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「 140文字の物語 」
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放課後、中庭に水を張ったバケツを運ぶ。
顧問の先生つきではあるが、ささやかな花火大会になった。
本当は夜にやりたかったのだが、学校側から反対された。
花火を持ち寄り、日頃のうっぷんを吹き飛ばそうというのが趣旨だった。
一つ目の打ち上げ型の花火に点火する。
落下傘を見上げる
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恋愛はゲームの中だけだと思っていた。
それがひょうんな拍子で春がやってきた。
遅まきながらやってきた彼女という存在を大切にしようと思った。
小柄で眼鏡が似合う彼女は、俺の優しいところに惚れたんだという。
普段から周囲に親切にしておくもんだと思った。
当たり前のことだった。
泣いている少女を見た。
どんな言葉をかければいいのか分からなかった。
ただ泣いている少女はいつもよりも小さく見えた。
少年は少女の傍らに座った。
手をそっと握る。
温かな体温が伝わってきた。
繋がることで少女の孤独を癒せればいいのに、と願った。
ハラリと零れる涙を見ながら思う
過去は振り返らない主義だった。
恋愛でもそうだ。
振った振られたはよくあることだった。
今が楽しければそれでいい。
そうやって生きてきた。
明日というものはよく解らないあやふやなモノだった。
腐れ縁の友達は『もっと自分を大切にしなよ』と言う。
自分を否定されたようで傷ついた。
ねぇ、独りでいたいの。
これ以上、傷つきたくはないから。
でもそんなことを言えない。
だから息を飲みこむ。
本当は膝を抱えて、部屋の隅で泣いていたいの。
お日さまなんて見たくはないの。
カーテンを閉め切って、淀んだ空気の中で息をしていたの。
外は怖いものでいっぱい溢れているの
「遅い!」着物を着こなした妙齢の女性が小太刀を振るう。
青年は頬をかすった一撃に耐える。
上段から構え、滑るように切り払う。
女性の着物がハラリと斬れる。
本体には刃が通らない。
神剣・神楽も不満そうだ。
跳躍してきた女性と刃を交える。
帰ると決めたのだから、柄を握り締める。
鏡で首筋を確認する。
キスマークが消えない。
上から絆創膏を貼る。
顔がにやけてしまう。
昨夜の情事を思い出してしまう。
肌を重ねるのは久しぶりだった。
もっと体の奥まで貫いて欲しいと思ってしまうのは我儘だろうか。
彼のことをもっと知りたい。
私のことをもっと知って欲しい。
「いつも頑張っているね」飲み会の席で先輩に言われた。
「今の仕事は楽しいですから」と答えた。
カランとグラスの中の氷が音を立てた。
楽しいから一直線で頑張ってしまう。
「困ったことがあったら気軽に言ってね」と先輩は一気にお酒を飲み干す。
「ありがとうございます」と言った。
DVDに焼かれた子供たちは仲良しだった。
シャボン玉を飛ばして楽しそうに遊んでいる。
映像の中の幼なじみはニコニコと笑っていた。
耐えられなかくなって停止する。
現実は残酷だ。
幼なじみはもう笑わない。
毎日のように泣いている。
笑顔を取り戻させるような物はないかとムキになる
現在、天使症候群が流行っている。
背中に一対の羽根がある日、生えてくるのだ。
真っ白な羽根は柔らかく、空を舞うには小さすぎた。
原因は不明で、政府の対応も後手後手に回りがちだ。
人々は漠然とした不安に囲まれながら暮らしている。
幼なじみの羽根は繊細だ。
守ってやらなければ。
-
「お誕生日、おめでとう」何度言われても嬉しい言葉。
私がここにいても良いんだと教えてくれる言葉。
大好きと言われているのと同じ。
誕生日は何度来ても嬉しい。
出会ってくれてありがとう。
そう言われているのと同じ。
だから笑顔で「ありがとう」を繰り返し言うのだ。
幸福な一日だ。
時計を見ると丑三つ時だった。
これから行われる殺し合いには、おあつらえ向きだった。
中途半端に伸びた髪をヘアゴムで結ぶ。
神剣・神楽を手にして部屋を出る。
久しぶりの戦いに神剣・神楽は嬉しそうだった。
青年は静かに家を出る。
少女は今頃、夢の中だろう。
それが一番いいことだ。
手ぶらではなんだからとビー玉を買って姉の家に行った。
すると姪っ子が大切そうにお菓子の缶を持ってきた。
「あのね」と言い、蓋を開ける。
中身は色の綺麗な小石やら押し花。
「宝物箱なの。ビー玉も入れていい?」とおずおずと訊いてきた。
「勿論」と答えると姪っ子は、はにかんだ。
カフェインの取り過ぎで、胃が重たい。
夜も良く眠れなかった。
それでも朝はやってくる。
寝不足の体を鞭打つように、目覚まし時計が鳴る。
這いずるように起き上がり、冷蔵庫を開ける。
正直、何も食べたくないのだが、朝食を抜くわけにはいかない。
牛乳をグラスに注ぐと一気に飲んだ。
それはまるで嵐のようだった。
気がついたら心の柔らかな部分に居座っていた。
その悔しさに耐えながら、今日も学校に行く。
好きになるはずじゃなかった。
予定は未定とはよく言ったもので、視線が彼を追う。
いつも爽やかな笑顔を浮かべているスポーツマン。
無口な私とは対照的だ。
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