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「 140文字の物語 」
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勝気な少女の双眸に陰が落ちる。
ここは結果こそがすべての世界だ。
どんなに努力しても結果がついてこなければ意味がない。
廊下に貼り出された順位表の2番目に名前があった。
誇れる成績だとは思えない。
この学園に入学してから1番目に名前があったことはない。
少女は眦を拭った。
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首筋に貼られた絆創膏。
「虫に刺されただけだよ」と笑う彼女。
街路樹が葉を落とす頃に、虫に刺されることなんてあるのだろうか。
絆創膏の下にはキスマークが潜んでいるのではないだろうか。
自分以外の誰かがつけた所有の証。
臆病だから「絆創膏を剥がしてみてよ」とは言えなかった。
水面に花びらが浮かんでいた。
小さな花びらは微かな風にも揺れる。
今にも沈んでしまいそうな危うさがあった。
少年は花びらを拾い上げる。
水滴が少年の指先を濡らした。
撫でるように滴るそれを少年は手巾で拭き取る。
花びらから優しく水気を拭うと、読み止しの本に挟みこんだ。
夜、眠る前に思うことがある。
どうか、明日が今日の続きでありますようにと。
大好きなあの人と一緒にいられる未来でありますようにと。
神様というものがいるなら、それに願いを呟く。
明日のことなんて分からないから、少しだけ不安になる。
目を瞑るのが怖い。
先ほどから少女は迂回をしてばかりいる。
近道を避けて、あえて遠回りの道を選んでいる。
舗装された道を歩きながら、少年は首をひねる。
やがてゴールにたどり着く。
少女の家が見えた。
「また、明日ね」がっかりした表情の少女に少年は気がつく。
一秒でも長く一緒にいたかったのだと。
少女は眼前に広がる景色に気をとられている。
青年はそれを優しい目で見守っていた。
海に来るのは、もう何度目か。
せがまれたわけじゃないけれど、青年は少女を海に連れてきた。
ふいに風が吹き、少女の長い髪をさらっていった。
飛んでいく帽子を青年はキャッチする。
少女は笑った。
にやにやした顔で上司が私のデスクに近づいてきた。
悪い予感しかしなかった。
「何ですか?」とりあえず尋ねるだけ尋ねてみる。
「今日このあと用事があるかな?」上司が言う。
予感は的中。
仕事が追加された。
今日は定時に帰れると思っていたのに。
上司の顔を殴ったら気持ち良いだろう
飲んでいた珈琲カップをテーブルの上に置く。
それが合図。
彼女の口唇を盗む。
掠めるようにわずかなそれは珈琲の香りがした。
彼女の顔を見ると、赤面していた。
初めてのキスではないけれど、いつまでも初々しい反応に嬉しくなる。
もっと味わいたくなる。
でもそれはこれからの楽しみ。
君にふれる度に、鼓動が早くなる。
仲良くなってずいぶん経つけど、いまだに君の仕草にドキリッとする。
キスをする時、抱きしめる時、その一つ一つにドキドキする。
心臓が早鐘を打つことを君は知らないだろう。
打ち明けたら君は笑うかな。
それもいいかなと思うぐらい君に夢中なんだ
昼のレストランは家族連れでにぎわっていた。
そんな中、彼と私の間には沈黙が漂っていた。
運ばれてきたスープも手つかずで冷めていく。
まるで私たちの関係を暗示するように。
想い出がたくさん詰まったレストランだった。
初めて訪れた日も覚えている。
時間は残酷だ。
沈黙が傷つける。
-
それを君が望むのならそれでいいよ。
共に過ごした時間は僕だけのものだから。
いつの日か振り返ってくれれば、僕の心は満たされるんだ。
でも、ちょっと寂しいな。
君が隣にいなくなるって。
いつになったら慣れることができるんだろう。
きっと想い出に代わる日が来ることを知っているよ
二十歳の誕生日を迎えた。
これで煙草も飲酒も合法になった。
コンビニで煙草を買い、居酒屋へと向かう。
一足早く成人した友人と共に、居酒屋の敷居をまたぐ。
年齢確認に免許証を見せる。
喫煙席に座り、さっそく煙草を開ける。
火をつけるのに手間取ってしまったが、大人の仲間入りだ。
廊下に貼り出されたテストの順位表に、白金の頭髪の少年は無表情で見上げていた。
今回も同じ名前が並んでいる。勝気な少女にはそれが気に入らなかった。
一位を取ったのだから晴れ晴れとした笑顔でも見せてくれたら、悔しさも薄れるというもの。
張り合いが全くないから、辛くなる。
黄金色の日差しが差し込む。
本たちは手に取られるのを待つように静かに佇んでいた。
本のタイトルをなぞる。
静寂の中、自分の足音だけが響く。
天井まで届く本棚は知識の林のようだ。
緩慢な時の流れの中一冊の本を引き抜く。
しっとりとした手ざわりの装丁のそれは誂えたかのようだった
ひらひら舞う胡蝶のように、少女の剣舞は美しかった。
花から花へと渡り歩くように少女の舞は緩急に優れたものだった。
見る者すべてを魅了してやまない。
白刃が天井からぶら下げられた飾り紐を掠る。
ハラリと飾り紐が舞い落ちた。
そこで少女の舞が途切れた。
息を切らしながら見つめる
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