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「 140文字の物語 」
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注文していた制服が届いた。
お母さんが「念のために袖を通してちょうだい」と言った。
制服の入った大きな箱を自分の部屋まで持っていく。
いそいそと制服に着替える。
全身鏡に映った姿は、どこか頼りなさそう。
似合っているかな?
「サイズはどうだった?」と家事の合間にお母さんが声をかける。
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君は部屋に上がるなり、靴下を脱いだ。
裸足の美しさに、僕は顔に出さないようにしながらなぞる。
君はいつでも自然体だった。
それが羨ましくあり、憧れでもあった。
裸足の君の美しさは、何に喩えればいいのだろうか。
僕の持っている語彙では表せなかった。
君に気づかれないように視線を逸らす。
同じ部屋にいて、黙りこむこと1時間。それが限界だった。
僕はスマホでタップする。
『君のことが嫌いになったわけじゃない。愛している』とLINEに送信する。
すると君はLINEに気がついたようだった。
満面の笑みを浮かべながら、僕の両手のひらを握る。
「私も愛している」と君は音にして届ける。
獰猛な虎のような心の持ち主だった。
いつか人間をやめて虎になるかもしれない。
そう思わせるような精神をしていた。
そんな彼が姿を消した。
誰かが噂する。
竹林に虎がいる。
人間に慣れていて逃げも隠れもしない。
もしかして彼かもしれない。
私は期待して竹林を目指して走り出した。
「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
君は何も知らないままでいて。」

------

僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは夢を現実にするための嘘だった。
それは未来へと歩き出すための嘘だった。
「すべて夢でも構わない」と、思っていることと真逆なことを言った。
君は何も知らないでいて。
たとえ夢が叶わなくても、僕が君から離れていくのは変わらないから。
「あまりに卑屈すぎるのも考えものですわ」と君は優雅に微笑んだ。
「わたくしを誰のものだとお思いで?」と続ける。
「君は君だけのものだろう」と僕は言った。
「婚約者だというのに情のないお言葉」君は扇を広げて、口元を隠す。
「わたくしのことお嫌いなのですか?」君が穏やかな口調で訊く。
黎明の時、朝が近づいてきている刻。
敵対している同胞は無防備な少女に斬りつけようとしていた。
青年は神剣・神楽でもって、それをかばう。
刀と刀ぶつかりあい、甲高い音がした。
それが最後に同胞は逃げるように立ち去った。
「怪我はないか?」と青年は訊く。
「安心してください」少女は言う。
室内は暖房が利いているようで、暑いくらいだ。
出された冷たいお茶を一気飲みしてしまった。
「おかわりいる?」君が尋ねる。
「そうしてくれると助かる」と僕は答える。
君が立ち上がって部屋を出ていこうとした瞬間。
僕は軽々しく、君の指先を軽く握る。
まるで独りにされるのが寂しいように。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をついた。
本当は怖くて仕方がない。そんなことを鼓動が知らせるように耳の奥まで響く。
それは前へ進むための嘘だった。
「すべて夢でも構わない」と、決意した振りをした。
本音は仕舞い込んだまま、君から離れる。
いつか描いた夢を現実にするために。
返ってきた答案用紙を見ていると、上空から声が降ってきた。
「あーあ、なんて可哀想な君」とロリポップを舐めている悪魔が笑っていた。
「また赤点かい?」悪魔は滑るように地面に着地をすると答案用紙を奪う。
「人間風情が魔界なんかにくるからだよ」と答案用紙はひらひらとした蝶に変化した。
「最後にもう一度だけ」とお母さんが言った。
そして荒れた手が私の頭を撫でる。
ぎゅっと抱き寄せられて「幸せになるんだよ」とお母さんは涙ぐむ。
どうして、そんな悲しい顔をするのか、私には分からなかった。
「時間です」とシルクハットを被った男性は言った。
お母さんは嗚咽を堪えて笑った。
気がつけばベルト穴が一つ分、緩くなってきていた。
くりかえされる同胞との戦いで贅肉がこそげ落ちたのだろう。嫌な理由だった。
ふいに神剣・神楽が律動した。
敵対している同胞が近い証拠だ。逃げる間もなく同胞はやってきた。
「上から失礼!」と会釈しながら、撫でるように青年の首を狙った。
錦秋と言ってもいいほど鮮やかな葉が川に散っていた。
どこまでも流されて行き、やがて大海に通じるのだろうか。
そのような姿が好ましく思えてきて、ついつい身を乗り出して眺めてしまった。
そんな僕の手を力強く、腕を君は指先でなぞる。
くすぐったさから、僕は身をよじった。
それに君は笑う。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
本当に、ごめんね。」

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僕は、愛を囁くように優しく最後の噓をついた。
これっきりなら、イチゴが乗ったショートケーキのように甘く。
それはどうしようもない嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と僕は言った。
不幸になるのは僕ひとりで充分だ。
君はいつまでも幸福の中で笑っていて。
本当に、ごめんね。と謝る。
夜道を二人は並んで歩いていた。
「君に出逢わなければ幸せだった」とあなたは言った。
後悔にしては甘く、痛みを抱えている割には明るい口調だった。
「それなら、一緒に不幸せになりましょう」と私は言った。
「君がそれでいいのなら」とあなたは微苦笑を浮かべた。
それを見て、私も微笑んだ。
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