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「 140文字の物語 」
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ずっと一緒だと思っていた。
それなのに少年は少女から離れていこうとしていた。
お別れの日がやってきた。
泣き顔で、少年の指を握り締める。
言葉の代わりに手をつないだ。
それから時が流れて、再び出会うことが出来た。
今度は離れ離れにならなくてもいい。
子供時代を懐かしいと言える
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振られるのは分かっていた。
好きになった人にはすでに大切な彼女がいたから。
それでも告白したのは、自分の中で区切りをつけたかったから。
胸に秘めたまま友達でいる選択肢もあった。
けれども想いは重すぎた。
日に日に肥大する恋心に耐えられなかった。
振られてスッキリとした気分だ
その人は私のどんな我儘も叶えてくれた。
欲しい物は何でもプレゼントしてくれた。
突然、会いたくなってメールをすれば、どんな時間でも飛んできてくれた。
けれどもひとつだけ叶うことのない願いがあった。
その人の恋人にだけにはなれなかった。
それだけが決して叶わない願いだった。
しなやかな黒髪の美しさを知らずに、どうして染めるのだろう。
幼なじみの髪色を見て、そう思った。
「これぐらいみんなしてるし」と幼なじみは切りたての髪に触れながら唇を尖らせる。
赤みの強い茶髪に染めてきたばかりの髪は、大人しめな色合いだったけれども昔の黒髪が懐かしかった
クリスマスの贈り物に、街を一人で歩く。
どんな物を贈れば喜んでもらえるのだろうか。
想像するだけでも楽しかった。
街はイルミネーションに彩られて綺麗だった。
小さな雑貨屋さんに入り、写真立てを買った。
「贈り物ですか?」と店員さんに問われ、思わず照れる。
無言で首を縦に振る
コンクリートジャングルの道を歩く。
自然らしい自然が失われた街を少女は楽しげに進む。
この十年で街は様変わりした。
秘密基地に出来そうな空き地も球技を楽しめる公園も失われた。
代わりに高層マンションが立ち並びショッピングモールが出来た。
それでも少女が喜ぶならいいかと思う
生まれて初めて髪を染める。
美容室で出された色見本が思ったよりもたくさんの色があって狼狽する。
ただ染めてみたいだけだったから、イメージがつかめなかった。
美容師さんも困っているのが分かって、恥ずかしかった。
黒以外なら、本当に何でも良かっからお勧めの色にしてもらった。
確かに愛し愛された日々が合ったはず。
そんな過去にすがりつく。
昨日の続きだと思っていた今日。
これからも変わらない日々が続くと思っていた。
けれども違った。
私にとっては突然の別れかもしれないけれども、その予兆はあったのだろう。
それを見て見ぬ振りした過ぎした日々が悪い。
私と姉は一卵性双生児だ。
だからかもしれないが、何でもお揃いだった。
洋服、筆記用具、ランドセル、カラトリー。
親が与えるものたちは、みな同じデザインだった。
それを不満に思ったことはなかった。
けれども最近になって姉はそれを嫌がるようになった。
お揃いから卒業したいようだ
ソファに並んで座っていた。
液晶画面には血まみれな殺人鬼が映っていた。
先程から小さな悲鳴が上がっている。
「もう止めていい?」クライマックス間近で彼女が言った。
こうなることは予測できた。
嫌々ながらも、彼女の両手のひらを軽く握る。
最後まで観賞したいので我慢してもらう。
風が冷たくなってきた。
そんな日が続くのに、街は楽しそうに色づいていた。
それもそのはず。
今日は年に一度のハロウィン。
仮装をした子供たちがお菓子を貰いに走り回る。
中には子供と呼べない年齢をした人たちも仮装を楽しんでいる。
ポケットに突っ込んだ飴玉を配り歩く。
これで最後なんて思いたくなかった。
だから無理矢理、腕を握り締める。
離れていこうとしていた人は顔をしかめた。
すがるようにその瞳を見る。
その人の目は静かに凪いでいた。
自分とは違うのだ。
とっくのとうにお別れの準備が出来ていた。
気がつかなかったのは自分の方だと瞳が言う。
少し早い冬の訪れに喉が弱い少女が心配になった。
手洗いうがいをしていても風邪が移る時は移る。
体弱い少女だから、風邪を引くと長引く。
その間にも体重が軽くなる。
ただでさえ細い体が細くなる。
風に吹かれて飛んでいく風船のように不安定だ。
暖かくなれと天気予報とにらめっこする
汗をびっしょりかいて目が覚めた。
時計で時間を確認する。
時刻はまだ黎明と呼ばれる時間だった。
起きるのには早すぎる時間だった。
けれども二度寝はできそうにない。
瞼を閉じれば先程見ていた悪夢の続きを見るような気がした。
怖くて眠れない。
とりあえず水を飲もうと台所に向かった
リップクリームを色つきのものに変えた。
唇が薄紅色に彩られる。
ただそれだけなのに気分が違った。
鏡の中、歪んだ唇が映る。
似合ってるとは到底、思えなかった。
リップクリームだけでもそんな感じなのだから、口紅は当分先だろう。
いつか口紅が似合う大人の女性になれるのだろうか。
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