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「 140文字の物語 」
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いつもそうだった。追いかける側だった。
気のない人ばかり、好きになっていた。
何とか振り向かせても、すぐに別れを切り出される。
今日もお別れしてきた。
それでも携帯電話のアドレスから番号を削除できない。
もうかかってくることはないと分かっていても、上手くサヨナラできない。
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ある日、姉が消えた。
何も言わずに、何も持たずに家を出たのだ。
いつものようにおやすみなさいを言ったのに。
朝、仕事に向かうような格好で出ていって、それきり消息が途絶えた。
姉は一人でこの環境から逃げ出したのだ。
どうせなら連れていって欲しかった。
崩壊した家庭の中で思う。
結婚してから、ベルトの穴をひとつ緩くすることになった。
これも愛妻の手料理のおかげだ。
毎日、違う料理が出てくる。
どれも未知の体験で美味しい。
もちろん昼のお弁当も楽しみのひとつだ。
独身時代には味わえなかった楽しみだ。
「今日のお昼も美味しかったよ」と伝えると妻は照れる
クリスマスソングがBGMの店内は、赤と緑でいっぱいだった。
この中からひとつを選ぶのはとてもワクワクする。
これだからプレゼントを贈るのがやめられない。
ラッピングを解いて、箱を開けた瞬間の表情を想像すると楽しかった。
決して広くない店内を見渡す。
どんな贈り物をしようか
冷たいドアノブを回す。
鍵はかかってなかった。
玄関のドアを開けると春かと思うばかりの温風が肌をなでた。
リビングのドアが開けっぱなしになっていた。
犯人はソファを占領して転寝中。
仕方なく、腕に爪を立てる。
電気代がもったいない。
犯人はとろんとした目で「お帰り」と笑った。
明日は休日だからと借りてきたDVDを見た。
映画の中の登場人物たちは、キラキラと輝いていた。
苦難のを歩いているのに、笑顔を忘れたりしない。
最初はだらだらと見ていたが、途中から背を伸ばして見ていた。
気がつけば朝の光が室内に差し込んでいた。
隣では少女が涙を流していた
小さな体をさらに小さくして少女は泣いていた。
教室の片隅で静かに泣いていた。
少女は人一倍、感受性が豊かだったから、些細なことで泣いた。
それを面白がる連中のいい餌食になっていた。
少年はそんな少女に手を差し伸べた。
少女は遠慮がちに、指先にしがみつく。
涙は止まったようだ
楽しいはずのディナーはフォークとナイフが皿をつつく音で支配されていた。
一言も発せずに粛々と料理が運ばれては、下げられていく。
近くのテーブルから和やかな会話が聞こえてくる。
それでもこのテーブルには沈黙が停滞していた。
端的にいうと怒っているのだが、料理は美味しい。
生まれて初めて告白をした。
幼稚園の時にお家がお隣の女の子に。
天使のように可愛い女の子で、誰にでも優しかった。
優しくされたからのぼせ上がっていたのかもしれない。
時が過ぎ行き、僕たちも大人になった。
いまだに食卓でどんな告白だったか、笑い話のネタにされる。
理不尽だ。
携帯電話だけを持って大きなダンボールに潜り込んだ。
家に人間一人がすっぽりと入るサイズの段ボール箱があったからだ。
小さな空間に囲まれていると、不思議な安心感があった。携帯
電話は今日も鳴らない。
何度も液晶画面を確認してしまう。
欲しい人からの連絡はまだ来ない。
二人だけの内緒の秘密基地。
誰にも言わないと指切りをした。
綺麗な小石やビー玉が宝物だった。
お菓子を持ち寄って、交換こした。
一人で食べるよりも、とても美味しい味がした。
今も残っているのだろうか。
子供時代を思い浮かべる。
秘密基地のあった場所にはマンションが建っていた。
気がついたら朝だった。
寝る前は9時だった。
どこのお子様だ。
寝るには早すぎる時間だろう。
そこから一切記憶がない。
どうやって布団に潜ったのだろう。
ご丁寧にパジャマに着替えている。
とりあえず携帯電話を開く。
メールと着信履歴が表示される。
件数が半端なかった。
溜息をつく。
電車を乗り継いで海まで来た。
少女はさっそく裸足になって、波打ち際を歩き出す。
浜辺に小さな足跡が残る。
無意識にそれを視線が追いかける。
保護者になったつもりはないけれど、俗世に疎い少女が心配だった。
少女が落とす足跡は波にさらわれて消えていく。
その儚さが少女とダブる。
「指きりげんまん、嘘ついたら針千本飲ます」
と無邪気に約束を交わしたのはいつの頃だっただろうか。
必ず果たすといった約束は反故にされた。
いつまでも一緒にいられるわけじゃない、と思い知らされた。
あの日の約束を忘れずにいる自分が愚かなのかもしれない。
でも忘れたくない。
空を見上げれば満天の星空。
すでに歴史を閉じている恒星もあるだろう。
滅びに向かって輝き続けている星もあるだろう。
永遠とも思える時間の中で、明滅する星たちはあまりにも儚い。
どこかに意思の疎通が出来る生命が存在しているのだろうか。
宇宙はあまりにも広く、遠い。
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