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「 140文字の物語 」
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僕は君の「大丈夫」が、大嫌いだ。
君が「大丈夫」と笑う時は「助けて」と叫んでいる時だから。
弱みを見せられない気持ちも分かる。
迷惑をかけたくないという気持ちも分かる。
けれども、僕は君に頼って欲しいと思う。
僕はそのために君の傍にいるのだから。
今度は僕に「大丈夫」とは言わないで。
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乗り越えられない壁が僕の前に立ちふさがった。
ここまでが限界なのだろうか。
せっかく、ここまで順調に事は進んだというのに。
僕は唇を噛み、ぎゅっと拳に握る。
「どうやったらこの壁を破壊できるかな?」と君は楽し気に言った。
どうやら君は壁に夢中だった。
それが生まれ持った才なのだろう。
連続する悪夢に、僕は君の手を握りしめる。
君だけは守る、と心の中で誓いを立てる。
君とどこまで逃げれば、楽園にたどりつけるのだろうか。
それを悪夢がはばむ。
僕たちは何もかもを失って、互いの存在だけが残った。
悪夢から一刻も離れるために、手を握りながら走り続ける。
幸せを夢見ながら。
彼女がさりげなく、僕の両手に触れる。
ひんやりとし手に冷たくはないかと、僕は握り返した。
「勘違いしないでよね」と彼女は僕を睨むように見つめる。
「ちょうどよいホッカイロがあると思っただけなんだから」と言う。
「僕は君と手を繋ぎたいと思ったんだ」と僕は微笑んだ。
彼女の頬が染まる。
「iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

------

僕は、心の痛みに堪えながら最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
決して、君のための嘘ではなかった。
だから胸がしくしくと痛んだ。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」と微笑みながら僕は言った。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。
そしたら手と繋いで逃避行できたかもしれない。
君に告白してからというもの、ずいぶんな歳月が経った。
答えは保留のままだった。
『好きも嫌いも分からないまま、付き合うことはできない』と君はどこまでも誠実に言った。
実は、それは断り文句だったのかもしれないと思うと心配になった。
君はいつになったら告白の答えを出してくれるんだい?
瞬く星が道を照らして、まるで僕を見守るようだった。
外灯がぽつりぽつりとしかない道は、天体観測にぴったりだった。
夜空を見上げて、星座を作ろう。
泣きたい気分は、どこかに行ってしまった。
今は、瞬く星に夢中だった。
宇宙とシンクロしているようで、呼吸が楽にできた。
僕は白い息を吐く。
君はハラハラと涙を流した。
静かに泣くさまは僕の心を切り裂く。
僕は勇気を振り絞る。
無理矢理、君の両手のひらをぎゅっと握る。
「好きなだけ泣くといいよ。涙を隠さなくていい」と僕は言った。
君は目を瞬かせて、一際大きな涙を零した。
それから泣き笑いの顔になって、「ありがとう」と頷く。
「iotuは、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

------

僕は、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をついた。
いっそ子どものように、泣いてしまえばスッキリとしただろうか。
それを相手を楽にするための嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と、君の瞳を見て言った。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。
僕の最後の嘘は見事に成就する。
大柄なあなたは、まるで大型犬。
近すぎると怖い、離れても嫌。
そんな乙女心を分かってくれるかしら?
噛みつかれないと分かっていても、傍に近寄られると心臓が跳び跳ねる。
まるで熱でも出たかのように、ドキドキとする。
だからといって距離を開けられると、それはそれで寂しい。
複雑なのよ。
思い出と呼ぶのは、まだ感傷的な出来事だった。
君と離れてから、それほどの月日は経っていない。
それなのに僕の心の中は、君であふれていた。
食が細い君は、誰かと一緒じゃないと完食できなかった。
それでしばし病院のお世話になったりしていた。
そんな君が引き止めもせずに、見送ってくれた。
しくじった、と神剣・神楽を振り抜きながら青年は思った。
敵対する同胞は妖艶の笑みを浮かべながら、青年の軌道からわずかにそれた。
そして青年の首を狙って小剣を振るう。
青年は刀の軌道を変える。
そして、小剣を受け止める。
生死のやりとりはいつだって、真剣勝負だった。
命は一つしかない。
憧れた恋人との初デート。
雑誌で入念に調べてきたし、失敗はないと思う。
恥ずかしすぎて、さっきから視線がそわそわと揺れる。
デートなんだから、手ぐらい繋いでもいいよな。それとも許可を取った方がいいのか。
思考がぐるぐる回る。
目を逸らしつつ、君の手のひらを軽く握る。
君が握り返した。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
何度も心の中で、大丈夫とくりかえす。
きっと君はこの嘘に騙されてくれる。
それは本音とは真逆の嘘だった。
「ずっと君と一緒だよ」と君に告げた。
君は笑顔になって「うん」と喜んだ。
罪悪感にさいなまれるがもう、覚悟は決めたんだ。
チャペルの鐘が鳴る。教会から出ればフラワーシャワーの洗礼を受ける。
今、この瞬間、世界中の幸せを二人じめしている。
花婿の腕を借りながら、私は階段を一歩一歩降りていく。
幸せの絶頂というのは、こういうことをさすのだろう。
世界で一番、幸せな花嫁だった。
きっとこれからも変わらない。
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