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「 140文字の物語 」
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放課後の教室で啄むようなキスをした。
小鳥が餌を啄むようなキスをくりかえす。
この先にあるものに期待しながら、夕日を浴びた。
キスの合間に「好きだよ」と彼は嬉しくなるようなことを言ってくれる。
私の鼓動は早くなり、顔が紅潮しているのに気がつく。
彼の瞳に無防備な自分が写る
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生真面目な青年のデートコースはいつも同じ。
駅前の噴水で待ち合わせをして、話題の映画を見る。
ちょっと遅めのランチをしながら、映画の感想を言い合う。
それからウィンドウショッピングしながら、たまにプレゼントを買ってもらう。
いつものカフェに入り、月替わりのケーキを食べる
終わりは目に見える形で現れていた。
蝋燭の火が消えるように、最後がやってきた。
泣きそうになりながら、自分の手のひらを握り締める。
そうしていなければ、お別れが出来ないような気がした。
すがりついて、傷つけあうだけ傷つけあいそうだったから。
笑顔を作る。
最初で最後の嘘だ。
僕が小声で話しかけた理由を君は気づかない。
君はいつもどおりに「おはよう」と笑う。
その笑顔を見れただけで満足してしまう自分がいる。
僕は声を潜めて君が出てくる夢を見たことを話す。
君はちょっとだけ僕に近寄る。
聞き漏らさないように。
積極的になれない僕には好都合だった。
今までも二人で出かけたことはあった。
それは付き合う前で、今とは違った雰囲気だった。
恋人同士になって初めてのデートなのだ。
彼が恥ずかしそうに、指に触れる。
「迷子になるといけないから」と言った。
それは付き合う前と同じ台詞だった。
同じなのに違って聞こえた。
鼓動が早まる
『星が綺麗だよ』メールを送った。
理由は何でも良かった。
口実が欲しかっただけだ。
返信は返ってこない。
分かっていたけれども、けっこうこたえる。
仕事が忙しいのは知っている。
だから、言ったらいけない言葉も分かっている。
でも、訊きたくなる。
『私とどっちが大切なの?』って。
渡り廊下を歩く君を見つけた。
反射的に走り出していた。
がむしゃらに君の元へと向かった。
辿りついた時は息切れをしていた。
そんな僕を君は目を丸くして、それでも微笑んでくれた。
「おはよう。今日も元気だね」と君は言った。
「おはよう」弾む息を整えて、僕は朝の挨拶をした。
誕生日に白金の指輪をプレゼントされた。
指輪は左手の薬指にぴったりのサイズだった。
きつくもなく緩くもない。
昔からはめていたかのように馴染んだ。
自分の指のサイズなんて知らなかったから、ちょうど良いサイズであることに疑問が浮かんだ。
それでも嬉しかったから笑顔で感謝した
仮想現実の中では何にでもなれる。
心の底、他人の不幸を笑いながら優しい自分を演じることが出来る。
現実に似ているけれども、決して現実にはならないもの。
いくらでも嘘をつける。
本当の自分を見失いそうになる。
語られる言葉は紛い物ではないという保障はない
距離があっても恋は続くと思っていた。
けれどもそうではなかった。
離れた分だけ疎遠になってしまった。
明確な別れ話が出たわけじゃない。
気がつけば恋人と呼ぶことが出来なくなっていたのだ。
今でも好きだという気持ちは残っている。
だからただの友達には戻れない。
辛い気持ちが残る
いつも廊下ですれ違うあの子。
クラスは違うし、部活動も違う。
たまたま同じ委員会に入っているだけ。
月に一度、集まるだけの委員会だから、苗字だけしか知らない。
あちらもそうだろう。
満面の笑みを浮かべながら、自分の手のひらを握る。
できるだけ自然に「また明日」と声をかけた。
「ねぇ、今日は何の日か知ってる?」と問いかけた。
彼は困ったように笑った。
「ごめん。忘れちゃったみたいだ」正直な答えが返ってきた。
思うほど思ってはくれないみたいだ。
私の中はこんなにも彼であふれているのに。
彼にとってはそうではないみたいだ。
それが分かって悲しかった。
あの子の自分の分までお菓子を配る優しさに感動した。
心が豊かなのだろう。
自分だって食べたいはずだ。
それを我慢して、差し出す誠意。
その純粋さを失われないといいなと祈る。
配られたお菓子を半分に分けて、そっとあの子に渡そうか。
きっと二人分、幸福な気分になれるはずだ。
純粋さを失っていくことが大人になることだと感じる。
風の色も、鏡に写らない友達も、いつの間にか見えなくなっていた。
過ぎ去った過去を懐かしいと思うのは、それだけ歳を重ねたから。
今日の続きが明日だというのを当たり前のように受け止めている。
もう戻れない昨日に後悔している
勇気を出して告白したのに、相手の態度は冷淡だった。
好きだと言ったんだから、同じぐらいの強さで好きだと言ってほしい。
付き合いたてなの恋人同士なのだから、それぐらい我儘になってもいいはずだ。
どうすれば好きだという言葉を引き出せるだろう。
自分ばっかり熱くなっている。
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