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「 140文字の物語 」
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いつの間にかテストの点数ばかり気にしていた。
廊下に貼り出された上位者に名前が載るのが当然だった。
今回も1番ではなかった。
期待は空振りになった。
落胆して教室に戻ろうとした時、声をかけられた。
白金色の頭髪の少年は「惜しかったね」と言った。
これが純然たる嫌味だったら憎めたのに
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本当はワンピースもスカートも好きじゃないの。
フリルやレースやリボンのついたものは苦手なの。
それでも似合うと言われるから切り出せないでいる。
善意だと分かるから大嫌い、って言えないの。
スカートよりもズボンの方が好きだし、パンプスよりもスニーカーの方が好きなの。
誰にも言えない
僕はぎこちなく、君の指を指先でなぞる。
ちょっと力を入れたら壊れてしまいそう。
君の手は外気にさらされて冷たくなっていた。
恋する熱量でもって温めてあげたいと思った。
二度とこの手にふれることができないと思うと悲しみがこみ上げてきた。
人生の半分以上、一緒にいたから離れがたい。
君はようやく手に入れた宝物。
大切に、丁寧に扱っているつもりだった。
どうせならじっくりと恋のステップを踏んでいきたい。
それが君を不安にさせたようだ。
「私のこと、どう思っているの?」
君は大きな瞳に涙を浮かべながら、僕を見上げる。
「 手放すつもりも、ないですけれど」と僕は言う。
お姉ちゃんは優秀だ。
テストで赤点をとったりしない。
夜更かししてアニメを観たりしない。
制服を着崩したりしない。
門限までに帰ってくる。
私にはできないことばかりだった。
そんなお姉ちゃんに敵うはずがない。
お母さんはいつも比べる。
うるさい、わかってるくせに。
私はお姉ちゃんじゃない
蜜柑が出回る季節になった。
こたつの上に乗せられた蜜柑に手を伸ばす。
よくもんでから皮をむく。
甘酸っぱい香りが広がる。
白い筋を丁寧にとって、一房口に運ぶ。
甘くて、次から次へと食べてしまう。
あっという間に平らげてしまった。
もう一つ、と新しい蜜柑に手に取る。
止まらない味わいだ。
独り閉じこもっていた。
外の世界は怖く毛布をかぶって部屋の片隅で震えていた。
そんな僕の部屋に乱入してきて君は窓を開ける。
明るい日差しと涼し気な風が室内に入りこむ。
それは想像したよりも穏やかで優しかった。
君が手を差し出した。
僕はその手にしっかりとつかまった。
外に出るために。
初めて他人というものを好きになった。
大切にしたいと傷付けたいをいったりきたりする。
僕以上に君は僕を好きになってくれた。
無味無臭なスープを飲んでいたような人生にスパイスを入れてくれた。
だから大切にしたい。
けれども二度と忘れられないように傷付けたい。
相反する気持ちで揺れる。
真新しい制服が届いた。
採寸をしてから、楽しみにしていた。
自分だけの物だ。
今までお姉ちゃんのおさがりばかりで、自分だけの物は少なかった。
お姉ちゃんは優秀で難関高校に入学した。
私ときたら地元の公立に受かるのが精いっぱいだった。
それでも自分だけの制服は宝物のようだった。
こんなにも悲しくなるなら「好き」って伝えればよかったかな。
一緒にいられた時間がキラキラと輝いて、落ちていく。
君と出会えてよかったと思う。
その同じぐらい出会わなければよかったと思う。
君は大きな荷物を持って電車に乗りこむ。
それを止めたくなる。
そっと、手のひらをぎゅっと握る。
見ているだけでは手に入らない。
そう発破をかけられて、告白した。
自分の気持ちを正直に伝えるのは勇気がいることだった。
答えは謝罪だった。
今、付き合っている恋人を大切にしたい、という理由だった。
誠実な人だった。
こんな素敵な人に恋人がいないはずがない。
好きになって良かったと思う
もう少し早く生まれてきたかったな。と少女は思う。
そうすれば色んな彼と一緒の時間を過ごせただろう。
どうしても埋められない歳の差に、やきもきする。
デートのつもりでも保護者同伴の遊びに間違えられる。
だから「今日はカップル割引があるんですよ」という女性係員の言葉に舞い上がった。
私のこと、いつまで子ども扱いするの?
甘いお菓子で機嫌が直ると思っているのなら大間違いよ。
ビターなチョコレートをも食べられるんだから。
コーヒーだってミルクも砂糖もいらないわ。
そんなのは、とっくのとうに卒業したんだから。
それでもあなたの前にはまだ小さな女の子がいるのかしら。
「好きだよ」と気軽に貴方は言う。
記念日を忘れることはない。
誕生日には歳の数だけの紅薔薇を持ってやってきた。
人前でも気にせず、手を繋ぎたがる。
なんて恥ずかしい人なんだろうか!
私とは正反対の性格に驚いてしまう。
今も臆面もなくキスのチャンスをうかがっている。
恥ずかしすぎる。
貴方の背中ばかりを追いかけていた。
貴方は未来そのもので、希望だった。
だから、隣に立つことも、正面から見つめ合うこともなかった。
眩しいぐらいの貴方の影を踏むこともできなかった。
だからか、貴方の後ろ姿しか思い出せない。
たくさんの季節を一緒に過ごしたというのに。
想い出は一つ。
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