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「 140文字の物語 」
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「昼は星が見えないからつまらない」と幼なじみは言う。
「太陽という大きな星が見えるじゃないか」と僕は言った。
「その太陽が元凶じゃないか」と重ねて幼なじみは言う。
「どうしてそんなに星を観たがるんだ?」と僕は尋ねた。
「願い事は流星にしか叶えてくれないだろう」と幼なじみは言う。
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目を合わせ、無言でうなずきあう。
手と手を固く結ぶ。
離れ離れにならないように、腰に紐を結ぶ。
そして、崖から飛び降りた。
二人が一緒にいられない世界なら、次の世に期待しよう、と誓い合った。
濁流にもまれて、意識を失う。
次に目覚めたのは見知らぬ砂浜だった。
世界は彼らを手放さない。
週末は人生最大の予定があった。
例年通りの気候ならば、青空の下チャペルの鐘の音を聞いたことだろう。
まるで二人の結婚を阻むように台風がやってきた。
それも歴史に残るような勢力の台風だった。
当然、結婚式は中止。
どうして先週にしなかったのか。
そんなことを思ってしまう。
溜息が零れる
メールの文字列を何度も読み返す。
それほど長いメールではない。
ただそこに想いがこもっているから嬉しくて何度も見てしまう。
返信しなければ、と思うのだけれども。
メールが嬉しくてはにかむ。
きっと送り手も返事を期待しているだろう。
早く返した方が良いと分かっているけど文字列を追う。
笑顔の君が好き。
だから、泣き止んでよ。
いつものように僕を見て、微笑んでよ。
君の笑顔を見るだけで、僕は勇気がたっぷりと湧くんだ。
君を泣かした奴の名前を教えてよ。
これからそいつを殴りに行ってやる。
心優しい君を泣かせるぐらいだ。
酷いことを言ったんだろう。
簡単に想像がつく。
同胞同士の殺し合いが発展するまでは、小さな集落で暮らしていた。
みんなは細々とした、けれどもあたたかい生活を営んでいた。
追放されていた族長の姪がやってくるまでは。
姪は隠れるような生活をしているのか、問うた。
集落を二分にするには充分だった。
隠れて少女は妖刀を持ち逃げだした。
新聞を取るために外へ出た。
風はまだ強かった。
夜中に雨が降ったのだろうか。
郵便受けに水滴が残っていた。
運ばれてきた新聞を引き出すと家に戻る。
一面は台風の被害のニュースだった。
聞きたくないと思っていても、目に飛びこんでくる。
大きな被害をもたらした台風は歴史に残るだろう。
初めて迎える二人きりの夜だ。
どちらも緊張した表情で寝室に入った。
君はベットの上に座ると深々と礼をした。
「これからもよろしくお願いします」と言った君を押し倒す。
君の顔が強張る。
遠慮がちに、指先を軽く握る。
震える手が、それでも握り返してきた。
僕は「大丈夫だよ」と微笑む。
新しいことに挑戦することは緊張するものだった。
けれども何事にもトライしていかなければ、古びてしまう。
人生は常に挑戦の連続だ。
だから、ここでも踏ん張れる。
トライの合図が脳裏で響いた。
新しいことは決して怖いことではない。
スタート地点につく。
嚥下して未来を見据える。
今度のテストは英語でメールを送るというものだった。
第二外国語として英語を選択しているから、楽なテストなはずだった。
満点も夢じゃない。
そう思った。
けれども首位の座を逃がす。
単純なスペルミスだった。
慢心していなければ気がつけたはずだった。
減点された返信メールを見つめる。
お互いに覚悟をしていた。
二人でいられるのも、わずかな時間しか残っていない。
君は笑おうとして失敗した。
泣き顔で、指先にを軽く握る。
そしていれば離れずにすむというように。
けれども最後の時は非情に鳴る。
電車が発車する時間になったことを知らせる。
僕は振り返らずに電車に乗った。
白金色の頭髪の少年との勝負は、勝ったことがない。
少年は常に一位を取る。
どれほど努力をしても勝てないのだろうか。
少女はほんの少し弱気になる。
生まれついての天才は成績を気にしていないのが余計に苛立つ。
次こそは一位を取って驚かせてやる。
そんなことを思いながら少女は答案を握る。
夜会に黒いドレスを選んでみた。
少しだけ背伸びをしたのは、今日は憧れの詩人がサロンに来るからだ。
最近になって、招かれるようになって嬉しい。
黒いレースの扇子を持って夜会に出席する。
「金で買った爵位の方とはあいませんの」と嘲笑された。
初めて会った人物にすら言われるのを耐える。
彼の視線を独り占めできた。
おしゃれをしてきたかいがあったものだ。
好奇心旺盛な彼は、デート中でもあちらこちらをキョロキョロする。
吸い寄せるようにお店に入ってしまうことも多い。
穴場を発見できるから、それはそれで楽しいけれども。
物足りなさを感じていた。
せっかく一緒にいるのだ。
今日の昼ご飯はロコモコ風。
ハンバーグは上手く焼けたと思う。
自分でも自信がある。
けれども目玉焼きは失敗した。
ひっくり返す時に黄身の部分が破れてしまった。
完成した昼ご飯は不格好で食べさせるのが悪い感じがした。
自然と目を潤ませる。
涙が零れ落ちる瞬間「美味しそうだな」と言われた
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