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「 140文字の物語 」
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今更になってフォローしたことを悔いている。
簡単に繋がる世界だから、距離感が掴めていなかった。
たった一言の言葉で、傷つけられた。
神のように思っていた人だから、きっと素敵な言葉を紡いでいると信じていた。
開けてみれば、怨嗟と嫉妬でまみれた言葉が間断なく流されていた。
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ドラマの一コマのようだった。
インターホンが鳴ったから、玄関のドアを開けた。
すると薔薇の花束を抱えた男性が笑顔で立っていた。
「本当は休みたかったんだけど、仕事が入ってしまったから」とスーツ姿の男性は言った。
「お誕生日、おめでとう」と言われて茫然としてしまった。
-
「お元気ですか?」と書き出す手紙は少しだけ切ない。
一緒にいられない時間が横たわっている。
確かに空は繋がっているけれども。
いつもいつまでも笑顔でいて欲しいと願う。
紙切れ一枚が元気の素になっているのだろうか。
心だけでも寄り添っていたい。
贅沢な悩みかもしれないけれど。
少女を受け入れた時から運命は決まった。
その宿命を後悔したことがないといえば嘘になる。
神剣・神楽を目の前にして青年は思い返す。
同胞殺しの妖刀を振るうほど人間性が失われていく気がする。
それでも戦うと決めたのは己自身だ。
青年は無言で神剣・神楽の柄を掴む。
今日が始まる。
夏日を更新した電車の中は程よく混雑していた。
時期が時期なだけに、疲労しきったサラリーマンが多い。
車内の空調は効きが甘く、日差しのほうが強い。
座席を埋めている少年が携帯電話の画面を見て、ニヤけている。
隣を座る彼女らしき少女も携帯電話に夢中だ。
二人の間に会話はない。
君の一番が誰だってことは、視線を辿れば分かる。
今日も勇気が足りなくて、答えを先延ばしにした。
ある日、突然いなくなってしまうかもしれない君。
だから僕はこの時を永遠にしたいんだ。
繋いだぬくもりを忘れたくはない。
たとえ君の特別が僕じゃなくても。
そんな単純なことなんだ。
ぐるぐる巻きにしたマフラーに雪がかかる。
吐く息も白く、宙に吸い込まれていった。
帰り道が長く感じられた。
ふいに力強く、指先にしがみつかれた。
冷たい指にドキッと鼓動が跳ねた。
「もっとゆっくり帰ろうよ」と少女は言った。
寒さで足早になっていたようだった。
少年は反省する。
今はいない君の物たちに囲まれて暮らしている。
何ひとつ捨てられずにいる。
一緒に暮らしていた証拠のようで、手に取っては元に戻している。
二人過ごした日々が無意味だったのだろうか。
君宛の郵便が届く間は独り涙を流していてもいいのかな。
考えても考えても一人じゃ答えは出ない。
マグカップには、色違いの歯ブラシを入れて。
大きなお茶碗と柄違いの小ぶりのお茶碗。
同じ柄のお箸と箸置き。
カーテンは二人が好きなグリーンの色。
ベッドはダブルサイズ、羽掛け布団のカバーはよく眠れるように羊の絵が可愛くプリントされた物。
これから二人だけの生活が始まる。
傷つくことが怖くて、ずっと逃げ回っていた。
気がつけば退路が絶たれていた。
『好き』って気持ちは重すぎる。
ちょっとした仕草に一喜一憂する。
それなのに振り回されていることが楽しいと思ってきた。
あんなにも気持ちを否定していた自分がおかしかった。
今は傷つくことも怖くない。
コンビニに立ち寄ってアイスを買った。
アスファルトの照り返しは激しく、強い日差しに汗をかく。
隣を歩く彼女の真っ白な襟が眩しかった。
溶けていくアイスのように思考も熔けていく。
できるだけ優しく、彼女の指を握り締める。
冷ややかな指先に心臓が跳ねた。
彼女の瞳が大きくなった
学校近くの十字路に立っていてば結晶が手に入るという噂だった。
結晶は人によって色、形が違っていて、同じ物は二つとないという。
噂を信じたわけじゃないけれども十字路に向かった。
天を仰ぐ。
小さな雪のような一片が落ちてきた。
慌てて手を差し出した。
脆くも儚いそれは掌で溶けた
腹が空いたので適当なカフェに入る。
店内は穏やかなBGMは流れていた。
昼食には遅い時間帯だからか、客は少なかった。
向かい側に座った彼女は目をキラキラさせながら、観たばかりの映画の感想を語る。
よっぽど楽しかったのだろう。
運ばれてきたグラスの氷が解けても話し終わらない
晴天の空を大きな月が渡る。
それを見上げながら歩いていた。
「月が綺麗ですね」ちょっと気障に囁いた。
「そうだね」と彼女は微笑んだ。
どうやら遠まわしすぎて伝わらなかったようだ。
どんな言葉を紡げば彼女に届くのだろうか。
「一緒だとより綺麗に見えるね」彼女の言葉にやられた。
店内にかかるBGMが沈黙を埋める。
グラスの表面には水滴がつき、テーブルを濡らしていた。
いったい、どれほどの時間がたったのだろう。
別れの言葉を告げるのが辛くて、席を立てないでいる。
もう話すことは一つもないと言うのに。
無為に時間だけが流れていく。
カランッと氷が解けた
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