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「 140文字の物語 」
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誰かの囁き声を聞いた。
念のため携帯電話を開いた。
着信履歴はなかった。
立ち上げっ放しのノートパソコンも開いてみた。
メールも着ていなかった。
一体全体、どういうことだろうか。
虫の知らせだろうか。
気になってツイッターのタイムラインを覗く。
そこには変わらない日常があった。
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将来、結婚する相手だと紹介された。
挨拶に来た分家の夫婦とは対照的に幼い少女は緊張を知らないようだった。
大きな黒い瞳が少年を見て、ニコリッと笑った。
守ってやらんければならないと思うような無邪気さだった。
生真面目な少年は幼心にも胸の中で誓う。
笑顔を曇らせない。と。
放課後の掃除の時間。
机を教室の隅に追いやる。
作業になりがちな掃除だけれど、今日は特別。
憧れのクラスメイトと一緒なのだ。
心臓がはやる。
どう会話をしていいのか分からず、無言で掃除している。
ふいに机を持っていた手と手がぶつかる。
「ごめん」と謝るとクラスメイトは微笑した
目を瞑れば鮮やかに思い出させられる。
身に刻まれた記憶が生々しい。
それでも前に進むと決めたのだ。
青年は目を開く。
眼前には神剣・神楽。同胞殺しの妖刀は静かに出番を待っていた。
青年は中途半端に伸びた髪をヘアゴムでくくると、神剣・神楽を手に取る。
それから深呼吸をして立つ
郵便受けから新聞を取る。
だいぶ緩くなったとはいえ、寒さが身にしみる。
暖かな家に戻る前に、空を見上げる。
一雨、来そうな怪しい雲行きだった。
新聞をダイニングテーブルに置く。
「今日こそは雨合羽、着て行きなさいよ」とお玉を持ったままの母が言う。
うんざりしながら席に着く。
夜空を見上げ、星図を思い浮かべる。
春らしいまばらな星空は二人を祝福するかのように輝いていた。
細い指が星と星を繋いで、星座を口にする。
頷きながら、それを聞く。
並んで歩くだけでも心が満たされる。
幸福というものは、こんな身近にあるということを教えられた。
星が綺麗だ
お付き合いを始めて3ヶ月。
手を繋いで歩くのも照れる彼。
初めての恋だから手探りに進んでいる。
遊園地にも行ったし、水族館にも行った。
送り迎えは完璧で、こまめにメールをくれる。
でも、まだ私たちはキスをしたことがない。
いくらのんびり屋さんだとしても遅すぎるような気がする
風で花弁が舞い散った。
視界を覆った花吹雪には美しさが宿っていた。
旋風が過ぎ去った後には薄紅の絨毯が残った。
少女は宝物を扱うように花弁を拾う。
少年は「手伝いましょうか?」と提案した。
少女は微笑み、首を横に振った。
手が伸びてきて少年の髪に触れる。
花弁がハラリと落ちた
重力のように逆らえなかった。
惹かれあう気持ちは、まるで恋のよう。
そんなはずはないと首を横に振ってみるけれども止まらない。
いつかぶつかり合って、粉々になるのかもしれない。
加速する想いになんて名前をつければいいのだろうか。
接近しすぎる思いの名前を
「次の休み、予定空いてる?」幼なじみに声をかけた。
「映画とか見に行かない?」映画のチケットをひらひらさせて見せる。
「ヴァレンタインに暇だと思う?」幼なじみは言った。
やっぱり好きなヤツがいるんだ。と再確認してしまった。
思いっきり心が傷つく。
開いた距離に絶望する。
差し出された手に鼓動が早くなる。
少年は遠慮がちに、手のひらを触れ合わせる。
柔らかな感触に、さらに胸が高鳴る。
自分とは違う体温を味わう。
心を決めて少年は少女の手に平を包み込むように、握る。
少女はニコリッと笑った。
少女の双眸に映る自分は間の抜けた顔をしていた。
-
僕の隣で君は「幸せになりたいの」と呟く。
僕は君と一緒にいるだけで充分すぎるぐらい幸せなのに、欲張りな君には物足りないようだ。
どうすれば君を幸せにしてあげることが出来るのだろうか。
足りない頭で考えてみるけれども今日も見つけることが出来なかった。
だから傍らに寄り添う
その人は遠くを見るような目で語る。
空っぽになったマグカップをもてあそびながら。
その姿はどこか寂しそうだと少女は思った。
「人生は選択の繰り返しだ。選んだことに悔いることはない」
まるで自分に言い聞かすようにその人は言った。
「ごめんなさい」少女は泣きたくなる気分で謝る
肌寒さに目が覚めた。
手探りでシーツに触れると仄かな温もり。
また寝顔は見られなかった。
ちょっと残念に思いながら目を開ける。
重たい瞼をこすりながら階段を下りる。
ベーコンの焼ける匂いがした。
朝食を整える音が聞こえてくる。
胃がきゅるりと鳴った。
見慣れた背中に抱きついた。
まるで確認するように少女は恐る恐る、青年の指を指先でつつく。
その様子に青年は破顔する。
「どうした?」と青年は少女の瞳を覗き込む。
「手を繋いでもいい?」少女は躊躇いがちに切り出した。
青年は壊れ物を包むように少女の手を握った。
少女の大きな瞳が見開かれ、それから微笑む
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