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「 140文字の物語 」
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「この先、電車がカーブして揺れるんだ。俺の腕をつかんでいて」口実だった。
吊革にやっとつかむ程度の身長の彼女に精いっぱいの大人ぶりだった。
彼女は恐る恐る、俺の腕をぎゅっと握る。
その様子が可愛くって、今死んでも後悔がないと思ってしまった。
落ち着け、俺の理性。
動揺してどうする
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言わなくても分かるから、言葉にしないで。
そんなことを言われたら、泣きたくなっちゃうでしょ。
これでも我慢をしているのよ。
私とあなたは一緒にいられない。
それぞれが選んだ道がそれを許さない。
ずっと気がついていたのよ。
こんな日が来ることを。
だから大丈夫。
笑顔でお別れしましょう。
同胞殺しの妖刀を抱えて木陰に身を隠す。
神剣・神楽は嬉しそうに律動している。
それを青年は忌々しく思う。
死にたくなかったし、殺したくはなかった。
同じ血を分け合う少ない同族だ。
どうして穏やかに暮らせないのだろうか。
青年は樹の幹を押すと反動で走り出した。
戦いを終わらせるために。
寝ぼけ眼で見た世界は霞みがかっていた。
ふすまから冷たい空気が漏れてくる。
ほどよく温まった布団から出て、ふすまを閉めるか悩む。
しばらく考えて起き上がる。
冬になった世界は無理矢理、目を覚まさせる。
ふすまを閉めようとしたら開いた。
ようやく二人暮らしになったことを思い浮かべる。
ずっと胸の内に温めておいた想い。
伝えられただけでも良かった。
優しく受け止めてくれたから、次に進める。
それでも涙は止まらない。
付き合ってくれた友達は優しく背を撫でてくれた。
泣き顔で、友達の指を指先でなぞる。
今は言葉にしたら泣き言しか出てこないから、感謝の気持ちを込めて。
どちらかが先に旅立ったとしても、天国の門で待っていよう。
そして手を繋いで、二人そろって天国へ旅だとう。
別れは辛いものだが、生命の終わりで君が待っていると思えば寂しくない。
最果ての約束だった。
僕は必ず君を見つけ出すよ。
だから君は一生を楽しんできてほしい。
鼓動が止まるまで。
席が隣の少年は居眠りばかり。
ろくに板書をしていない。
そんなことで期末テストは大丈夫なのだろうか。
他人の心配をしているわけには行かない受験生だが、不安になる。
浪人する余裕のある家でも現役で合格しなければ格好が悪い。
授業の終了する鐘で少年は目を覚ます。
欠伸をしながら起きる。
季節外れの肝試し。
霊園を一周してくるだけ、というかわいらしいものだった。
少女は上目遣いで、少年の指を指先でつつく。
「別に怖くはないわ。ただ人間湯たんぽが欲しいだけ」少女は言った。
そんな強がりに少年はクスリと笑った。
「ホッカイロになってあげるよ」少年は言う。
少女の手を握る
県大会前にケガをした。
君は心配そうに、僕を見た。
「これぐらい大丈夫だよ」君が好きで、嘘をついた。
『これ以上無理を重ねれば、選手生命が絶たれるだろう』それが医師の見解だった。
学生生活最後の試合だ。
退くことはできなかった。
たとえ腕を壊しても、最後まで投げきるつもりだった。
二人で並んで月を見上げていた。
穏やか時間だった。
神剣・神楽も大人しくしていた。
こうしていると戦いの日々が嘘のようだった。
これが当たり前の日常にするために青年は戦っている。
隣で「月が綺麗ですね」と少女が言った。
それから都市伝説を思い出したのか赤面する。
この瞬間を守りたい。
僕はこれ以上ないぐらいに君が好き。
世界か君かを選択を迫られたら、迷わず君を選ぶだろう。
君のいない世界は生きている価値がない。
そんなに好きなのに、愛の言葉が思い浮かばない。
「愛している」という言葉では足りないぐらい君が好きだ。
この熱い想いを伝えることができるのだろうか。
君と言い争いになった夕。
沈黙の中、足音だけが響いていた。
謝れば、君は許してくれるだろう。
でも、どうしても譲れることはできなかった。
ほんの些細なことだった。
こだわらなければどんなに良かったのだろう。
最低な気分で分かれ道にさしかかった。
どちらも無言で家に向かう道を歩いた。
他の兄弟よりも映像に残っているのが少ない。
その貴重な映像は七五三の物だった。
鷹の着物を羽織る姿で緊張気味で写っていた。
笑顔の物が少ないから、どうしても悔しさが残る。
どうして笑っていることができなかったのだろう。
映像に残される機会が少なかったから、怖かったのだろうか。
子供時代、帰り道を歩きながらいつでも会えないような予感がしていた。
次の日、君と会える予感がしなかった。
だから泣きそうになりながら、指先に指を絡める。
たった一つのぬくもりを感じながら歩いていった。
「さようなら」が言えなくて俯いていた。
自然に解かれた指に、切ない想いをした。
どんな時でも僕は君のことが好きだけれども。
僕を見て微笑む、この瞬間の君が好きだ。
その笑顔は僕だけに向けられたものだから嬉しい。
君は優しいから、誰にでも微笑みながら助ける。
僕だけの君でいてくれない。
それが大いなる不満だった。
僕の一番は君だというのに、君の一番は僕じゃない。
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