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「 140文字の物語 」
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「たまにはイチャイチャしませんか?」少女が言った。
「場所と状況を考えてから発言してくれないか?」青年は言った。
「だって私たち恋人同士ですよね!手すら繋がないなんて、時代遅れですよ!」少女は抗議をする。
青年は溜息をついた。
駅に向かう商店街でそんなことをしたら噂になるだろう
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画面を見ていたら、眩暈を起こした。
文字列が頭に入ってこない。
血流がすーっと落ちていく感覚がした。
マズい。貧血だ。
そう思った時は遅く、ふらっと崩れ落ちた。
派手な音が耳に響いたから目を瞑ってやってくる痛みに耐える。
宙に浮いた感覚がしたけれども痛みはなかった。
「大丈夫かい?」
定時で上がれた日は何時のことだったろうか。
それでも今日は早く退社できた。
「ラーメンでも食べていかないか?」先輩から声をかけれた。
断りづらい雰囲気だったので、先輩の後をついていった。
理不尽な仕事を押しつけてきたクライアントの名前を覚えた、と言ったら苦笑された。
絶対許せない
「お手洗い、行ってくる!ちょっと見ていて」とポンと赤子を渡された。
「姉貴!」引き留めようとしたが、姉はダッシュで化粧室に行ってしまった。
どこもかしこも柔らかで、あたたかかった。
姪はいきなり泣き出した。
恐る恐る、小さな手のひらを握る。
こんな時どうすればよいか分からない。
夜が更けた時間、青年は古書を読み解いていた。
先祖様が残してくれた文書は達筆で、簡単には意味が取れない。
「入っても大丈夫ですか?」少女がふすまを隔て声をかける。
入室許可すると温かいお茶を持ってきた。
青年は笑みを滲ませる。
「もう一月も終わりますよ」少女はカレンダーをめくる。
穏やかな昼下がり。
このまま昼寝をしたいと思った。
青年は毛布を取ってこようと立ち上がると、少女も立ち上がった。
上目遣いで、手のひらにしがみつく。
「一緒に寝たい?いいでしょ?」断れるなんて微塵も思っていないおねだりだった。
異性として意識されていないのだろうか。
悲しくなった。
「愛している」少年は告げた。
少女は驚いて目を丸くする。
「一回、言ってみたかったんだ」照れながら少年は言った。
「じゃあ、嘘なの?」無邪気に少女は問うた。
驚くのは少年の番になった。
「迷惑じゃない?」少年は緊張しながら尋ねた。
「あなたがくれるもので、迷惑なものは一つもないわ」
「あなたは平気かもしれないけど」と君は切り出した。
「本当はとっても寂しいの」呟くように言う。
ここ最近のすれ違いに落ちこんだような声をしながらも『大丈夫』と言っていた君。
それは強がりだったことに知らせられた。
気がつくきっかけは、たくさんあったのに気がつけなかった。
手を繋ぐ
昼間と同じ道を通ったけれども、雰囲気が違った。
空は赤く染まって、沈む準備をしてるからだろうか。
一人分の足音を聞きながら思いを馳せる。
僕が一人のように、君も一人だろう。
夢を抱えて、その一歩を踏み出した。
置いていかれた僕は寂しいけれども、君は高揚しているだろうか。
僕は俯く。
幼い少女が無邪気に「好きよ」と言った。
幼い少年は目を逸らしつつ、自分の両手に手のひらに指を絡める。
それから時間が経過した。
少女はいつもの調子で「好きよ」と言った。
少年は少女を見つめて「僕も好きだよ」と答えた。
そして、両手をふれる。
子供時代とは違う。
それに少女は途惑った。
願わくばこのまま、ずっと手を繋いでいたい。
二度と離れ離れにならないように、固く握りしめられている。
二人で一つになりたい。
天にあっては比翼の鳥のように。
地にあっては連理の賢木のように。
恋を知ってしまったら、後戻りはできない。
君無しでは生きてはいけない。
胸の奥が燃え上がる。
幼馴染が高校生というのは世を忍ぶ姿だった。
新進気鋭のカメラマンだった。
個展を開けるほどの実力者だった。
普段のぼんやりとした姿を見ていると信じられないけれども。
いざカメラを持つと表情が変わった。
アイスを食べながら暗室から出てくるのを待つ。
同じものを見ているはずなのに違う。
「朝ですよ」雲雀のように明るい声が起床をうながす。
眠り足りないから「あと5分」と言ってしまう。
「そう言って5分で起き上がれたためしがないじゃなあいですか」少女はもっともなことを言う。
力強く、青年の手のひらを指先でなぞる。
何かの文字を書かれたようだ。
くすぐったくて目覚めた
近すぎると怖い、離れても嫌。
複雑な乙女心なのです。
初めての恋だから、歩調を合わせてくれると嬉しいのです。
何もかも初めてで、どうすればいいのか分からないのです。
名前を呼ばれる度、ドキッとします。
見つめられるだけで、心臓は早鐘を打ちます。
だから、優しく扱ってほしいのです。
小言に適当に返事をした。
心配してくれるのは悪くない気分だったが、こう毎日のように言われると食傷気味になる。
悪いのは自分だと分かっている。
それでも朝から嫌な気持ちになる。
「遅刻するから、もう出るね」と言って靴を履く。
「行ってらっしゃい」と母は言う。
それが最後の会話だった。
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