どんなものでも十年続ければ形になるという。
物語を綴り始めて、当に十年を過ぎたけれども満足いくものは、未だできない。
誰かの心に伝わるものが書けたとは思えない。
それでも私は物語を生み出し続ける。
いつか誰かの救いになることを祈って。
つたない物語をネットで届け続ける。
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君が泣くから、今日も雨が降る。
人知れずに泣いたのかもしれないけれど、冷たい雨が僕の肩にふれる。
傘がいらないほどの小雨が降り続ける。
君の悲しみは絶えることはないようだ。
今すぐに会いに行くから、その時は青空が広がっていてほしい。
悲しみの渦に飲みこまれて脱出できないのは辛い。
意地悪だし、口も悪いし、私のことをからかうし。
そんなあなたのことを大嫌い、って言えないの。
大嫌いになれたら、どれぐらい楽になるだろう。
あなたがすることに一喜一憂することもない。
あなたへの想いは大嫌いの反対。
どうしてそんな気持ちを抱えこんでいるのか不思議だった。
わからない
寒さを忘れるほど綺麗な夜景だった。
食い入るように見ていると、あなたは微苦笑した。
あなたは歯切れ悪く、切り出した。
それは友達をやめてしまう言葉だった。
どうしてそんなこと言うのだろう。
せっかくの夜景も台無しだった。
男女の間には友情は成立しないのだろうか。
それを知らされた。
先ほどから雷鳴が連続して鳴っている。
君は小さくなって、耳をふさいでいた。
ひときわ大きな雷鳴の後、室内は真っ暗になった。
どうやらブレーカーが落ちたらしい。
この寒さだ。
エアコンが消えたままでは辛いだろう。
上着を羽織る。
慣れた我が家だ。
ブレーカーを上げる。
程なく電灯が瞬いた。
屋上への鍵が壊れているのは知っていた。
僕の良い休憩場所になっていた。
今日も教室を抜けて屋上へ来た。
先客がいたことに僕は驚いた。
しかも靴をそろえて、飛び降りんばかりの女子生徒がいた。
僕はダッシュしてその腰をつかむと安全な場所まで引き戻した。
そして優しく、両手を両手で包む。
生きている価値がないと思うのなら、死んでしまえばいいのに。
誰かに慰めてもらえると思っているのでしょう。
でも、みんな自分のことでいっぱいだから、そんな余裕はない。
そのことに気がついた時に本当の絶望はやってくる。
独りになるのが怖いのなら、お友達を大切に。
いつかは死ぬのだから
婚約者が貧相なドレスをまとった女性を連れてきた。
「婚約を解消してほしい」婚約者いや元・婚約者は言った。
身分ぐらいしか取り柄がなく、お綺麗な顔立ちをしている元・婚約者は家督を継ぐ意味を知っているのだろうか。
笑い飛ばしてしまいたかったのにできなかった。
女性は唇に笑みを刷く。
料理上手で笑顔を絶やさない母。
寡黙だけど真面目な父。
口煩いけど心配してくれる兄。
趣味が似通っていて話の合う姉。
絵に描いたような素敵な家族だ。
私は幸せだった。
高校受験をするために戸籍を見るまでは。
私だけ血が繋がっていなかった。
そして家族全員がそれを知っていた。
愕然とした。
「名前を教えてくれませんかねー」この手のことは何度も言われた。
「あなたが望むだけのお金を用意しますよ」
腰が低く、丁寧な口調で老紳士風の悪魔は、取りつくろうように笑った。
こちらは、ちょっと魔法をかじったことのある人間だ。
契約を交わす前に名前を教えるのは愚行だと知っている。
「性格ブス」と言われてカチンときた。
「見栄っ張り!」と言い返していた。
「お前みたいのと付き合えるのは俺だけだって気づけよ」と言葉を投げかけられた。
言い返そうとして、盛大な告白をされたことに気がついた。
遠慮がちに、両手をぎゅっと握る。
「じゃあ、一生面倒を見てね」と笑った。
どんな表情をしていても君が好きな気持ちは変わらない。
でも一番なのは笑顔の君が好きだ。
これ以上ないくらいに幸せに笑う君。
僕がくよくよしていても、その笑顔を見れば忘れてしまう。
君の笑顔は魔法だ。
君が笑えば僕も笑う。
悲しい時も、苦しい時も、君の笑顔を思い出せば乗り越えられる。
一生一緒にいる誓いを立てても、やがて別れの時が来る。
死が二人を分かつのだ。
どんなに回避したくてもできない。
それが人間というものだった。
だから、残す方はたくさんの想い出を作ろうとする。
二人が一緒にいたということは、かけがえのないことだと証明するように。
それでも涙に暮れる。
二人で初めて過ごす夜。
僕はできるだけ優しく、君をベッドの上におろした。
少し潤んだ瞳が僕を見つめる。
君は恥ずかしそうに、僕の指先に指を絡める。
僕の我慢の限界に到達した。
僕は君の唇を貪る。
固く結ばれた帯を手荒に解く。
早く君の肌にふれたい。
唇すら柔らかいのだ。
心地よいだろう。
「たまにはイチャイチャしませんか?」晩稲の恋人の耳元でささやく。
「もう充分、イチャイチャしているじゃないか」恋人は真っ赤になって言った。
「だから、もっとイチャイチャしちゃいませんか」恋人の手を取り恋人つなぎをする。
「たとえばキスとか」と提案する。
「他人の目があるだろう」