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「 140文字の物語 」
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春の天気はあたたかくなったり、雨が降ったりと揺れ動く。
そんなことが分かっていたのに、折り畳み傘を忘れた。
もちろん置き傘なんてしていない。
悪いと思ったけど、昇降口にあった、ビニール傘を拝借することにした。
『明日には返すからさと』心の中で思って、傘をパンッと勢いよく開いた。
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時期が時期なだけに、修学旅行に行けるだけでもラッキーだった。それが近場だとしても。
僕はふらふらと見て回っていた。目新しいものに夢中になっていた。
すると君が怒り顔で、僕の両手に触れる。「班ごとに活動でしょう?」と甲高い声で言った。
それが嫌で僕は班からこっそり抜け出したのに。
「エスカレーターも金属でできているんだよな」と幼馴染が言った。
「まさか、食べる気?」と笑えないことを言うと「胡椒をかけてでも食べたいぐらい、腹が減ってる」と幼馴染は答えた。
「食べても美味しくないと思うよ」と肩を落とす。
この天然の幼馴染の考えることは分からない。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

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僕は、声が震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
君に嘘だと気づかれないように、慎重に。
それは現状打破のための嘘だった。
このままでは二人はだめになる。己の役割を忘れてしまう。
「全部忘れていいよ」と僕は言った。
なんて冷たい言葉だろう。
君のために・・・まだ、泣いちゃだめだ。
これから少女に与えるものは、愛なんて綺麗なものじゃない。
ただの肉欲だ。
それで清らかな少女を穢してしまう。
青年は、そのことに罪の意識と喜びが湧きあがる。
ようやく少女が手に入るのだ。これまで何度も意識をしてきた。
少女の瞳は曇りなく絶大な信頼が浮かんでいた。加虐の愉しみが湧く。
巫女は日課として、澄んだ水を汲む。そして、その水を銀の水鏡に移しいれる。
慎重に、零さないようにと静かに。
水鏡の水面に波が不意に起こる。今までにはなかったことだ。
巫女は水鏡を覗きこむと、馬が走っていく姿が映った。戦争が始まるのだろうか。
巫女はこのことを国王に告げるか悩む。
文章という大地に、万年筆という川を描く。それこそ何度も重ねる。
それでも文字は書けるものの、書きたい言葉は書くことができない。
大地はいまだ不完全で、川は散乱している。
それでも諦めずに、自分自身の言葉を重ねあわせていく。
いつか大地に美しい川が流れることを信じて。手を動かす。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

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俺は、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
まるで恋心を告げるように言った言葉は冷たかった。
それは現実逃避のための嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と俺は言った。
間近にあった目は大きく見開かれている。こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。
そんな傷つけるような嘘。
「私は本気で怒ってるんだから。もう口を利いてあげない」窓に向かって私は言った。
可愛くない顔してる。言った言葉も子どもっぽいし。
落ち着いた足音が耳に響く。
それから、頬に柔らかい感触。
「何するの!?」私は彼を見た。
「口を利かないんじゃなかったっけ?」破られた不可侵条約に睨む。
急に降ってきたにわか雨。「折り畳み傘ならあるよ」と私は言った。
「それともコンビニで傘を買う?」と訊くと「今月は金欠。入れてもらってもいい?」君は笑った。
私の心臓がトクンッと跳ねた。
「相合い傘になっちゃうけどいい?」
「もちろん。濡れて帰るよりもマシだ」君は笑顔のまま言った。
「右と左、どちらが利き腕ですか?」と看護師が尋ねた。「
右です」と僕は答えた。
「じゅあ、左腕にしましょう」と看護師が注射を用意する。
僕はシャツをめくる。
「ちょっとチクってしますよー」これから痛がる未来を想像して、僕は憂鬱になる。
腕時計の短針を睨みながら、ためいきをついた。
君が優しく、僕の腕を指先でつつく。僕は振り返り、君を見た。
「もう春なんだね」と君は笑った。視線の先にはパンジーの花が寄せ植えになっていた。
あんな風に君に寄りかかってみたいけれども、まだ恥ずかしくてできない。
「パンジーの花言葉、知ってる?」君が尋ねる。僕は小さく横に振った。
「iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

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僕は、いっそ滑稽なほど明るく嘘をついた。
君から見たら、僕は首つりピエロだろうか。
場を明るくするための嘘は、自分の幸せのための嘘だった。
「怖いものなんてないよ」と大袈裟なほど明るく言った。
それに君は少しは安心したのだろうか。君は僕に笑顔を見せた。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
雲を見上げながら「何か、退屈だな」と君は言った。面白そうなことは、やりつくした後だった。
「こんな日があってもいいじゃないか」と僕は言った。
「退屈で死にそうだよ」と君は大袈裟に言う。
すました横顔を見ると、言葉通りになりそうだった。
君は独りで天使の梯子を上っていきそうだった。
本を手に取る度に、漠然とした痛みが走る。
同じ名前が並ぶ書籍に、涙が浮かぶ。
彼は輝く一等星と同じ名前を筆名にした。
どうしてそんな名前にしたのだろうか。聞くことはできない。
彼は星の一つになって、夜空に輝いているのだから。
本を開けば、どんな世界にもいける。彼は笑っているようだ。
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