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「 140文字の物語 」
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修学旅行は新鮮なものばかりだった。
私はスマホで撮影をしていた。インスタをしているわけではないから、本当に記念だ。
良い香りがしたから沈丁花だろうか。
もうそんな時期なんだと思っていたら、同じ班の男子に力強く、私の手を両手のひらを折れんばかりに握る。
「集合の時間だ」男子は言う。
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「iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

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僕は、痛みを堪えながら最後の嘘をついた。
それは未来に向かって歩き出すための嘘だった。
「もう、迷わないよ」と君に向かって嘘をついた。「もう、大丈夫ね」と君は朗らかに言った。
嘘だと言えない道化師に、君は迷いなく言う。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。
そうしたら後悔なんてしないから。
神殿の中で一生を過ごす聖女に、僕は恋をした。
透明な歌声で、毎日、神に向かって祈りを捧げる姿は可憐だった。
そのまま、幸せだったら良かったのにと僕は思った。
神殿と王宮が対立をしたのだった。
願わくばこのまま、聖女には知られないでほしいと、王宮側の僕は思った。
笑顔でいてほしい。
白金色の頭髪の少年が、悠々と坂道を上っていく。
息も切らせずにすたすたと上っていく様子は、少女にとって悔しいものだった。
すでに息が切れ、肩で息をしている。それでも少女には負けられないと思った。
何事もないような顔をして、少年の隣を並ぶ。
そして少女は「おはよう」と声をかけた。
黎明の時間がやってきた。鼓動が高鳴る。朝を迎える時は、いつでも緊張する。
星々は徐々に消えていき、太陽がゆったりと昇ってくる。月すら薄くなり、白く染められる。
そんな時間にうずくまって傷つく。朝なんて来なくてもいいのに、と思ってしまう。
鼓動は鳴り響くのに、目覚めが嫌いだった。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「絶対にあきらめたりしないよ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は、目をそらしながら最後の嘘をついた。それは本音とは真逆の嘘だった。
そんな嘘をつきたくなかったけれども、結果的にはつくことになった。
「絶対にあきらめたりしないよ」と僕は言った。
それが嘘だということは、君は気がついていたのだろう。何も言わなかった。
もう、覚悟を決めたんだ。
いつもの喫茶店に呼び出された。いつものようにホットティーを頼んだ。
「どうしたの?」とあなたに尋ねた。
懐かしいレコードがかかった喫茶店は自分の声だけがして、静かだった。
あなたは俯いていた。熱いホットティーがテーブルの上に穏やかに置かれた。
「別れてほしいんだ」とあなたは言った。
二人で映画を観に来ていた。恋愛映画はデートにふさわしいだろう。それに人気の作品だった。
人が人の欠片を探す、というようなストーリーだった。
照明がついても立ちあがらない君に不審に思うと、静かに泣いていた。
ハンカチで拭うということもせずに、スクリーンをいつまでも見つめていた。
「iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

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僕は、情けなく笑って最後の嘘をついた。
それは現状打破のための嘘だった。
「君にもらったものは全部返す」と僕は言った。
君からもらった優しさも、君からもらった切なさも。二人が描いた思い出も。全部返す。
それぐらいしか君を忘れる方法がなかった。情けない。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
受験生になった僕は、赤本片手に君を待つ。
本当はデートなんてしている場合じゃなかったけれども、君と過ごす時間は貴重だ。
もうすぐ別れ別れになると思うと、切なくなった。
待ち合わせ場所に君は小走りでやってきた。
そして参考書を読んでいた僕を見て、涙を零した。
君の涙の味は塩辛かった。
「僕もお母さんの手伝いをしたい」と子供が言い出した。
何でもやってみたい年頃になったのだろう。
「じゃあ、お買い物を頼める?」と私は言った。
子供ひとりを買い物に行かせるのは不安だったが、それぐらいしか思いつかなかったのだ。
「今日はカレーにするから」と買い物リストを書き出す。
『祖父の脇差しを取りに行くんだ。よかったら君も来ない?』とあなたは誘った。
日本刀を見る機会なんてめったになかったから、二つ返事をした。
待合場所に合わせたあなたはサングラスをしていた。
それがかっこよくて、お似合いだったから、私は思わずはにかむ。
それから私は真剣な表情をした。
春の野原で、君は軽々しく、僕の手のひらを軽く握る。
笑顔の君は春そのもので、僕の心臓はドキリっと弾む。
いつまでも繋いでいたかった手。ゆるりと解けていった。
君はバスケットを見せて「お昼にしましょう」と言った。
そういえば昼時だと気がついた。
それぐらい春の君は魅力的だったんだ。
「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

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僕は、無理に笑顔を作って最後の嘘をついた。最後ぐらいは笑顔で。
それは現状打破のための嘘だった。解決策はこれしかなかった。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」と僕は言った。
「それならいいんだけど」と君は微苦笑を浮かべた。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。せめて君が立ち去るまでは笑顔で。
そろそろシーズンが終わる肉まんが食べたくなった。
小銭ばかりの財布を持って、コンビニに寄る。
学生が立ち寄るコンビニだったから、肉まんがあるか心配だった。
それも杞憂だった。肉まんがあった。思わず微笑んでしまった。
レジで「肉まん一つ」と言った。肉まんを手に入れることができた。
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