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「 140文字の物語 」
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「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

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僕は、君から目をそらしながら最後の嘘をついた。
君の目を見たら嘘だと見透かれてしまうかもしれないから。
それは相手を守るための嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と足手まといだと匂わせるように言った。
これが本音なら、楽だったのに。
君という存在にどれだけ助けれているか。
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二人はもつれこむように路地裏に隠れた。
「あんたの責なんだからね」少女が少年を睨みつける。
「ごめん」と少年は謝った。
少年は優しく、少女の腕に指を絡める。
すると仄かに光り出して、少女の腕から一振りの剣が生まれてくる。
痛みを耐えるように、あるいは恍惚するように少女は瞳を閉じる。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

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僕は、愛を囁くように優しく最後の嘘をついた。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
どうかどうか、君には幸福になって欲しい。
それから出た願いだった。
「君と過ごした日々がすべて夢でも構わない」と囁いた。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けないだろう。
二人で過ごした過去を否定したのだから。
火照った体には、雨に濡れて気持ちいい。
傘を差さずに歩き続けた。
体には、まだ余韻が残っていた。
冷たい雨に降られるぐらいでちょうどいい。
それに雨に打たれていると、冷静さが戻ってくるような気がした。
自分でも意外な展開だった。
こんなことは初めてといってもいいだろう。
二度目はない。
「やましいことなんて一つもないよ」と僕が言う。
「それなら証拠を見せてよ」と君が言う。
「今までも、どれだけ言葉を費やしても信じなかったじゃないか。もう別れようか」と僕は切り出した。
君に振り回されるのに疲れたところだった。
君は泣き顔で、僕の指を指先でつつく。
「ごめんなさい」
学校で被災地に千羽鶴を折ろうという課題が出た。
時間内に折り終わることができず、家に持ち帰ってきた。
ダイニングで間に合うだろうかと黙々と折っていると、兄が帰ってきた。
「お腹空いた、なんかない?」と兄は母に尋ねる。
「もうすぐ晩ご飯にするわよ」と母が答える。
やっと折り終わった。
気心知れたバーで独りで呑んでいた時のことだった。
「隣いいかしら?」と妖艶な女性が声をかけてきた。
「どうぞ」と僕は頷いた。
やたら度数の高いカクテルばかりを注文する女性が心配になった。
「どうかしたんですか?」と踏み入ったことを尋ねてしまった。
鈍感だから絶好のチャンスを逃す。
寒いは通り越すと痛いになると知った寒い朝。
それでも制服のスカートを折るのはやめられない。
ちょっとでも可愛いって思ってほしいから。
「それにしても寒いな」と彼が電車のつり革につかまって言った。
「そうだね」と頷いた瞬間揺れる車内。
「捕まって」と言われて恐る恐る、腕を両手で包む。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
最後にふさわしく、それは相手の幸福を祈る嘘だった。
「世界は希望で溢れている」とこれから旅立つ君への最後の言葉にした。
本音は仕舞い込んだまま。
苦難の道を行く君にせめてもの言葉を贈る。
ついていければどんなに良いだろうか、僕は思った。
静かに読書をしていた君が荒々しく本を閉じた。
本が痛そうだ、と思った。
君は目を三角にして、僕を見た。
「こんな終わり方なんて、望んでいない。こんなのハッピーエンドじゃないよ」と僕に訴える。
僕が書いた本ではないから、返答に困る。
書きかけの文章を見て、君が望む話にしようと思った。
夜更けに幼馴染からLINEが飛んできた。
『会いたい』とだけ送られてきた。
孤独に漂っているのも飽きてきたところだった。
『そうだね』とスマホをタップする。
すると『迎えに行く』と秒で返ってきた。
コートとマフラーを手に取ると慌ただしく支度をする。
君に感謝しなければならない、と思った。
部屋に沈黙が落ちてから、そろそろ一時間。
お喋りな君がそわそわし始めた。僕も大人げなかったと後悔し始めている。
どちらが先に切り出すか、勝負のようになってきた。
時刻を知らせる鐘が鳴った。
君は遠慮がちに、僕の指先を指先でつつく。
僕が振り向くと「ごめんなさい」と言った。
仲直りだ。
「サヨウナラ、愛しい人」と君は大袈裟に言った。
偽りの関係は今日でおしまいだった。
僕は君のことが好きだったけれども、君にとってはただの恋愛遊戯だった。
「最後ぐらい嘘をやめよう」と僕は言った。
「いつから嘘だってわかってた?」と君は微笑みながら、残酷な質問をした。
「最初から」
君は「消えない愛の証をちょうだい」と言った。
だから胸元にキスマークをつけた。
いつかは薄れていく痕に、君は嬉しそうに笑った。
そしてお返しというばかりに、僕の手の甲を強く吸った。
けれども痕はつかなかった。
だからか、甘噛みをして歯痕をつけた。
その痕を見て、君は嬉しそうだった。
複数人分の血の量に僕は狼狽する。
幼少の少女には、この無惨な光景はどう映っただろう。
大きな掛け時計の中に隠れたから、死から逃れられた。
犯人はいたぶるように一人ずつを殺していったようだ。
悲鳴は大きな掛け時計に消されてしまったのだろうか。
幼い少女は言葉を忘れたように話さない。
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