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「 140文字の物語 」
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言ってはいけないことだった。
伝わってしまえば二人の関係は容易に変化する。
今まで通りではいられなくなる。
知っていたのに、口から言葉が飛び出た。
全部、暑さが悪いんだ。
暑さにやられた理性はサーカスの野獣のようだ。
飼いならされたはずの理性はタガを外れて、君を襲う。
逃げてほしい。
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特に仲良かったわけではない。
同じ園芸委員に所属しているだけだった。
単調な作業のくりかえしに、さぼらずに出席してくれるのはありがたかった。
そんな彼のことを気になりだしたのはいつの頃だったろうか。
気がつけば噂話になっていた。
自分から告白する勇気がないので、嬉しかった。
大きな水たまりだと聞いていた。
けれども初めて見る海は、何もかもを飲みこむそうで怖かった。
恐る恐る、指先を触れ合わせる。
海を眺めていた青年と視線が合う。
青年は少女の手を握り返した。
「怖いことはひとつもないよ」と青年は微笑んだ。
恐怖が溶けていくようだ。
しばらくそうしていた。
-
泣きたいくらい悲しいのに泣くことができない。
胸からこみあげてくるものがあるのに涙にはならない。
薄情なのだろうか。
みな泣いている中、自分だけは泣いていない。
筋書き通りの運命だと感じているからだろうか。
いつか人生が終る日が今日だった。
それだけのことだった、と思うからだろうか
君は全天に輝く一等星。
誰よりも煌めいている。
冷たい風にさらされながらも、その輝きは失せることはない。
ますます冴えたものになる。
夜空を見上げれば、君が思い浮かぶ。
風に揺れる木の葉の間に君を見つめる。
独りぼっちは辛くないのか、余計なことを想像してしまう。
僕は君の輝きを追う。
嫌ってほど好きで、憎たらしいくらい愛してる。
我ながら天邪鬼だと思う。
君のことが好きで、愛してる。
君も同じくらい想い返してほしい、と思うのは贅沢だと分かっている。
そう分かっているだけで納得できていない。
いっそのこと嫌いになれればいいのに。
憎めればいいのに。
それができない。
初めて家族よりも、友達よりも好きな人ができました。
友達の背を押されて告白したら、両思いだということが判明しました。
それからは手探りのお付き合いを始めました。
何もかも初めてばかりなのでドキドキしっぱなしです。
好き、時々不安。
気持ちが覚めたらどうしようかと思い悩みます。
-
君が「好き」って言ってくれたから、自分のことが少しだけ好きになった。
君の言葉には魔法がこもっている。
何気ない一言に助けられる。
君は気がついていないかもしれない。
僕にとって君の存在は、とても大きなものなんだ。
嫌いだった自分のことを認められるようになった。
君のことが好きだ。
シャボン玉のように空へと消えた。
空気を入れて膨らませた無数のシャボン玉。
屋根まで届くものもあれば、すぐにパチンッと消えるものもある。
虹色の表面はとても綺麗だった。
人の人生に似ている。
同じように見えて、ひとつとして同じものはない。
ふわふわと空へと吸いこまれるように。
あなたは私に優しすぎる。
キスするのにも許可をとる。
あなたは私を「大切にしたい」と言うけれども、不安になる。
今までの恋愛のように、無理やり奪って、今すぐに。
早くあなただけのものになりたいの。
二人が離れない証拠のように強く抱いてほしいの。
でも、そんなことを言ったら困らせる。
読書感想文はあまり好きではない課題だった。
推薦図書はどの本も面白くなさそうだ。
だからといって漫画の読書感想文を出したら罰を受けるだろう。
宿題を忘れたという言い逃れはそろそろできそうになかった。
天井まで届く本棚を仰ぐ。
その中から適当な一冊を引き出す。
ささっとすましたい用事だ
虫の音を聞く。
命がけの愛情表現だ。
身を削り求愛する様は切ないものがある。
それに引き換え僕は君を好きだと訴えることすらできない。
今日も君を見つめていただけ。
舌はコンクリートで固められてしまったようだ。
単純な言葉なのに、その一言が出ない。
虫を見習って好きだと言えればいいのに
視線の端に入った椿が音もなく落ちた。
花弁を散らすことなく花ごと落ちるさまは潔かった。
瑞々しい緑の葉にはまだいくつもの花がついている。
この花が全部、落ちきる前に平和はやってくるのだろうか。
不安を感じながら僕は祈る。
どうか静かに終結がやってきますように、と。それしかできない
こうして二人きりで出かけるのは二度目だった。
デートと呼んでもいいのだろうか。
嬉しくて待ち合わせの時間よりも早く来てしまった。
待つ時間も楽しいものだと知った。
時間通りに来た君はいつもよりもおしゃれをしていて、眩しかった。
気の利いた言葉が出ない僕は目を逸らしてしまった。
奥歯が痛くなってきた。
歯磨きはきちんとしている。
それでも痛みは続いた。
虫歯ではない。
親知らずが生えてこようとしているのだ。
市販の痛み止めで誤魔化し、誤魔化ししてきたけど腹をくくるしかないようだ。
歯を抜くことを勧められるのだろうか。
健康な歯を抜くことには罪悪感がある。
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