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「 140文字の物語 」
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胸が張り裂けそうだった。
涙があとからあとから零れて止まらない。
この慟哭を見る人がいないことが幸運だ。
この未来を選んだのは自分だ。
けれども酷すぎる。
笑顔で別れた人と二度と会えない。
別れ道に手を振って見送ったのは、後悔をしたくなかったからだ。
こんな未来を望んだからではない。
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どこも自粛、自粛、で家の中にいるのにも飽きた。
テレビをつければ暗いニュースばかり。
そんな時に幼なじみがやってきた。
暇を持て余しているようだった。
「罰ゲームしない?」と幼なじみの挑発に乗ってしまった。
負けた僕は満面の笑みを浮かべながら、両手に爪をたてる、という罰を受けた。
「どこかへ行きたい」と君は言う。
「どこへ行きたい?」僕は尋ねた。
「誰も知らない場所」君は悲しそうな顔をして言う。
「じゃあ、行けるところまで行こうか」と僕は手を差し出した。
君はおずおずと僕の手を握った。
逃避行はすぐに見つけられるだろう。
それが僕らにとっての世界の終わりだ。
鬼教官と呼ばれていた。
地獄の方がマシだと言われていることも知っていた。
そんなことは痛手ではなかった。
何も知らない兵士を戦場に送る方が恐ろしかった。
一人でも帰還できるように、鍛え上げるのが自分の役割だと思っている。
何と言われても平気だった。
じっと手元を見る。
まだ足りない。
新聞をめくっていると見知った名前を見つけた。
見出しを見て慟哭する。
新聞を涙で滲ませる。
いくら何でも早すぎる死だろう。
冷徹に新聞は事実を伝える。
離れていても大好きな人だった。
再会を期待しているような人だった。
もう会えないと思うと涙があとから零れてくる。
彼はもういないのだ。
地面に落ちていた小石を蹴りながら、通学路を歩いていた。
一緒に帰ろうと思っていた友だちはバイトがあるそうだ。
ホームルームが終わると同時に駆けていった。
独り童心に帰って石けりをしているのだが意外と楽しい。
真っ直ぐに蹴るのが難しくて道路の隅に転がってしまう。
嬉しい発見だった。
「聞いてよ、お姉ちゃん」と妹がやってきた。
「今日、好きな人と目があっちゃったの」嬉しそうに妹が言う。
なんて幸福な人生なのだろうか。
驚愕した。
視線が合うだけの恋は卒業した。
「どうしよう」と途惑いながらも幸せそうな妹の恋に内心は嘲る。
好きな人は違う好きな人がいるかもしれない
スマホを見ながら駅までの通学路を歩いていた。
ざわめきと共に車の走行音。
見知らぬ男子がそっと、腕を軽く握る。
驚いて硬直してしまう。
そのままで腕を引っ張られ、横断歩道を歩ききる。
車がよろよろと揺れてすぐ側で停止した。
危機一髪を助けてくれた男子の目を見られない。
「ありがとう」
あなたは花から花に渡る胡蝶のよう。
どれほど焦がれても、あなたの真は手に入らない。
私のように百花にうずもれるような野の花には。
好きだという気持ちであなたを見つめることしかできない。
視線に気がついたのかあなたは笑う。
「だったら捕まえてごらん?羽をもぎ取ればいいさ」残酷だった
適当にあしらわないで。
あなたの全てを知りたいの。
どんなことで泣くのか。
どんなことで笑うのか。
隣で見ていたいの。
だから、いつまでも傍に置いてちょうだい。
煙たがらずに受け入れて欲しいの。
私はあなたのことが好きだから、あなたも同じ気持ちになってくれたら嬉しいし、違ったら悲しい
外見がいいと得だ、なんて嘘だ。
こうして校舎裏に呼び出されたのは何回目だろうか。
連続しているから数えるのをやめた。
どんな可愛い子が告白してきても答えは一緒。
好きな人がいるから、それ以外の告白は無意味だ。
「また、振ったんだって?」放課後に声をかけられた。
嬉しくて頬を染める。
「手を繋いで歩きたい」と少女が言った。
少年はどう断ろかと思案する。
少女の手を握ってしまったら、離したくなくなる。
それが分かっているから困った。
少女は上目遣いで、腕を指先でつつく。
「ダメ?」甘えるような声で少女は言った。
ますます少年は動揺する。
少女の期待に応えたくなる。
少女はパズルにハマっていた。
それを少年は眺めていた。
一過性の趣味か、それとも数ある中の趣味になるのか。
それはまだ分からなかった。
ただ一緒にいるのに、こちらを見つめてくれないのが面白くなかった。
ようやく少女はひとつのピースをはめこんだ。
パズルは完成した。
少女は笑顔を見せた
爽やかな朝だった。
明け方には、まだ遠いだろうか。
制服に着替え、階段を下りていく。
「酒くさ」と思わず言ってしまった。
ダイニングテーブルに並べられた缶に目を丸くする。
姉が満面の笑みを浮かべながら、腕を握る。
「私を置いていく気?」その言葉に何度目かの失恋をしたことに気がつく。
体育の後の古典の授業は眠気を誘う。
机を巡回しながら朗読する先生の声は上質な子守唄のようだった。
うつらうつらと眠りがやってきて瞼が重くなる。
隣の席の女子が恥ずかしそうに、両手のひらを指先でつつく。
「次、当たるよ」と女子は教えてくれた。
危機一髪。
目をこすりながら教科書を見る
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