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「 140文字の物語 」
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今日は12週間ぶりの天気のよい週末だ。
空は蒼く澄み渡り、穏やかな風が頬をくすぐる。
太陽の日差しがこれほど恋しく思ったのは、幸せなことだ。
ずっと天候が不安定だった。
大型の台風やそれに匹敵する大雨で、週末は家にこもりきりだった。
今日はどこに行こう。
自転車でどこにでも行ける。
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「見て見て」幼馴染が後ろから迫ってきた。
手にはスマホ。
ほどなく動画が流れる。
眠っている自分が録画されていた。
純粋に怒りが湧いてきた。
やっていいことと悪いことがある。
その一線を越えていた。
振り返り、幼馴染を睨みつける。
「お気に召さなかった?」けろっとした表情で幼馴染は言う
君のことが好きでたまらないから「大嫌い」なんて嘘でもいえない。
君も同じ気持ちだったら嬉しいのだけれど、違うようだ。
喧嘩をする度に、君は「大嫌い」という。
僕の心はズタズタに切り裂けそうだ。
それぐらい君のことが好きなんだ。
だからお願いだ。
嘘でも「大嫌い」といわないでほしい。
どんな最低の夜の後には、眩しいぐらいの日差しを連れて朝がやってくる。
泣きに泣いて、もう体中の水分はないぐらい泣いた夜。
いつの間にか眠ってしまったようだ。
朝陽を見て、また涙が零れそうになった。
毎日くりかえされる天体ショーだというのに心が動かされた。
朝の空気をいっぱいに吸う
「今度の見合い相手は、きっと気に入るぞ」兄が言った。
売れ残るのを心配をしてのことだろうが、ここ数日のお見合いで疲れていた。
おざなりに返事をして身支度をした。相手側から断ってくれないだろうか。
脇差しをさしてやってきた若者は美しい所作でお辞儀をした。
自分の意思を修正したい。
僕たちは出会うべくして出会った。
何人目かの彼女とベッドインした翌日。
僕は君と出会った。
これまた何人目かの彼女の友人として。
君は怒り顔で、僕を殴らないように自分の指先を軽く握る。
「こんな最低な男は殴る価値もないと言い切った。
それを見ていた元彼女は涙をこぼしていた。
ガトーショコラはしっとりとして濃厚な味だった。
「レシピを教えてちょうだい」自分でも作ってみたくていう。
「秘密のレシピだから教えてあげられないわ」ところころと笑う。
「教えてたら食べに来てくれないでしょ」調理器具を洗い終えた少女はテーブルに座る。
「美味しい?」
「美味しい」
王女は瞬く星のように美しかった。
その王女を手に入れるために、隣国の大国は戦を仕掛けてきた。
兵力の差は歴然。
負け戦だった。
隷属することになった。
戦の代償は当然のことながら、王女だった。
「私なら大丈夫よ」気丈にいう王女の姿が痛々しくて目を瞑る。
「だから、安心してちょうだい」
城下町だったからか、ベットタウンだからか。
神社仏閣が多い。
当然、その分お墓も多いわけだ。
幽霊とか気にしなくなるもんだが、幼馴染は違った。
怖がりのまま成長した。
今日も墓地を横切る際、そっと、腕にしがみつく。
意地っ張りな幼馴染は何も言わない。
そんな様子に僕は微苦笑してしまう
眩しいぐらいの日差しはどこか暖かみがあった。
覚めた夢の続きを見ているようだった。
「姫。このようなところで昼寝とは」メイド服を着た妙齢の女性が言った。
「姫? 私は女子高生だよ」きょとんとした。
「まだ夢を見てらっしゃるのですね。貴方様はこの国唯一の巫女姫ですわ」と言われた。
宮沢賢治は故郷の空を見上げ、ダイヤモンド会社が撒いた夜空だと書いた。
有名な銀河鉄道の一説だ。
同じ風景を見ても、僕にはそれ以上の表現は出てこなかった。
小説家志望の僕は打ちのめされる。
それだけ宮沢賢治の感性は優れていたのだ。
三次選考で落とされる僕とは大違いだった。
羨ましい。
「おはよう」僕は言った。
「本当に迎えに来てくれたんだ」君は言った。
「通り道だし、君と過ごす時間は長いほうがいい」声が上ずらないように気をつけて僕は言った。
「ありがとう」君は笑った。
僕は遠慮がちに、君の手のひらを握り締める。
君の少し冷たい手のひらにドキッと心臓が跳ねた。
今日、一日あったことを綴る。
最後に「お休み」と結ぶ。
メールは自動的に返ってくる。
もう使われていないメールアドレスだと無慈悲な文面付きだ。
届くことのないメールを綴り始めてから、どれぐらいたっただろうか。
機種変しても、メールを綴ることをやめられなかった。
一生、綴るのだろうか
教室にいたら女子の集団に廊下に呼び出された。
どうして女子というのは群れたがるのだろうか。
そんなことを考えてながら教室を出た。
真ん中の女の子が綺麗にラッピングした小箱を持っていた。
「ほら、早く言わなくていいの?」リーダー格らしい女子が言った。
「誕生日おめでとうございます」
帰り道は無言だった。
おしゃべりな幼馴染は何も言わなかった。
だから、僕も何も聞かなかった。
二人の足音だけが響く。
いつまでこうして一緒に帰れるのだろうか。
お互いに恋人ができて疎遠になるのだろうか。
そんな未来は実感が湧かない。
生まれた時から死ぬまで、ずっと一緒にいるのだろう。
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