忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

思い出にするには痛々しい記憶。
かまってほしくて無理矢理、少女の指先を指先でつつく。
課題をしていた少女は「どうしたの?」と手を止める。
「飽きた」少年は言った。
少女のプリントと違って半分も埋まっていない。
「遊ぼうよ」と少年は言う。
「これが終わったらね」真面目な少女は言った。
PR
君は僕の精神安定剤。
どんなに怖いことも、どんなに不安なことも、君の笑顔を見れば乗り越えられるような気がした。
それだけの力が君にはある。
幾度、僕を救ってくれただろう。
だから、今度は僕の番だ。
僕が君の精神安定剤になってあげる。
辛いことや、悲しいことを心の中に溜めこまないで。
授業開始のベルが鳴っても先生が来なくて騒いでいた。
時間に厳しい先生だったからなおさらだった。
廊下側に座っている女子が顔を上げた。
ぎこちなく、手のひらを指先でなぞる。
それで黙って、席に戻った。
程なくして先生がやってきた。
危機一髪を救ってくれた女子に感謝する。
女子は照れた。
片想いが成就して、両想いになりました。
見ているだけしかできなかった人と付き合うことに決まりました。
背中を押してくれた親友には感謝しています。
彼氏になった人は寡黙な人です。
そこが格好良いところです。
でも好き、時々不安。
言葉にしてくれることが少ないから。
私で良かったのかと。
憧れの先輩がいた。
社交的な先輩は、何かと気を配ってくれた。
内気の私は挨拶ぐらいしか会話はできなかったけれども。
その朝、先輩の様子が違った。
左手の薬指に指輪がはまっていたのだ。
そのことに打ちのめされる。
「結婚したんですか?」棒読みな言い方だと分かっていた。
先輩は頷いた。
「ずっと一緒にいるよ」君は言った。
ふいに泣きだした私を慰めるように背中を撫でる。
『ずっと』はない。
それを私を知っていた。
それでも君は約束するように言った。
君の吐いた嘘と本当。
君もずっと一緒にいたかったのだろうか。
できないと分かっていても、望んでいたのだろうか。
分からない
寄せては返す波を見ていると落ち着かない気分になる。
隣を歩く人がさらわれてしまうような。
私を置いてどこかに消えてしまうような。
そんな不安が胸に去来する。
そんなことはないのに。
潮騒が非日常だろうからか。
滅多に見られない海に連れてきてもらったのに、私の心臓は早鐘を打つ。
雲ひとつない青空の日だった。
少女に罪を被せるには心が痛むような日だった。
何も知らない無垢な少女は微笑んでいた。
天から罰せられるように、良く晴れていた。
少女の長い髪を切る。
丁寧に扱われていたのだろう。
絹のような手ざわりだった。
ようやく少女は違和感に気がついた。
笑顔が消える
言葉にすることができなかった。
笑顔で見送ることしかできなかった。
ずっと胸の片隅にいた思いは伝えることができなかった。
あなたと別れてから、独り浜辺にきた。
海に沈めたあの日の思いは、すんなりと同化した。
そこでようやく泣くことができた。
波打ち際を二人で歩いたのは過去のことだ。
彼女自身も疲れているのだろう。
それでも湯船を張って待っていてくれた。
感謝の言葉を告げても無視された。
忙しそうに晩ご飯の準備をしていた。
気になったが僕は湯船をつかるのを優先してしまった。
上がってくると彼女は泣く現場と遭遇してしてしまった。
とりあえず優しく背中を撫でてやる。
今の私は壁の華。
エスコートしてきた婚約者は、他の女性とダンスを踊るのを楽しんでいる。
婚約者は軽々しく、見知らぬ女性と両手を触れ合わせる。
確かに練習で正確にステップが踏めずに、何度も足を踏んだ。
だからといって一曲も踊らないのは、どういうことだろう。
仮にも婚約者なのだから。
「もうすぐ誕生日だろう?今年は何がいい?」青年が尋ねた。
一年に一度だから、常識の範囲内ならどんな願い事も叶うという約束を交わしていた。
少女は迷う。
ホールのケーキも食べたいし、美味しいホテルビュッフェにも行きたいし、日帰り旅行にも。
したいことがたくさんあって一つに絞れない
君は「大丈夫だよ」と明るい口調で言う。
「今までとそう変わらないよ」と告げる。
君が吐いた嘘と本当。
泣きだしたいほど、不安なくせに。
わめきたいほど、心細いのに。
それを隠して、君は笑う。
それが分かってしまったから『さようなら』と別れの言葉を紡げなくなってしまった。
君は孤独だ。
桜散る中、卒業を迎えた。
今年は卒業生と関係者だけの簡素な式になった。
卒業の時期に桜が満開なのは、惜しんでくれているようだった。
三年通った学校には、当然嫌なこともあったけど、おおむね笑い話になるようなことが多かった。
級友に最後の「さようなら」を呟く。
自然と涙が零れてきた。
新生活が始まる。
ゴミ袋片手に新居に持っていく物を選別していく。
どれも想い出があって作業は一向に進まない。
ひとつ物を手にしては追憶する。
この時は、楽しかったなと。
アルバムなんか開いてしまったら最後だ。
笑顔の写真を見ているのに、心が痛がる。
置いてはいけない、と思ってしまう。
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH