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「 140文字の物語 」
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勇気を出してバレンタインデーにチョコを贈った。
本命チョコだと気づかれないように市販のチョコを手渡した。
ホワイトデーには返事が来るだろうと思っていたけど、お返しはなかった。
それが昨日、咳をしていたらキャンディをくれた。
可愛らしくラッピングされたものだった。
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空調の利きすぎた室内は暑いぐらいだった。
半袖でちょうどいいぐらいだ。
彼女が嬉しそうに、腕に触れる。
何の用事だろうか、と思ってその瞳を覗き込む。
すると彼女は笑みを深くする。
「春だね」と囁くような声で言った。
返事に窮していると「お昼は外で食べようよ」と誘われた。
この時代、人間を雇うというのは特権階級だけだ。
一部の金持ちだけが人間を雇い入れる。
大体の庶民はAIを搭載したロボットを雇う。
人間とほとんど変わらない姿を持つ彼らを見極めるのは至難の技だ。
家族を迎えるようにロボットを購入していく。
今日もまた。
ついつい面倒ごとは後回しにしてしまう。
その結果、取り返しがつかなくなることも多々ある。
それでも怠惰を極めたいというのは現代人の標準的な考えだと思っていた。
それが少女が来てから、意識が変わった。
中途半端に伸びた髪をヘアゴムで結ぶと神剣・神楽を手にする。
今日も戦場だ
一日は24時間しかない。
そのうち自由に使えるのは2時間がせいぜいだ。
たった2時間を彼女と過ごす時間に当てている。
一日にあったことを遅い晩ご飯と共に語る。
彼女は何も言わずに聴いてくれる。
愚痴ばかりの話でも穏やかに聴いてくれる。
とてつもなく幸福なことかもしれない。
雨が熱を奪っていく。
水溜りが血溜まりのようになっている。
流れた血がいささか多かったようだ。
神剣・神楽の柄を握りしめる。
疲労感が引いていくのを実感する。
しばらくすれば動けるようになるだろう。
それにしても雨が止む気配がない。
静かに降るさまは少女の涙を思い起こさせる。
昼間には星が見えない。
そこに確かに存在しているのに。
太陽が煌く星たちを隠してしまうのだ。
夜空では輝く月も太陽の支配下では白い輪郭をさらしている。
夜になって初めて世界は宇宙に近づく。
昼の世界ではただただ静かに息を潜めているのだ。
それが当たり前の世界で生きている。
「おやすみ」少女の額に口づけを贈る。
ベッドの上で横たわる少女は何かを言いたげに、上目遣いで青年を見つめる。
頭を撫でようとしたら、少女は指に青年の指を絡める。
「眠れるまで、付いていてあげるよ」青年は溜息をひとつ。
少女の顔に笑みが広がる。
どうしても甘やかしてしまう。
季節外れの大掃除をしていたら、季節外れの物が出てきた。
少女が目を輝かせたから、掃除は中断することになった。
太陽の高い時間だったが、小さな花火大会となった。
水を張ったバケツを用意して、次々に点火していった。
楽しそうにする横顔をいつまでも守ってやりたいと青年は思った
冷凍庫を開けると氷がなかった。
製氷皿は空っぽで、仕方なく取り出した。
その際、アイスも取り出す。
バー状のアイスを口にくわえながら、蛇口をひねる。
水が流れ出すのを見て、慌てて製氷皿を満たす。
製氷皿を冷凍庫に戻しながら、暖かい居間に避難する。
早く氷が出来ないかなと思う
窓から月光が差し込む。
カレンダーにつけられた丸印が虚しい。
テーブルの上には冷めてしまったご馳走がひしめきあっていた。
握り締めた携帯電話は鳴る予定がないようだった。
いつになったら帰ってくるのだろうか。
家庭よりも仕事を選んだ彼を許さない。
左薬指にはまった指輪が煌く。
電子の海に言葉を乗せて投げ入れる。
いつの日か、誰かが拾ってくれると信じて。
淡い期待に胸を膨らませて、繋がる日を待っている。
今日もポツリと呟いて、海の端で待っている。
誰かが流した小瓶が私の靴にぶつかる。
拾い上げて、開封する。
顔も知らない人の気持ちが流れ込んでくる。
痛みで思わずうずくまる。
堪えがたき痛みに意識が朦朧とする。
「大丈夫か?」そんな彼の言葉を聞いた気がしたが、それすら曖昧だった。
大きな手が私の背中をさする。
すると痛みは徐々に引いてきて、やがては消えた。
彼の手には魔法がかかっているのだろうか。
痛みが引いた体で考える
そっと、少女の両手を軽く握る。
小さな手を壊さないように細心の注意を払って。
「大丈夫ですか?」少年の問いに、少女はのろのろと顔を上げた。
普段はきらきらと輝いている瞳は、すっかり凪いでいた。
「大丈夫よ」少女は口元に笑みらしきものを刷いた。
少年の胸はぎゅっと掴まれた。
誕生日プレゼントに口紅を貰った。
初めての化粧品は淡い薄紅色のルージュだった。
口紅というぐらいだから真っ赤なルージュが欲しかった。
まだまだ子供扱いされているような気がする。
彼にとって私は恋愛の射程外にいるのだろうか。
それとも、そろそろ守備範囲に入ってきたのだろうか
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