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「 140文字の物語 」
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地図を読む。座標は間違っていない。
この深海に宝物が埋まっている。
地図を信用すれば。
ここまで船で着て空振りだったら虚しい。
「船長。いつでも行けますぜ」手下が言う。
海は凪いでいるし、魚影もない。
今がチャンスだろう。
「よし、宝を持ってこい!」地図をしまい、手下たちに声をかける
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人生幾度目かの春が巡ってきた。
両親と共に過ごした春。
友人と共に過ごした春。
そして、少女と共に過ごす春。
どの情景にも笑顔があった。
桜を見上げ他愛のない話をしてきた。
それはこれからも同じだろう。
少女は満面の笑みを浮かべながら、指を両手で包む。
「この手に守られているんですね」
魔法の授業を使う用の枝を探していた。
自分用の短杖を持つことによって、ようやく半人前に認められる。
手を伸ばした枝は煙のように、手のひらから消え失せる。
授業が始まるまでもう少しだ。
あちこちの枝にふれては消えられる。
貧弱な枝が目に入った。
枝は消えなかった。
遂げることができた。
その機械は人の心を知ってしまった。
それ故に、機械を壊しまわった。
自分のように人の心を持ってしまわぬように。
自分と似て非なる存在に思いを重ねる。
人の心を知ってしまった機械は、鎖に繋がれた。
死ぬことすら許されずに、その心が本物かどうか調べられた。
機械は早く終わりにしたかった
一度しかない熱い夏だった。
三年の先輩にとって、引退試合になるはずだった。
春の大会は無理でも、と願いをかけていた。
それなのに政府の決定は先輩たちの期待を裏切るものだった。
部員を集め、監督だった先生が発表した。
無理矢理、両手を握り締める。
そうしていなければ泣きそうだから。
「ずっと一緒だよ」君は嬉しそうに微笑んだ。
眩しくて。僕は思わず目を逸らす。
繋いだ手のぬくもりに縋りつきたくなる。
「そうだね。ずっと一緒だ」僕は言った。
君が好きで、嘘をついた。
ずっと一緒にいられるわけがないのに、と僕は影を蹴り飛ばした。
「嬉しいな」君は幸せそうに言った。
やっと手にした平穏だった。
しばらくは微睡むような平穏の中にいられるはずだった。
けれども、不安の種が心の奥底から生えてくる。
仮初だからだろうか。
永遠に続くことがないと知っているからだろうか。
不安の芽は日に日に大きくなっていく。
幸せになってはいけないと言われているようだ。
幸せというものは、ひまわりのようなものだ。
熱心に太陽を追いかけても、見返りはない。
太陽をひと夏見つめ続け、晩夏にはうなだれて俯くだろう。
それでも人は幸せを追いかけてしまう。
夏が終わる前に、ひまわりは幸せになれた。
背の高い花は、想いを遂げることができたのだ。
永遠を手にした
少女の視点が一点に注がれていた。
仲睦まじそうな恋人同士がいた。
「どうした?」青年が少女に声をかける。
少女はハッとして首を横に振る。
「何でもありません」嘘が吐くのが下手すぎる。
わがまま一つ言わない少女だ。
叶えてやりたくなる。
青年はそっと、少女の指を握る。
「さあ、帰ろう」
『愛している』他ならぬ君に伝えることのできない一言だ。
言ったら最後、僕たちの関係は砂の城のように崩れるだろう。
タイトロープを渡るように慎重に足を運んできた。
僕と君はただの友達。
そこには『恋』も『愛』もない。
ありきたりな『情』があるだけだ。
継続したいのなら言ってはいけない
夢の中まで君が出てきた。
会いたかったのだろうか。
君に投げつけた言葉を謝りたかったのだろうか。
夢の中の君はふれることができた。
僕は君にふれた手のひらをまじまじと見つめる。
まだ余韻が残っていた。
目覚まし時計の音が現実に戻す。
もう朝だ。
君に会ったら謝ろう。
目覚まし時計を止めた
昨夜、私よりも先に眠った罰として目玉焼きをターンオーバーにする。
いつもの黄身が半熟の目玉焼きじゃない。
黄身までしっかりと火を通す。
何食わない顔をして食卓に並べた。
「今日も美味しそうだな」と言うなりあなたは食べ始めた。
あなたが気づかないことにがっかりした。
期待外れだった。
猫すら遠慮する路地裏に二人は飛びこんだ。
追手の足音は近い。
「早く」君が急かす。
僕は嫌々ながらも、君の両手に触れる。
「契約はなされた。出でよ光の剣」君が小さな声で呟く。
二人の繋いだ手から、光り輝く剣が生みだされる。
僕は手を離した。
路地裏には相応しくない剣を君は握り締める。
「寝癖がついていますよ」と少女が笑ったのは数時間前。
手段を選ばなくなった同胞が少女を切りつけたのは数分前。
闇に落ちた同胞と邂逅した。
青年は神剣・神楽を引き抜いた。
絶対に許せない。
戦う能力のない少女を傷つけた罰は生命で贖ってもらう。
青年は初めて怒りでもって、戦いに臨んだ。
隣を歩く少女がカタカタと震えていた。
この季節にしては薄着の格好。
寒いのだろうか。
青年は羽織っていた上着を少女の肩にかける。
大きな瞳をさらに大きくして、こちらを見上げる。
「迷惑だったか?」青年の言葉に「ありがとうございます」と少女は礼を言う。
少女は優しく、腕を触れ合わせる
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