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「 140文字の物語 」
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君の心は虹色。
どうすれば、そんなに幸福になれるんだろう。
何度覗いても君の心は楽しそうだった。
僕もそんな色の心になれるだろうか。
それから、ひとつ気がついた。
虹は雨上がりに太陽の反対に出ることを。
君は誰にも知られずに泣いていたのだ。
光が当たらなかったから気がつかなかったのだ。
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太陽は真夏の光。
そこで重い防具をつけて、真っ直ぐ立っている。
武士道とは大変なものだ、と思った。
幼馴染は心で泣くんじゃないだろうか。
日陰でアイスを食べながらぼんやりと考える。
暑い中、食べるアイスは最高の味だった。
幼馴染にも味合わせてあげたい。
役目が終わったら奢ろうと思った。
君は軽々しくやってきて、僕の手のひらに爪を立てる。
君は何も言わずに踵を返す。
機嫌を損ねることをしてしまっただろうか。
そんなことを僕が考えていると君に戻ってくる。
「何もたもたしているの!」君は苛々と言う。
君は本当に気まぐれだ。
それに振り回されるのも悪くないと思ってしまう。
君ともう一度、あの夏で出会おう。
やり直しをさせてほしいんだ。
一目惚れなんて信じていなかった僕は、君に冷たい態度を取り続けてしまった。
出会った時から恋に落ちていたのに。
だから、お願いだよ。
虫の好い話だとは重々承知だ。
一縷の希望にすがるつもりで僕は話しているんだ。
頷いてくれ。
暑いせいか、少女はかき氷を夢中になって食べる。
青年は向かい側でその様子を眺めていた。
氷の入ったアイスコーヒーをすする。
これぐらいでちょうどいい。
かき氷の山を制覇するほど若さはなかった。
青年は小動物を見つめるような目で少女を見つめた。
本当に美味しそうに食べる。
心が和む。
マグカップをシンクに置く。
姿勢が悪かったのだろうか。
先ほどから足の筋を攣ったようで青年は痛がる。
その様子を遠慮なく少女は笑う。
覚えておけと青年は思った。
片足を引きずるような格好で、部屋に戻る。
痛みは少しは和らいできた。
そのことにホッとした。
痛みが走った時は緊張したものだ。
家族以外の男性と接することが少ないからだろう。
近所の少年たちは、いわゆる悪ガキだった。
クセの強い髪を散々からかわれた。
だから男性恐怖症になった。
そんな自分に声をかけてくる青年。
近すぎると怖い、離れてもう嫌。
そんな感情を抱くようになった。
これは初恋と呼んでもいいのだろうか。
一瞬、記憶が飛んだ。
ノートには判読不明の文字。
板書は先ほどよりも進んでいた。
少女は慌てて、鉛筆を走らせる。
どうやら居眠りをしていたようだ。
自分らしくないと思った。
白金色の頭髪の少年を追い抜くには、まだまだ時間が足りない。
切磋琢磨をしなければ。
少女は自分を律しした。
これと言って目立つ外見はしていなかった。
どこにでもいる姿かたちだから、衛兵も見逃す。
城から出て、眩しい太陽の光をいっぱいに浴びる。
城下町は清潔で活気にあふれていた。
ありきたりなワンピースを着て、観察する。
辻占にいる占い師に声をかけられた。
「手のひらを見せてくれないかい?」
慕ってくる後輩のことが憎いわけではない。
たまにうっとおしいと思うこともあるけれど。
まるで好きと嫌いが裏表になっているコインのようだった。
ある日は、好き。
ある日は嫌い。
それでもめげずに話しかけてくる後輩に、恋への片道を踏み出したかのようだ。
自分でも予測できないコイントスだ。
最寄駅から学校まで緩やかな坂道になっていた。
いつもはへばりながら歩く道だったが、今日は一人ではない。
偶然クラスメイトと一緒になったのだ。
「今日も暑いねー」とお定まりの挨拶から始まって、話題は広がる。
カードゲームをするのが好き、という共通点が見つかってから、あれこれと話す。
親が勝手に決められた縁談だった。
少年は断るつもり満々で席に着いた。
同じ年頃の少女が緊張した面持ちで座っていた。
簡単な挨拶をした後、庭に二人っきりで追い出された。
すると少女はホッとしたような顔をする。
「お優しい方で嬉しいです」とはにかむ。
その微かな笑顔に少年は恋に落ちた。
ずっと好きだった子と初デート。
手に汗がにじむのは、太陽が照らす昼間だからだけではない。
彼女と手を繋ぎたい。
少しばかり性急すぎるだろうか。
頭の中をぐるぐるする疑問符。
僕はぎこちなく、自分の手のひらを握り締める。
手を繋ぐタイミングが分からずに。
本当に小心者で情けない。
幼い僕らにとって世界の終わりがやってきた。
君は父親の転勤でここから離れる。
ずっと一緒にいたかった。
お小遣いを貯めても、君の新しい家にたどりつくためには何か月かかるだろう。
想い出の中にはいつでも君がいた。
これからは会えない時間が長く降り積もる。
二人だけの世界の終わりは辛い。
忙しい彼と一緒にいられる時間が減ったことに苛立って、喧嘩をした。
一方的なものだから、自分の我儘を並べ立てたようなものだった。
彼は疲れているだろうに。
最後まで私の話を聞いてくれた。
それから「ごめんね」と謝って、私の頭を撫でた。
悪いのは彼じゃないのに。
私は俯いてしまった。
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