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「 140文字の物語 」
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目をあわせたその一瞬、私は恋に落ちました。
初めての恋だから、作法の一つも分からない。
涼し気なあなたの瞳が私を見つめるだけで、心臓が駆け足をしたようにドキドキと鳴る。
それだけでいい恋でした。成就させようなんて思いもしない恋でした。
あなたの隣に立っていられるだけで幸せです。
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君はいつでも窓を見る。
その姿を見る度に、家の中に閉じこめているのはかわいそうなのだろうか、と思ってしまう。
不安でいっぱいになる。
本当は広い野原を走り、恋の一つでもしたくなるのだろうか。
君は今日も窓の外を眺めるように、定位置にいる。
私は「今日はカリカリだよ」と声をかける。
「iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

------

僕は、無意識に緊張しながら最後の嘘をついた。
それは相手を守るための嘘だった。
これで最後になるのは、離れ離れるになる運命が待ちかまえているから。
「欲しい物は手に入れたから、もういいんだ」と僕は嘘をついた。
一番欲しかったものは手に入らなかった。
こんなことしか言えないなんて。
青年は初めて同胞殺しの神剣・神楽を手にした日を思い浮かべる。
すでに過去のことだったが、あの日受けた痛手は今でも思い出せる。
死んでしまうのではないかというほど、血が流れていた。
けれども神剣・神楽は嬉しそうに律動して、青年を同胞殺しの戦いへと誘った。
それに恐怖を青年は覚えた。
泣きはらした君に優しく、眠りがやってきたようだ。
ただ僕の腕を折れんばかりに握るほど、まだ不安が滲んでいるようだった。
僕は君の手に自分のそれを重ねて「大丈夫だよ」とささやいた。
夢の中では、どうか幸福でありますように、と祈りながら。
規則正しい胸の上下を見ながら僕は手を離した。
「iotuは、小さく笑って最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

------

僕は、小さく笑って最後の嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
最後にはふさわしくない、そんな嘘を君についた。
「ずっと君と一緒だよ」とできない約束をする。
ずっとなんて嘘だ。別れる日が来る。
その時、君は僕の嘘を責めるだろうか。
今この瞬間嘘だと見破ってくれたらいいのに。
貴方が贈ってくる花は、いつも薔薇。
それを花瓶に活けながら思う。
花言葉なんて、貴方は知らないんでしょうね。
だから花屋から勧められるままに、紅い薔薇を贈ってくる。
私はしっとりとした花弁をなぞり、貴方を想う。
明日は何色の薔薇が届くのだろうか。
花びらから手を離して、未来を考える。
君は高熱を出して、関節痛に悩まされていた。
布団の中でガタガタと震え、体をよじり、呻き声をあげる。
僕ができることは少ない。
君の枕元にいて、君の手を手に取るだけだ。
いつもは僕より冷たい手が熱かった。
何もできない自分が不甲斐なく、繋いだ手に滴がポツリと落ちた。
たった一滴だけ。
柔らかな感触とあたたかいぬくもりを感じた。
横を見ると君が目を逸らしつつ、僕の指を指先でつつく。
何か言い出せないことでもあるのだろうか。
モールス信号のように、君の指先が僕の指をタップする。
そのリズミカルな感覚に僕はにやけてしまうのだけれども、君にバレたら怒るのだけが分かる。
「iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

------

僕は、耐えがたい痛みをそれでも堪えながら最後の嘘をついた。
それは前を進むための嘘だった。
君がいない未来へと進むための最後の嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と僕は痛みに苛まれながら言った。
君の瞳は、信じられないものを見るように揺れていた。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
他の誰かに言われても、心に響かない。
何度言われても、今まで歓喜することはなかった。
それなのに、君が言うと違って聞こえた。
きっと君限定の魔法の言葉なんだろうね。
君は今日も笑顔で僕に『大好き』と言う。
僕の心臓がトクンッと跳ねた。
そして、僕は耳までに真っ赤になっているだろうね。
君は『じゃあね』とも、『また明日』とも言わなかった。
僕に『サヨウナラ』と言った。
君と一緒の未来は、もうないのだと思い知らされた。
だんだん小さくなっていく背中を見守って、涙をこらえた。
君が選んだ道を、いつか祝福するから、今だけは見つめ続けてもいいよね。
心の中の未練が囁く。
僕は、楽しそうにしゃべる君の横顔を盗み見ていた。
面と向かって顔を合わせるのは、まだ恥ずかしかったから。
おしゃべりな夢中な君は気がつかない。信号が点滅していることを。
僕は目を逸らしつつ、君の両手を握る。
君は大きな瞳を瞬かせる。
荒々しい運転のトラックが横断歩道を走り去った。
「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

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僕は、無理に笑顔を作って最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のための嘘だったはずだ。
それがいつの間にか、こんがりがって傷つけるような言葉になった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と僕は言った。
君を信じていた。今でも君を信じている。
胸の痛みは消えやしないな、と思った。
永遠の約束をした。
果たせないかもしれない。
破られるかもしれない約束をした。
死が二人を別つまで共にいると約束をした。
まるでプロポーズのような約束だったけれども、二人は真剣だった。
絡んだ小指だけが、証拠の儚い約束だったけれども。
二人は叶えることを信じて、小指を絡めたのだった。
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