忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

七夜月にインコが高らかに歌います。
それは誰かが忘れた童話のようで、賑やかな晩になりそうです。
望まれたエンディングを目指してページをめくった夜を想い出させます。
インコの囀りに一緒に口ずさみながら、こんな夜も悪くないと思いました。
月に見守られて静かに更けていきます。
PR
-
「人を殺すのに刃物はいりませんよ」艶やかな笑顔を浮かべて言う。
「そっと、耳元に囁けばいいのです」
「暗殺の手順をバラしていいのか?」尋ねれば「誰にもできることではありませんからね」と答える。
もったいつけるように「貴方の生を誰も望んでいませんよ」と耳元で囁く。
死にたくなった。
ちょうど羽化する瞬間に出会えた。
固いさなぎの皮を脱げ、透明な身が出てきた。
まだ色は浮かび上がっていない。
飼育箱の中で脱皮した蝶をじっくりと眺めた。
なんて綺麗な生き物なのだろうか。
害虫扱いされるが、1シーズン生きられない生き物は儚くて美しい。
この蝶のように華やかでありたい。
洗っている最中に手を滑らせた。
泡塗れのマグカップはシンクの中で割れた。
大切に使っていたものだけれども、彼方へと逝ってしまった。
かばう言葉もなかった。
もう二度と手に入らない。
たくさんの想い出を抱えながら、マグカップは遠い世界へと行ってしまった。
何故か涙がポツリと零れた。
いつも少年は穏やかに微笑んでいた。
それは作り物めいていて、精巧に作られた人形のようだった。
少年はふさわしくない時でも微笑んでいた。
笑っていれば、すべてが解決するとでも思っているように。
本当に少年は生きているのだろうか。
本物の少年は消されて、そこには機械がいるのではないか。
口もきいてやるもんか。
そう思っていた。
けれども君が手をそっと、僕の両手のひらに触れ合わせる。
はいはい、降参だよ。
言葉の少ない君にとって『ごめんなさい』の証拠。
仲直りをしよう。
僕と君は仲良しの友だち同士。
時には喧嘩もするけど、すぐに仲直りをする。
そんな関係な二人だ。
初心な青年は花束を持って、恋の告白した。
私がどんな女かも知らないで、純粋に。
「お帰りなさい。坊や」私は笑みを刷くと青年に言った。
それは最終勧告だった。
「僕が好きになったのは、貴女だけです。地獄だろうが一緒にいたいのです」青年は必死に言った。
「それなら地獄とやらに行こうか」
少女は鼻歌を唄いながら靴下を洗っていた。
手は泡塗れ。
洗濯機で洗ってもいいのに、と青年は思った。
こちらの視線に気がついたのか、少女は振り返る。
「何か御用ですか?」少女は輝くように言った。
「いや、特に用はないんだ。邪魔してすまない」青年は謝罪した。
青年は踵を返して自室に戻る。
「誕生日、おめでとう」少年はウェイターにカットケーキを注文する。
「どうしたの?」少年は尋ねる。
「祝われる私より、祝ってくれる貴方が嬉しそうだから」少女は言った。
「誕生日を祝うの、初めてなんだ。だから、とっておきな一日にしたくて」少年は照れたように笑う。
少女も照れる。
勇気を振り絞って告白した。
異性にこれほどまでに惹かれたのは初めてだった。
『恋』に堕ちたのだと理解をしたら照れる気持ちが強かった。
それでも想いを知ってほしくて告白した。
するとゲラゲラと笑われた。
「勘違いしないでくれる?」追い打ちをかけられた。
そんな人間性を見抜けなかった。
それは最後の口づけでした。
私は幾度となく繰り返した動作を行います。
遠慮がちに、彼の両手に爪を立てる。
しっかりと跡が残るように強く。
ふれるだけの口づけとは違い、手と手が濃密な口づけをしているようでした。
離れていく彼に「元気で」と声をかけました。
彼は少し寂しそうに笑いました。
僕はもう黙っていることに疲れてしまったんだ。
君が進もうとしている道は間違っている。
迷子になるだけだ。
君がいつか気がつくだろう、と僕は無言でついてきた。
けれども君は誤った道ばかりを選択する。
それでは幸せになれるはずがない。
僕はようやく口を開く決心をした。
幸福にするために。
まだ子どもだから。
そんな声を跳ねのけられるようになった。
今日から大人の仲間入りだ。
清々しい気分だった。
これから堂々とお酒も飲めるし、煙草もすえる。
しばらくは身分証明書の提示を求められるかもしれないけれど。
これでようやく自由の身の上だ。
もう他人の言うことを気にしなくていい。
薄暗い路地裏に僕らは身を隠した。
カタンッとなった音に君はおびえる。
目を逸らしつつ、僕の指にしがみつく。
僕は『大丈夫』という代わりに、震える指を握り返した。
早く安心できる場所まで逃げなければ。
僕は大道路に目をやる。
君が手を引く。
この路地裏にいれば安心だというように。
「キャベツ、食べたーい。広島風お好み焼きで」少女はリクエストをする。
すると、冷蔵庫からキャベツが出てきた。
「この前、高くて買わないって言ってなかった?」
「それが奇跡的にセールに当たったんだな」青年は笑う。
「ビキニで売り子をしてくれるなら、作ってやってもいいぞ」
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH