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「 140文字の物語 」
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少女が一瞬みせた微笑みをいつまでも見ていたいと思った。
どうすれば、その笑顔を独り占めできるだろう。
表情を変えることが少ない少女だけに貴重だった。
少年も自然に笑顔を浮かべる。
少女は、また無表情に戻ってしまった。
難しい。
少女の笑顔を長続きさせる方法を知りたいと思った。
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いつまでも決心がつかずに、新聞を眺めていた。
いい加減に約束の時間だろう。
青年は血で染まってもいい上着を羽織る。
神剣・神楽を握り締め、部屋から出る。
すると支度の済んだ少女が待っていた。
これから同胞殺しの夜が始まる。
命のやりとりを楽しむことはできない。
暗い顔で目的地へ向かう。
一番最低な目覚めだった。
きっかけがなかったからといって、酔いの任せて関係性を結んでしまった。
ただの会社の同僚と。
以前から、たまにいい雰囲気になったりはした。
けれども、こういうことは順を追って関係性を深めていくべきだ。
相手が目覚める前に部屋を出ていかなければ。
溜息が零れた。
-
されど、時は巡り来る。
平和の微睡を食い破り、戦乱の世が再びやってくる。
無慈悲な世界で少年と少女は、ただ真っ直ぐに見つめる。
握り締めた生命を喪わぬように、大切に。
地上は地獄のように赤く染まる。
願いも、祈りも届かないように。
繋いだ手は紅葉よりも、夕焼けよりも、贖罪の色となる。
僕は非力だから、君を守ってあげることはできない。
せめて、隣に立つことだけは許してほしい。
共に戦うことを願ってもいいだろうか。
少しでも、君の傷つく心と体を軽減したいんだ。
そんな僕を君は笑うだろうか。
『大丈夫』と返してくるだろうか。
君のために僕ができることをしたいんだ。
「昔から冷え性だからかな?冷たいよ」君は手を差し出した。
僕はぎこちなく、君の指先を両手で包む。
蝉時雨がうるさいぐらいの夏なのに、君の手はひんやりしていた。
「ね。冷たいでしょ?」君は笑う。
「心の優しい人は手が冷たい、っていうぐらいだ。君は優しいんだね」と僕は言った。
ゆめみたいなんてゆめみたい。
念願が叶うとそんなものかもしれない。
にわかに信じられない。
まだゆめの中にいるような感じがした。
ゆめを叶えた後に、待っていたのは現実だ。
ゆめの続きはゆめの連続だ。
新しいゆめの始まりだった。
本当に起きているのだろうか。
ゆめの中を歩いている気がした。
汗をかきながら学校に通った日々。
出席日数さえ足りていれば、赤点を回避してくれる。
そんな言葉を信じて、嫌な思いをしながら通った。
大人はたやすく裏切るものだ。
そんなことを忘れていた。
返ってきた通知書は知りたくない数字が並んでいた。
まだ大人になりたくない、と思って鞄にしまった。
古書にとって日差しは天敵だ。
空調が管理された部屋で古書たちは眠りについている。
いつか役に立つことを待ちながら。
仰ぐほど溜めこまれた古書たちは、代々受け継がれてきたものだ。
一代ずつに増えていく古書は、青年の代で途切れそうだった。
情けないことに後継ぎ候補がいない。
残念だ。
少女は本当は一人で立ちたかった。
けれども、足に力が入らない。
差し出された手に縋りつきたくなかった。
そんなか弱い女の子みたいなことはしたくなかった。
立てないという事実がのしかかる。
仕方なく、少年の両手のひらを握る。
すんなりと立ち上がることができて、少女は癪にさわった。
毎日の日課だ。
今日あったことをメールにしたためる。
面白かったこと、嬉しかったこと。
日記のようなメールだ。
いくらメールを書いても無駄だということは知っている。
これは届くことのないメールだ。
送るメール主は、すでにこの世の中にいない。
解約できないままの携帯電話があるだけだ。
いつもより酔いが回るのが早かった。
それだけ疲労をしていることだろうか。
アルコールを止めて、ソフトリンクに切り替えたが頭がふらふらとしている。
きちんと家まで帰れるだろうか。
前科があるだけに怖かった。
あの時はコンビニの店員さんに迷惑をかけた。
今回はそれを避けたいと思っていた。
少女は青年にもたれかかる。
青年は嫌な顔を一つせず、読書を続ける。
少女は幸福だなと思った。
水晶のような氷が溶けるのを見ながら、いつまでも続けばいいのに、ぼんやりと願った。
つかの前の平和だということは気がついている。
青年は神剣・神楽の使い手だ。
程なく戦いが再開されるだろう。
お風呂掃除をしている途中だった。
タイルに溜まった洗剤で足を滑らせた。
頭をぶつけるほどではなかったが、おしりを盛大にぶつけて、洗面器が派手な音をたてた。
青年が顔を出した。
「大丈夫か?」手を差し伸べる。
少女は目を逸らしつつ、青年の腕を握り締める。
「大丈夫です」少女は答えた。
神社に来ると心強さを感じる。
日常がマイナスだから、ちょうど足し算をされるようだ。
ふらりと立ち寄っただけれども神社では大祓が行われていた。
そういう意味でも、運が良い。
天にいる神様も祝福してくれるのだろうか。
今年受験なのでお守りコーナーに立ち寄る。
どれがいいだろう。
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