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「 140文字の物語 」
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どんなものにも別れというのはやってくる。
それが、ちょうど今だっただけだ。
分かっていたはずだ。
永遠というものは石に閉じこめられたようなものだと。
どうしても覚えて欲しかった。
跡を残していきたかった。
嫌々ながらも、両手のひらに爪を立てる。
痛みと共に思い出してもらえるように。
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どれだけ思ったことだろう。
君を甘やかして駄目にしたい。
僕がいないと何もできないぐらいに。
それなのに現実は遠い。
君は僕がいなくても生きていける。
君がいないと駄目な方は僕だ。
君がいないと何ひとつできやしない。
甘やかされた記憶はないのだけれども。
今日も頼ってもらえなくて寂しい
スイッチをOFFにすれば部屋は真っ暗になる。
眠れないので天井を見つめる。
正確には天井のある方を見つめる。
暗い部屋では何がどこにあるかは記憶力勝負だった。
それが怖くて、心臓がドキドキする。
眠るどころの騒ぎではなかった。
やっぱり眠気が来なくてベッドから降りてスイッチをONにする。
暖房のきいた部屋でアイスを食べながら修正箇所を確認していた。
修正する箇所は思ったよりも多かった。
やりがいがあるといえば、やりがいがある。
それよりも溜息が零れる。
「そんな格好だと風邪引くぞ」兄がパーカーを持ってきた。
無下に断るのも悪い気がしたので、パーカーを羽織る。
付き合って一年目の記念日に君はペアリングを贈ってくれた。
控えめなデザインで丁寧なつくりの物だった。
上品なそれは安物にはない輝きがあった。
君がくれるものなら安物でも心の特等席だけど。
無理をして用意をしてくれたのなら悪いような気がした。
それでも大切にされている証拠のようだ。
こんな痛みを抱えるのは僕一人で充分だった。
君には笑っていてほしい。
君は何も知らなくていい。
君は常春の景色が似合うから、苦しみを知ってほしくない。
それなのに、君は手を差し出す。
痛みを分かち合うために、君は僕を真っ直ぐに見つめる。
だから、僕は弱音をボロボロと零してしまった。
まだ付き合いたての頃だった。
君は繊細だから、壊してしまうのではないかと不安になった。
だからぎこちなく、指先を軽く握るのにも勇気が必要だった。
手を繋いで帰るのは気恥ずかしくて、わざと遠回りをして帰った。
それも、もう過去のこと。
今はしっかりと君の手を握って送り迎えができる。
君の涙の味はどんな味なのだろうか。
原初の海のように塩辛いものなのだろうか。
それとも水のように無味無臭なのだろうか。
僕ができることと言えば、泣く君の背中を優しくなでることだけだ。
声を殺して泣く君の涙が終わることを祈って。
君を泣かした奴を許せない。
地獄に堕ちればいいと思う。
役得ということなのだろうか。
幼なじみに頼まれごとをされても面倒だと思ったことはなかった。
持ちつ持たれつ。
こちらが厄介ごとを頼むこともあるからかもしれない。
だから、今回も二つ返事で引き受けた。
まさか、こんなにも苦労することになるなんて想像もしていなかった。
とても後悔した。
青嵐が雨戸をガタガタと鳴らす。
文字を追っていたのだが集中力が切れた。
目を瞑る。
風は止みそうになく、大きな音を立てて吹く。
この季節らしい夜だったが、今日中に読んでおきたい本だった。
諦めて仮眠をとり、朝早く起きて読んだ方が効率が良さそうだ。
長く息を吐く。
返す返すも恨めしい。
薔薇のジャムをひとすくいして、紅茶に混ぜられたものを飲んでいた。
一口、味わうと読書に戻る。
ページの厚さに驚く。
読み終わるまで眠れない。
先が気になって布団にもぐっても、また本のページをめくってしまうだろう。
そんな近い未来が分かっているから今のうちに読み終らせてしまいたい。
君はこの世でただ一人だけの存在だ。
君に出会ってから僕の人生は大きく変わった。
どんな人間でも僕を動かすことはできなかった。
諦めていた。
そんなに長い人生ではないだろうから、どうでも良かった。
君に出会うまでそう思っていた。
君は僕にとってただ一人の人だ。
失う事のできない存在だ。
好きになればなるほど少年のことを知りたくなった。
もっと深い関係になったら、際限なく知りたくなるのだろうか。
少女には、まだ知らないことがたくさんあった。
迷惑だろうか。
こんな想いを抱えるのは初めてだから分からない。
笑顔だけではなく、困った顔だけではなく、もっと深く感じたい。
少年はたった一つの宝物を握って走る。
焼け落ちる屋根から逃れて、小高い丘まで二人は走った。
「みんなは?」少女は大きな瞳をさらに大きくして尋ねる。
少年は答えられなかった。
少年の手は小さく、たった一つの宝物を助け出すだけが限界だった。
「助けなきゃ」少女は少年の手を振り払った。
-
君との思い出はどれもキラキラと輝いている。
夜空に煌めく一等星のように。
胸の内を焦がす。
一つ一つ拾い上げて、思い返すんだ。
君と二人で作った思い出だから、宝石のように輝いている。
忘れることはないだろう。
こんなにも胸を締めつけるのだから。
他ならぬ君のことだから。
大丈夫だよ。
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