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「 140文字の物語 」
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この国が破滅するのは秒読みだった。
弱い国が敗れるのは戦国の習い。
仕方がないことだった。
一番若かった兵士は奥方と幼い姫を先導しながら城を出る。
慈悲があるとすれば血脈が絶えることがないことだろう。
兵士は残党狩りから奥方と姫をかばう。
過酷な旅になるが生命に替えることはできない
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また、はぐれた。
いつも間にか見知らぬ土地で独りたたずんでいた。
一緒の班で周っていた友達にLINEを送る。
せっかくの修学旅行も台無しだ。
なかなか既読がつかなくてハラハラする。
やがて見知った顔がやってきた。
泣き顔で、もうはぐれないように指に指にを絡める。
独りぼっちで心細かった。
少年が急に抱きついてきたので少女は身構えてしまった。
氷のように固まってしまった少女の耳朶に少年は囁く。
「深刻な君不足」疲れ切った声が耳に響く。
大接近された少女の心臓は早鐘を打つ。
「毎日、会っていても足りない」少年は少女を抱きしめる。
少女はぎこちなく少年の背に腕を回した。
少女はきらりと輝かく星を見上げながら歩く。
街灯はところどころにしかない暗い夜道だ。
転んだりしないか心配になる。
実際、段差に気づかずよろけた。
青年は少女の手を繋いだ。
大きな瞳がこちらを見た。
「転びそうになったら助けるよ」と青年は言った。
少女の顔に笑顔が浮かぶ。
再び見上げる
気がつけば松の内すら終わっていた。
壁に張られたカレンダーが去年のものだった。
それぐらい充実して年末年始だった。
今年のカレンダーを取り出す。
カレンダーを替えるために立ちあがる。
今年こそ、中身のある一年にしたいものだと思った。
この調子なら、あっという間の一年になりそうだった
修学旅行の班行動が気が重かった。
男女混合の班を組まされた。
女子は比較的仲が良いメンバーだったがのが救いだった。
地図を見ながら古都を歩く。
ふいに一人の男子が軽々しく、腕を軽く握る。
ビックリして目を丸くしていると、背後から車が追い抜いて行った。
「大丈夫だった?」と訊かれた。
「大丈夫だよ」と私は言った。
本当は一人で抱えているのが辛かった。
それでも貴方と分かち合いたいとは思わない。
苦しいのは、自分だけでいい。
貴方には知られたくなかった。
「そんなに頼りない?」貴方は言った。
吐いた嘘を見抜いてしまう、貴方が嫌い。
私のことは放っておいてほしかった。
昼下がり、あたたかい日差しが差しこんでいた。
絶好の昼寝日和だった。
青年は毛布をかけ、ソファでまどろんでいた。
すると、少女がやってきて毛布をはごうとする。
「いつまで寝てる気ですか?夜、眠れなくなってしまいますよ」少女が言った。
尤もなことだが昼寝したいという欲求の方が強い。
電車に揺れれていると、眠気が増す。
1/f揺らぎというものらしい。
欠伸をかみ殺し、隣を見ると君はスマホを見るので忙しそうだった。
僕と一緒にいるのに、タイムラインを追いかけるの方が楽しそうだった。
僕は力強く、君の指を指先でつつく。
君は顔を上げて、ようやく僕を見た。
作戦は成功だ
朝日が昇る前に、目覚まし時計は鳴る。
冬休みも終わろうとしていた。
今年は受験生だ。
規則正しい生活を送らなければいけないだろう。
目覚まし時計を止めて、パジャマから部屋着に着替える。
階段を下りていくといい匂いがした。
母が朝ご飯の支度をしていた。
主婦に休みはない。
ご苦労なことだ
冬至が過ぎ、年が改まったといっても、帰るころには星が瞬く時間だ。
二人は夜空を見上げながら黙々と歩く。
靴音だけが響く。
寒さに首をすくめる。
ふいに眩しい光が目を刺す。
とっさに君の手を引き、かばう。
制限速度を超えた車が通りすぎる。
「ありがとう」君は言う。
「驚かせただろうか?」
今日は買い出しじゃない。
歴っとしたデートだ。
待ち合わせ場所の5分前に到着したのは彼女を待たせたくなかったから。
緊張して早く着きすぎたためじゃない。
待ち合わせ場所で彼女が立っているのを見て、心が弾んだ。
「お待たせ」と言うと彼女は微笑んだ。
僕は力強く、彼女の手のひらを握る。
君は立派な人だから、僕と釣り合わない。
できることなら君を甘やかして駄目にしたい。
僕がいなければ何もできないぐらいに。
そんなことはできないと知っているけれど考えてしまう。
僕が駄目人間だから、同じレベルまで引きずり下ろしたい。
そんな願望も君の澄んだ瞳を見てしまえばおしまいだ
少女は夜空を見上げていた。
そこへ、ほろ酔い気分の青年がやってきた。
「何を見てるんだ?」青年は尋ねた。
口臭から酒の匂いがして、少女は眉をひそめた。
「星を見ていました」少女は答えた。
「楽しいのか?」青年は問う。
完全な絡み酒だ。
気分が害される。
星が綺麗だったから見てたのに。
青年が新聞を読んでいる間に、朝食はできたらしい。
珍しく洋食だった。
銀のスプーンを添えられたオムライスを食べる。
卵がきちんと半熟で、ケチャップライスとよく合っていた。
作ってくれたことに感謝しながら食べ進める。
青年の手が止まる。
そして痛がる。
原因は分かっている。
虫歯だ。
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