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「 140文字の物語 」
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君はそっと指で僕の指をつつく。
僕が顔を上げると、君の笑顔と出会った。
「どうしたの?」僕は尋ねる。
「何でもない」君は嬉しそうに言う。
僕が作業に戻ろうとすると手の甲に手のひらを重ねる。
これでは仕事にならない。
「おしゃべりでもしようか?」僕は提案した。
「本当に?」君は笑う。
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静かに冷めていくおかずを見やる。
今日は結婚記念日。
スマホの液晶画面には『帰るのが遅くなりそうだから、先に寝ていてね』という文字が浮かび上がっている。
消えそうになる度に、液晶の画面をタッチした。
泣きそうになりながら、両手を軽く握る。
今日くらいは、早く帰ってきてほしかった
孤独を埋めるように、寄り添いあった。
寒い夜を越えるために、ぬくもりを分かち合った。
ただ隣にいるだけの存在だった。
誰でも良かったのかもしれない。
偶然が生んだ産物だった。
小指の先の赤い糸は繋がってはないないだろう。
それでもあなたはそれを、恋といった。
なら、恋でいいのだろう。
同じ制服を着て、似たような髪型にする。
そこには個性というものがなかった。
学校という名の監獄に閉じこめられているようなものだった。
このまま飼い殺されたくはない。
『私』は『私』だと叫び声を上げたい。
『私』は道に転がる小石ではない。
たった一人の『私』だ。
沈黙してはいたくない。
写真は刹那を切り取る芸術作品だ。
閉じこめられた記録は霞む記憶を思い出させる。
両親が写真撮影をするのが好きだったからだろうか。
私自身も写真を撮るのが好きだ。
見上げた空の色。
咲き零れた花。
食べて美味しかった料理。
ささやかな日常をスマホで記録する。
たまに眺めて、懐かしさに浸る
幼馴染は手を繋ぎたがる。
初めて訪れる場所だからではない。
迷子になる不安になるからではない。
そんな可愛らしい理由なら、簡単に手を繋いだろう。
本当の理由を知っているけれど、意地があって自分からは手を繋げない。
「お願い!」幼馴染は言った。
だから仕方なく、手のひらに爪を立てる。
青年は花束を抱えて、待ち合わせ場所にやってきた。
少女は大きな目を丸くして「どうしたのですか?」と尋ねる。
「君に花でも贈ろうと思ったんだ」青年は微苦笑した。
「君に似合う花が思いつかなくて。どの花も綺麗に咲いていたから。これだけあれば一輪ぐらい相応しい花があるだろう」と言う
背伸びをしている少女がときどき歳相応な姿を見せる。
退屈しのぎに、撮りためていた番組を消化している最中だった。
定期的に青年の肩に掠るぬくもりがあった。
視線だけで見やると、少女がこっくりこっくりと舟をこいでいた。
疲れが出たのだろうか。
素顔をさらけ出すのは珍しいことだった。
あまりの天気のよさに、心が弾む。
口唇にもうっすらと笑みが浮かぶ。
そんな青年の顔を、少女はじっと見つめる。
「どうかしたか?」青年は問うた。
すると、少女はゆでだこのように顔を真っ赤にして、首を横に振る。
「何でもないです!洗濯しちゃいますね!」青年から逃げるように去っていった
タイトルだけでレンタルを決めたDVDは、いまいちだ。
ソファの上に二人並んで観賞しているが欠伸をかみ殺していた。
ホラーものなのに全然怖さが伝わってこない。
むしろギャグにすら見える。
そんな青年の隣の少女は震えていた。
青年がソファの上に手を置くと少女は遠慮がちに、指をぎゅっと握る
帰り道、大喧嘩をした。
どちらも口を閉ざし、一切しゃべらなかった。
足音すら不揃いで、どうして一緒に帰っているのか分からなかった。
寄り道もせずに、無駄口をたたかない帰り道は意外に短い。
別れ道でどちらともなく立ち止まった。
このまま終わるのが嫌だったので、ぎこちなく、指先を握る
暗い夜道を独りで歩いていた。
まばらにある街灯のおかげか不思議と恐怖はなかった。
昼間と比べれるとぼんやりとした灯りに見守られながら、帰宅した。
玄関を開けると電気をつける。
帰ってきた実感が湧き、玄関先で崩れ落ちる。
今日も仕事は大変だった。
贅沢は言ってられないと分かっている。
ふと思いついたフレーズがあった。
このままでは忘れてしまうだろう。
手帳とボールペンを取り出した。
コンクリートでできたブロック塀に手帳を押しつけて、フレーズを書きつける。
書いたら、満足してしまった。
このフレーズも世に出ないかと思うと、悲しむ気持ちが湧いてきた。
首を振る。
公園は様々な人たちであふれていた。
いつもは来ない場所だけに、青年は新鮮に感じた。
ベンチに座ると少女は持っていた包みを開く。
公園でお弁当を食べるのは、いつぶりだっただろうか。
青年は少女に礼を言う。
恥ずかしそうに、青年の腕を指先でなぞる。
「この腕に守ってもらっていますから」
「大丈夫だよ、子猫ちゃん。一生かけて、口説き落としてあげるから」と男は笑った。
「誰が、子猫ですか!」女は言い返した。
「おやおや、可愛いね。そんなに精いっぱい爪を伸ばしても痛くもないよ」男はグラスを手にする。
琥珀色の液体を呑む。
「からかわないでください」女は男を睨みつける
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