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「 140文字の物語 」
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君の瞳が聞きたくないと訴えていた。
君の大きな瞳には間抜け面をしている僕が写っている。
君の期待を裏切るようなことを言わなければならない。
君はそれを知っているから無心で見上げてくるのだ。
僕は心の中で数字を数えながら冷静になろうとした。
せめて君を傷つけないように優しく伝えたい
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今日も君はわがままだ。
できないことはできないのだ。
たとえ君がどれほど望んだとしても。
そりゃあ、聖なる夜を君と過ごしたいけど、平日なのだから仕方がない。
君は怒り顔で、手のひらに指を絡める。
降参だ。
君のわがままに付き合おうじゃないか。
一緒にいられる時間は限られているけど。
暮れずむ帰り道。
いつものように二人で帰っていた。
ただ一つ違うのは、彼氏彼女の関係になったことだ。
今日から付き合い始めた。
見事な夕焼けに息をのむ。
彼も気づいたようだった。
二人そろって立ち止まる。
彼から手を繋いだ。
私は彼を仰ぐ。
頬が赤いのものも気のせいってことにしてあげる。
蛍は澄み切った場所でしか生きられない。
それとな同じように、君も澄み切った場所でしか生きられない。
僕と君は住むところが違うのだ。
血みどろの戦場は、君には似合わない。
澄んだ水辺でちらちらと静かに輝いていてほしい。
我儘を言わないでほしい。
思わず叶えてしまいたくなるじゃないか。
睨みつけるように薔薇を見る。
冬が迫ってきた季節だ。
花は少ない。
カメラを片手に薔薇の生け垣を見つめる。
どう撮れば美しく撮れるだろうか。
生命の美しさを表すことができるだろうか。
何枚もシャッターを切っても満足いくものができない。
題材は充分。
足りないのは腕前だろうか。
悔しかった
「ずっと前から、君のことが好きなんだ」僕は告白した。
「うん、知ってる」と君はあっけらかんと言った。
「それで、どうしたいの?」君は尋ねる。
「できれば、付き合ってほしい」僕は言った。
「いいよ」単純すぎる言葉に、まじまじと顔を見てしまう。
「だってずっと好きだったから」 君は言う
いつものように君は額にキスをしてくれた。
デートの終わりの合図だ。
変わりのない仕草なのに、動揺した。
これが最後のような気がした。
そんな不安を感じ取ってくれたのか、君は頭を撫でてくれた。
それでも悲しみは癒えることがなかった。
君は困ったような顔をして、僕の頬にキスをした。
緑が減ってきた。
常緑樹の緑だけが輝いていた。
風邪気味なのか、あたたかい湯船に浸かりたくなった。
バスタブに湯を張ろうとして冷たい水だけが出てくるのが不思議に思った。
慌ててポストをん覗きこんだ。
ガスを止める通知の紙が入っていた。
忙しくてガス代を払えなかった。
打ちのめされる。
君が泣き顔で、手のひらに指を絡める。
だから、そのぬくもりを払えることができなかった。
僕まで泣き顔になってしまって、二人して別れを悲しんでしまった。
それも、もう過去のこと。
これからは一生一緒にいる。
その誓いを立てるために、朱いカーペットの終着地点で君を待つ。
もうは離れない
こう暑い日が続くと、季節を忘れそうになる。
微かに汗をかいた君からいい香りがした。
それにつられたのかのように、君の首筋にキスをしていた。
君は驚いて僕を見る。
暑さにやられた理性は、どこかに行ってしまったようだ。
残されたのは獰猛な欲望だ。
誰も見ていないところで君を抱きたい。
音もなく愛猫が足にすり寄ってきた。
寂しかったのだろう。
朝、入れていったキャットフードがあまり減っていない。
独り暮らしで猫を飼うのは問題だという人もいる。
留守中に猫が病気になったらどうするのか。
分かっているけれども、苦楽を共にする同居人が欲しい。
それはエゴだと知っている。
これは正義だと拳を上げる人たちがいる。
人の数だけ正義はあって、人の数だけ意見がある。
その人たちは知らないのだろう。
少数派の言葉はいつでも無視される。
大多数が求める声が正義なのだ。
そう思うと心が傷つく。
いつでも少数側に立つ僕は拳を振り上げられない。
俯いてやり過ごすだけだ。
ようやく迎えた初夜だった。
ここまで来るまで、色んな苦労をさせられた。
その苦しみも今日でおしまい。
これから無事に夫婦になる。
君は嬉しそうに、手のひらに爪を立てる。
お返しに僕は君の首筋に噛み跡をつけた。
所有の証のようで幸せな気分だ。
今夜から君は僕のもので、僕は君のものだ。
この気持ちは、愛なんて綺麗なものじゃない。
もっと醜くて、もっと汚いものだった。
性欲と変わらない。
君を無茶苦茶にしたい。
そんな気持ちだった。
愛はもっと優しくて、もっと尊いものだろう。
少なくとも僕が今、感じている気持ちからは遠いだろう。
僕の心が伝わらなければ、それでいい。
黎明の空を月が沈んでいく。
反射のように太陽が空を染めながら昇ってくる。
毎日、くりかえされる天体ショー。
それなのに、切なく感じるのはどうしてだろう。
沈んでいく月をなぞるように太陽が昇る。
冷たい窓越しに見るそれは、本当に美しかった。
言葉にするのが陳腐のように感じられた。
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