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「 140文字の物語 」
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ずっと探している。
探しつかれて、妥協したくなる。
答えなんて、初めからないのかもしれない。
たまたまだとか、偶然だとか、そんな回答はぼくが嫌だ。
ぼくたちが恋する理由は、もっと尊いものであってほしい。
それはぼくの我儘かもしれない。
君にとって、どうでもいいことなのかもしれない。
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テスト前だというのに、昨夜はついつい夜更かしをしてしまった。
それが試験勉強だったら、少しは意義があったかもしれないけれども。
漫画の続きが気になって最新刊まで読んでしまった。
おかげで寝不足だ。
電車の中でほんの数分の仮眠をとったけれども、寝足りない。
大きなあくびが出た。
「お嬢ちゃん。その杖を貸してくれないかい?」黒衣を纏った貴婦人は言った。
ようやく手に入れた杖だ。
誰にも渡したくない。
「嫌です」と私は抵抗する。
「ほんのちょっと拝借だ」貴婦人は素早く杖を手にする。
力量の差を見せつけられた。
「さぁっとね」貴婦人が杖を振ると、空が虹色になった。
夜が更けたといっても、このご時世だ。
終電はまだ走っている。
酔い覚ましに、駅まで歩いていく。
それに、すっかり出来上がってしまった女子が心配だった。
お待ち帰りは免れたが千鳥足だ。
女子が無理矢理、手のひらを指先でつつく。
「手を繋ぎませんか?」上機嫌の女子は笑う。
溜息をついた。
少女は気になったことを尋ねた。
「どうして普通の生活をしているのですか?」
その問いに青年は「超能力なんて持っていて得があるのかい?客寄せパンダになる」苦笑しながら答えた。
「世界征服も夢じゃないですよ」少女はなお言う。
「普通の暮らしが一番だよ」青年は言った。
少女は納得する。
生死がダイスによって決まる。
僕はダイスを転がす。
行動値を超えてしまったようだ。
ボールペンで死亡の方に丸をつけようとして、引っかかる。
ルールブックをめくる。
ゲームマスターの顔色が変わった。
「これって特別ですよね」ルールブックを見せる。
「そうだね」ゲームマスターが頷いた。
ナイショの恋人同士になった。
『好き』って言ったら『好き』って返ってくるような可愛らしいものだ。
大人たちの見ていないところでそっと、指を触れ合わせる。
自分とは違う温もりに微笑みあう。
子供時代の記憶の一片だった。
今頃、君はどうしているだろうか。
また恋人同士になりたい。と願う。
「これで何回目?」僕は尋ねた。
「好きだって伝えられただけでも嬉しい」君は強がりを言う。
惚れっぽいのが玉に瑕。
好きになっては失恋を繰り返していた。
「あーあ、なんて可哀想な君」僕の気持ちに気づかずに、それ以外の人物に恋をする。
本当に可哀想なのは僕なのかもしれない。
「煩い!」
その要塞は海に面して建てられていた。
海賊から国を守るためだ。
美しい外観に裏腹に強固な要塞だった。
国民たちはこの要塞に配属される兵士たちに感謝していた。
慎ましやかな生活を送っている寒村ばかりだが、納税率は高かった。
国の歴史に残る要塞の修理費は国王のお手持金で賄われていた。
せっかくの旅行なのに彼はずんずんと進んでいってしまう。
のんびり緑が広がる光景や木漏れ日のシルエットを楽しみたい私とは歩調が合わない。
まるでスタンプラリーをするように計画通りを守ろうとする。
「もっとゆっくり楽しもうよ」私は怒り顔で、彼の手のひらを両手で包む。
彼は目を見開く。
最後のデートは海だった。
よく訪れる場所だった。
その時は、最後になるとは思わなかった。
日が暮れるまで、他愛のない話をしていた。
それが最後の記憶だ。
再び訪れたのは独りだった。
海に沈めたあの日の思いを確認しに来た。
思わず涙が零れそうになるが、夕陽を睨みつける。
時間は戻らない。
雨が降り、そこかしこに水たまりができていた。
踏みぬいて歩きたい。
そんな童心が湧いてきた。
靴は汚れ、靴下は濡れるだろう。
それでも空を映した水たまりへの興味が湧いてくる。
白金色の頭髪の少年が少女の横を通り過ぎる。
楽しそうに水たまりを踏んでいく。
真似されたとは思われたくない。
本当に悲しいことがあった時。
涙が結晶化する一族がいた。
貴重な結晶を手にするために人々は拳をふるう。
誰が泣くものか。
私は暴力を働く人々を睨みつける。
そうすることで暴力がひどくなるのは分かっていた。
それでも涙を流すものかと思った。
痛いのには慣れている。
死ぬよりマシだ。
いつもの帰り道。
君と別れるのが寂しくて、引き留めてしまう。
君は遠慮がちに、僕の指先を折れんばかりに握る。
その強さが別れたくないと言っているようだった。
僕も同じ強さぐらいで握り返す。
誰かに見られたら、噂になっちゃうだろうか。
君とだったら、噂になってもいいと思うぐらい好きだ。
「話がある」父が真剣な顔をして言った。
せっかくの誕生日になのに心臓が警鐘を鳴らす。
母は口を引き結んでいた。
父が写真を一枚、テーブルの上に置いた。
「お前の本当の両親だ」父が言った。
家族だと思っていたのが、ガラガラと崩れ去る。
「今更どうして?」声が震えた。
「お前ももう大人だ」
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