると、君は包むように握り返す。
「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

------

僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
実感のない気分だった。
まだ布団の中で眠っているのかもしれない。
そんな風にふわふわとしていた。
それは相手を楽にするための嘘だった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と明るい調子で僕は言った。
こんなことしか言えないなんて。
君は誰も憧れる青年と恋に落ちた。
二人で落ちたのなら、どれほど素晴らしかっただろう。
残念ながら君の恋は君だけのものだった。
青年はお似合いの乙女と結ばれた。
その報告を聞いた君は涙を流した。
「報われないのはわかってたけど、辛いね」と泣き笑いする君を抱きしめた。
君の恋が終わった。
ひっそりとした生活に不満を覚えていた。
今頃は王都できらびやかな晩餐会に参加しているはずだった。
成り上がりと言われようが、華やかな社交場は魅力的だった。
けれども、王命で隠居生活をする辺境伯と婚約を結ばれてしまった。
辺境伯は穏やかな生活を送りたいのだろう。
私とは正反対だった。
秒針が進む度に、僕は透明になっていく。
いわゆるお迎えというものが来ているのだと思う。
完全に透明になる前に、君に言いたいことがあった。
枕を涙で濡らしている君の元へと、僕は足を運ぶ。
ふいに君と目が合った。
透明になりつつある僕を見た。
僕は「大好きだよ」言えなかった言葉を伝える。
季節外れの肝試しをするのは、何度目だろう。
くじで君とペアになるのは、何度目だろう。
仕組まれているような気がしてならない。
霊園が近くにあるのがいけないんだ、と僕は思う。
怖がりな君は遠慮がちに、僕の指を握る。
それだけのことなのに、心が弾むのは、何度目だろう。
僕は指を握り返す。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
君は何も知らないままでいて。」

------

僕は、目をそらしながら最後の嘘をついた。
膠着状態に陥ってしまった今のための嘘だった。
それは現状打破のための嘘だった。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と君の目を見られずに言った。
「絶対、大丈夫だよ」君は明るく言った。
君は何も知らないままでいて、ほしいと僕は願った。
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