忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

朝3時。
新聞が届けられる時間だった。
受験勉強をしていた時から、新聞受けから新聞をダイニングに運ぶのが日課だった。
その日は空っぽの新聞受けに出会った。
バイクが走ってくる。
慌てて新聞を入れた男性にハートを盗まれた。
一目惚れだった。
連絡先を訊こうと心が押す。
言葉を交わしたい。
PR
-
ずっと好きだった。
きっと鼓動が止まる瞬間まで連れていく感情だと思っていた。
想いを伝えることはないだろうと、ぼんやりと考えていた。
あなたの重荷にはなりたくない。
言葉にしたら、あなたは途惑うだろう。
だから、この気持ちは秘めたまま一生付き合っていく。
それが唯一できることだった。
「好きです。付き合ってください」と見知らぬ女子に言われた。
好かれるのは嫌じゃなかったし女子は可愛かった。
付き合っている相手もいなかったから「いいよ」と二つ返事をした。
「本当ですか?」女子は目をキラキラと輝かせた。
それも過去のこと。
「だってこんなの、愛じゃない」彼女は言う
「いただきます」箸をそろえて拝むように言う。
「どうぞ、召し上がれ」と返ってくる言葉はない。
完全な独り言だった。
朝ごはんのメニューは雑穀米と豆腐とわかめの味噌汁とひじきの煮物とほうれん草のお浸しと焼き鮭だ。
毎朝、出されていたメニューだ。
ただ味の方は毎朝のものとは違った。
カタンッと音がした。
俺は目覚める。
カタンッ?
充電中のスマホで時刻を確認すると、真夜中の2時。
丑三つ時だった。
冗談はこれぐらいにしてくれ。
今時、怪談話なんて流行らない。
二度寝を決めこもうとしたが足音が近づく。
薄暗がりで見ると幼馴染がいた。
彼女は無理矢理、両手をぎゅっと握る
呼吸に咳が混じる。
生命が潰えようとしている。
残された時間は少ない。
手を必死に握って、少しだけでも長くと祈ってしまう。
そんな僕を見て、君は微笑む。
君の澄んだ瞳はすべてを覚悟していた。
それが見てわかってしまったから、僕の目から涙が零れてしまう。
「また次の世界で」と君は言った
忘年会の出欠席をとる。
今年は残念ながら忘年会はクリスマス・イブに開かれる。
家庭を持つ人たちからは不満の声も上がった。
けれども仕方がない。
半ば強制的の忘年会だ。
同僚に予定を訊く。
「その日、デートなんだよね」軽い口調で言う。
誰も彼もハッピークリスマスだ。
予定がなくて悔しい。
枯れた枝のように貧弱の肉体。
義理でも映えるとは言えない。
しかし舞台に立つと違う。
観客の視線を集める。
輝くスターになる。
普段の姿からは想像できないほど違う。
天賦の才と言ってしまえば、それだけなのだろう。
誰よりも眩しい君の姿を見て羨ましいと思った。
僕にもその才が欲しいと思う
二人して路地裏に隠れる。
雑多な物が置かれている路地裏は、僕らを自由にしてくれる。
君は堂々と、僕の両手のひらを指先をなぞる。
僕の存在を確かめるように。
くすぐったくて思わず声を上げてしまった。
君ににらまれる。
隠れ鬼のように路地裏に隠れているのだ。
見つかるわけにはいかない。
常々、不満を持っていた。
だから口論になった時、零れ落ちた。
「可愛い以上の言葉ってないの」私がそういうと貴方は目を丸くした。
「た、例えば、好きとか、愛しているとか」言い出してみると恥ずかしい言葉だった。
他の恋人同士のように言ってほしいと思っていた。
いざ機会ができると照れる
今回は「海」をテーマにした小論文だった。
内陸の地で育った少女には憧れの場所だった。
素直にそのことを書いた。
白金色の頭髪の少年は正反対に「海」がなくて良かったということを書いた。
そんなことを書いたのは一人だけだった。
結果、少年の小論文が掲載されることになった。
悔しかった。
君は満天の夜空を前に遠い目で眺めていた。
僕の知らない想い出でもあるのだろうか。
君のシルエットはどこか不安定で寂しげだった。
そんな君を抱きしめて、唇を盗む。
君はようやく僕を見た。
君の瞳に映る僕は滑稽なぐらい間の抜けた顔をしていた。
それでも「君を愛している」と告げていた。
昼下がり、並んでソファの上に座っていた。
溜めこんだ録画した番組を見る。
長かった一週間も終わり。
また明日から仕事だ。
こうして二人一緒にいられる時間は尊いものだと知らされる。
そっと、無造作にソファの上に置かれた指に触れる。
あたたかな温もりを共有したくて。
すると指を握られた。
僕と君の愛は満月のように丸かったはずだ。
気がつけば、少しずつ削られていた。
だから、僕は欠けた愛を探してる。
僕と君がやり直しできるように。
きっと恋人同士になった頃のように、満ちた気分になれるだろう。
だから、君も一緒に探してくれないか。
二人で探せば、見つけるのも容易だろう。
昔話にあるように、部屋を覗いてはいけないと言われて覗く男は、どんな気持ちだったのだろうか。
どうしても知りたくて覗かずにはいられなかったのだろうか。
覗いてしまった後、悔いたことしか語られない。
今の僕の気持ちによく似ている。
君の心の中を覗きたくて仕方がない。
望まない結果でも
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH