忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ソファの上に二人並んで、撮りためた番組を見ていた。
タイトルだけで選んだドラマは、どうやらホラーのようだった。
怖いシーンが出る度に君は力強く、僕の腕にしがみつく。
「見るのやめようよ」と君はか細く言った。
「でも続きが気にならない?君が嫌なら違うヤツにするけど」と僕は言った。
PR
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

------

僕は、君から目をそらしながら最後の嘘をついた。
このままだと膠着状態だった。だから、それは現状打破のための嘘だった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と僕は謝った。
君が今言ったことは嘘だよ、と言ったら僕は信じそうだった。
これが本音なら、楽だったのに。僕は溜息をついた。
「指輪、買ってやれなくてごめんな」と籍を入れる男性が言った。
「私は指輪よりも愛がいい」と婚姻届けを埋めながら私は言った。
「でも形になった方がいいだろう?」男性は苦笑いをした。
「あなたが愛してくれたことが一番の幸福よ」と私は心から想っていることを伝えた。
複雑そうな顔をする。
「今まで、お仕事はどうしていたんですか?」少女は尋ねた。
「学校を卒業してから、親戚の仕事を手伝ったりしたが、これといって就職したことはなかったな」と青年は答えた。「両親が残してくれた資産で充分だった」と続ける。
青年が独り生きていくのには、充分な財産を両親は残してくれた。
眼球の奥に痛みを感じた。それほどまでにパソコンで資料作りを没頭することに気がついた。
目薬はどこだろう。確か引き出しにあったはずだ。
もう少しで資料が完成する。今日はそこまでやってしまいたい。
まぶたを閉じて、目を押さえる。疲れていることに気がついた。
屋上で二人して目をあわせた。
君は恥ずかしそうに、僕の指先を握る。僕はその細い指を力強く、握り返した。
そして頷いた。
引力に惹かれるように、二人は屋上から飛び立った。
不思議と後悔はなかった。手を繋いでいたからだろうか。
風を切り、目を瞑る。痛みが先か、気絶が先か、どちらだろう。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
頼むよ、ごまかされてください。」

------

僕は、君から目をそらしながら最後の噓をついた。それはきっと必要じゃない嘘だった。
「もう、迷わないよ」と、心の中は迷っているのに告げた。
君はどんな風に、この言葉を受け取っただろうか。
頼むよ、どうかごまかされてください。一生一度の嘘にするから。もう二度と君に嘘をつかないから。
「先輩たちは、いつでも仲良しですね!」と後輩の女子生徒から言われた。
どこか含みを持っていたのは、間違いがない。
「幼馴染なんだ。幼稚園からずっと仲良しなんだ」と馬鹿が言った。
僕は幼馴染の肘を小突いた。
少しはこっちのことも察しろよ、馬鹿。僕らは同性愛と勘違いされているんだよ。
女の子から恋の告白された。
精いっぱいの勇気を奮ったのだろう。何度も練習したのだろう。
「気持ちは嬉しいよ。でもこの手紙は受け取れない」と俺は言った。
女の子の瞳が潤んだ。
「俺は誰も性的には愛せないんだ」と隠していたことを伝えた。
君が嫌いではないと解って欲しいと願っていたから。
僕にとって春の日だった。人生の春という意味でもあったし、青春の1ページでもあった。
君が力強く、僕の手のひらを指先でつつく。
言い出したくて、言えないことがある証拠だった。だから僕は微笑んで「どうしたの?」と君に尋ねる。
君は頬まで赤くして、うつむいた。
そして小さな声で言った。
「iotuは、感情を抑えながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
本当に、ごめんね。」

------

僕は、感情を抑えながら最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
幸いでもなく、幸福でもなく、幸せのため。なんてみじめなものだろう。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と君の目を見て言った。
最後ぐらい君の瞳を見つめていたい。
本当に、ごめんね。と僕は声にせずに。
夕陽が美しい日だった。いつものように二人そろって、帰り道を歩いていた。
けれども、君の雰囲気が違っていた。
「お願いがあるの」と君は重たい口を開いた。
足音は途切れた。
「嫌い、って言ってよ」と君が言った。
「何があったの?」と僕は尋ねた。
君は俯いて「もう一緒にいられない」と言う。
最高に美人の女を手に入れた。誰もが高嶺の花と諦めた女をとうとう手にしたのだ。
最初は、そのことを無邪気に喜んでいた。
けれども、日々日々に後悔がのしかかってきた。
女は綺麗なだけ名存在だった。外見だけで選んでしまったことに、後悔した。
女は家庭的なことを何ひとつできなかったのだ。
もうすぐ二人の間に子どもが生まれる。
その記念樹になるような木をパソコンで調べていた。
庭に植える木は何が良いだろうか。
すると、桜が検索に引っかかる。
馴染みのある木だし、花が散っても葉桜として楽しめる。
君が病院から帰ってきたら相談しようと思った。
君は喜んでくれるだろうか。
僕は、できない約束をしたくなかった。
僕は、守れない約束をしたくなかった。
それでも、君がまなじりに涙をためているのに気がついて、約束をした。
仕方なく、君の両手を僕の両手で包む。冷たい両手は、痛々しいぐらいだった。
「必ず、君の元に帰ってくるよ」と僕は君に果たせない約束をした。
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH