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「 140文字の物語 」
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あなたの心にできた傷を見てみたい、と思うのは悪趣味だろうか。
私の言葉に一喜一憂するあなたの姿を見ていると、知りたくなる。
どれほどの重みで、どれほどの深さで、あなたの心を傷つけたのだろうか。
それはすぐに癒える傷だろうか、それとも墓場まで連れて行くような傷だろうか。
教えて。
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失恋して大粒の涙を落とす君に、「好きだ」と僕は告げた。
もっと時間が経ってから、少なくとも君が失恋の痛手から、回復してから言うつもりだった。
君は目を瞬かせる。
もう修正はできない。
僕は狼狽しながら「君の価値が分からないヤツなんて相手にしなくていいよ」と勇気を奮って告げた。
彼氏彼女になって初めて迎えた朝。
君の家まで迎えに行く。
「おまたせ」と君は、はにかむ。
「そんなに待っていないよ」と僕は言った。
そして並んで歩き始めた。
こういう時は、手を繋ぐもんだよな、と僕は気がついた。
僕はぎこちなく、君の指を軽く握る。
驚いたように君は振り仰ぐ。
そして笑う。
「iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

------

僕は、無意識に緊張しながら最後の嘘をついた。
我ながら、それはどうしようもない嘘だった。
「怖いものなんてないよ」と言った声が震えていた。
君がいなくなる日が怖いのに、素直にそれが言えなかった。
君が嘘だと見破ってくれたらいいのに。
そんな都合の良すぎることを僕は願ってしまった。
君は夢を追いかけ続けていた。
ほんの子どもの頃から、変わらぬ夢を見続けていた。
けれども、その夢を叶えることができなくなってしまった。
君は笑顔で「仕方ないな」と言った。
夢ならいっそ覚めてしまえ。
ずっと隣で、君を見つめ続けていた僕は思う。
君が負った心の傷は深く、痛々しいものだ。
星の数だけ恋の話があるのだろう。
アダムとイブが出会ったその日から、連綿と続いている恋の話があるのだろう。
幸せな恋、傷だらけの恋、あたたかな恋、苦しさがにじむ恋。
それこそ夜空に輝く星の数だけあるだろう。
僕と君と出会って、恋に落ちたのは珍しくもない。
いつか夜空に輝く星になる。
他の人よりも虹彩の色素が薄い君は、その分だけ日差しに弱かった。
天気が良ければ、サングラスは必需品だった。
君の淡い色の虹彩が見ることができないのは、残念だったが仕方ない。
「さっきから何を見てるの?」と君が尋ねてきた。
「サングラスが似合うなって」と僕は誤魔化した。
ほどほどに。
二人はソファの上に座って、撮りためたDVDを消化していた。
僕はほんの少しばかり退屈を覚えながら、TVを眺めていた。
ふと視線を感じて、隣の存在を見やる。
君は満面の笑みを浮かべながら、僕の指を指先でつつく。
「どうしたの?」と君に尋ねると「幸せだなぁ、と思って」と笑顔の君が言った。
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
本当に、ごめんね。」

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僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。
それは相手を守るための嘘だった。
「君がいなくても何も変わらないさ」と僕は言った。
もっと優しく嘘をつけないものかと自分の馬鹿々々しさに呆れる。
君の瞳が揺れるのを見て心の中で謝った。
本当に、ごめんね。
これが最後の嘘だから。
シングルベッドの上でぬくもりを分ちあっていた君の目が開いた。
「おはよう」と僕は言った。
「いつから起きていたの?」と君が尋ねる。
「ついさっきだよ。休みの日でも起きる時間は変わらないんだ」と僕は答えた。
僕の腕の中で君は「朝なんて来なければいいのに」と呟く。
それが愛おしかった。
「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。」

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僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と寝言のようなことを言った。
君と過ごす毎日がくだらないことなんて一つもなかった。
それでも言わずにはいられなかった。
僕の本当の願いは、どうせ叶わないから。
「もう何もかもが疲れたんだ」と君は言った。
それは君からのSOSだと僕には分かった。
「今日の晩ご飯は、君の好物にしようか」と僕が言うと、虚ろな瞳がそろそろと上がり、宙で絡み合った。
「生きている理由なんて、そんなもので良いと思うよ」と僕は告げた。
「あなたは楽観主義者だ」と言う。
『海を見に行こう』と君が先週末に言った。
二人が同時に休みをとれる日の降水確率は100%だった。
『雨予報が出てるけど』と僕は鼻で笑う。
すると君は『雨合羽を持っていく』と笑った。
そこまでして海を見たいという気が知れなかった。
それでも、付き合う自分も大概だがお人好しだな、と思った。
君は恥ずかしそうに、僕の両手のひらを指先でつつく。
悪ふざけのつもりだろうか。
それとも言いたいことがあるのだろうか。
僕はシャープペンシルを離して、君を見つめる。
すると君は赤面して「ごめんなさい」と謝った。
「邪魔するつもりはなかったんだけど、寂しくて」と君は理由を白状した。
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。
それは本音と真逆の嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と君に告げた。
そんなことを口にしても輝かしい日々は変わらない。
どうして最後になって、そんな嘘を君につこうと思ったのだろう。
本音は仕舞い込んだまま笑う。
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